編集ノート



★『清末民初小説年表』を発行した★これには前作業がある。1997年出版の『新編清末民初小説目録』がそれだ。目録は、清末民初に発表された小説のすべてを収録することを目標とする(目標を実現するのはむつかしい)。雑誌初出から単行本までを記録し、作品ごとのいわば履歴書だ。さいわいに学界の一部の歓迎を受け、いくつかの書評が公表された。『清末小説から』に、主として中国大陸と台湾で発表されたそれらの書評を再録しているからご覧いただきたい★このたび発行した年表は、『新編清末民初小説目録』のデータを基礎にしている。小説を創作と翻訳に二分し、発行順に配列しなおす。見開きにした効果がある。創作と翻訳の発行件数の変化が、目に見える形となった。雑誌初出と単行本はカッコを使用することで区別する。作品索引と人名索引を作成したから検索が容易だ。作品記号は、目録と共通にしている。年表は、たしかに目録の姉妹編だ★当然、目録と違うこともある。たとえば、年表は収録期間を1840-1919年に定めた。目録の収録範囲を超えて広がる。変更にともない新しく作品を追加入力しなければならなかった。当然、中国で出版された目録も使用する。原物を目にすることができない日本で編集するのだ。しかたのないことだと弁解する★年表は、清末小説研究会の自主出版だ。目録が、文部省の刊行助成費を受けたのとは異なる。印刷部数も抑えざるをえなかった理由は、それだけではない。研究に必要な工具書ではあっても、必要とする人は少ないだろう。本誌を発行し続けて23年の経験が、私にそう告げている。季刊誌『清末小説から』は14年をもうすぐ迎える。こちらの発行数は150部を下回る。それくらいの必要数だろう。国立国会図書館にすら贈呈する余裕は、ない。年表を贈呈することは、一層、困難になっていることをご理解いただきたい