編 集 ノ ー ト       


★江蘇省淮安にある劉鉄雲の故居とお墓を参観したことについては、別に報告することがあるだろう★淮安で会った研究者との話のなかで、私の興味をひいたのは、中国の研究界における変化の兆しである。中国近代文学研究にもっと力をいれようという動きだ。これまで古典に含めていた近代文学を独立させる。つまり、古典、近代、現代、当代に区分しなおすのだ。近代では、アヘン戦争から文学革命前夜の間に発表された作品をあつかうというものである★研究誌『中国近代文学研究』、『中国近代文学評林』、さらに『近代文学史料』といった雑誌にうたってある「近代文学」が、以上の考えにそったものであることは言うまでもない★清末小説雑誌の影印出版、清末小説の復刻、研究誌の発行、近代文学学会の創設準備など、中国において、事態はすでに動きだしている。今回の劉鶚生誕 130周年紀念学術討論会開催も、当然、この流れの中に位置付けることができる。この種の催しが、今後、増加するに違いない★本誌を創刊したのは、1977年である。10号目の節目を迎え、さらに中国学界の動向を見るにつけ、いささかの感慨もない、とは言わない★今回も、中国から多くの原稿をいただいた。お礼を申し上げる。日本語の文章をもっと読みたいのはヤマヤマながら、その実力がないのなら、いたしかたない★校正刷りを中国から返送してもらったなかに、日本の植字工は優秀である、とおほめの言葉をいただいたものがある。うれしいことだ。だが、本誌には植字工は、存在していない。私が、植字工を兼ねていることを申し添えておく★本誌を発行しているのは、義務感からではない。あくまでも、私個人の楽しみのためである。私がいやになるまで、本誌は発行され続けるだろう。お気の毒サマ★『清末民初小説目録』を近く発行する。こちらの方もヨ・ロ・シ・ク。