編集ノート


★2000年を記念して本号は、大増ページになった★王学鈞論文は、昨年いただいたものだ。著者校正にゲラを送ったが連絡がとれなくなり、1号ずらしての発表となっている。また、李慶国論文も同じく昨年にはできていた。残念ながら原稿の締め切りをすぎていたため、これも本年の掲載となった★中国の清末小説研究は、最近、ますます盛んになっている。貴重な成果が、出現しつづけているのだ。本誌で出版予告がなされていた范伯群主編『中国近現代通俗文学史』上下巻(南京・江蘇教育出版社2000.4)がある。ジャンル分けにして清末から民国までの大衆文学を記述する。まさに空前の大著というにふさわしい。曲折を経て、50年目の成果というべきだ。また郭延礼氏が、『中国近代翻訳文学概論』(1998)に引き続き『中西文化〓撞与近代文学』(済南・山東教育出版社1999.4)、『近代西学与中国文学』(南昌・百花洲文藝出版社2000.4)を上梓した。翻訳文学研究は、外国語の問題があって、ただでさえ困難がともなう。今までこの分野に着手する研究者が少ない理由だ。だが、郭延礼氏の著作があるこれからは、状況が変化するのではなかろうか。手がかりをもとに、研究にこころざす人が出てこないともかぎらない。参考書目に『新編清末民初小説目録』があがっている。少しはお役に立ったかとうれしく感じる★概説から詳説に、という方向があれば、その逆に詳細から概説に反射する行程もあろう。たとえば、コナン・ドイルの著作が中国でどのように翻訳紹介されたのか、詳細を知るための目録など、私は、見たことがない。存在しないからこそ『新編清末民初小説目録』が利用されるわけだ。やるべき仕事は、いくらでもある★樽本『初期商務印書館研究』を刊行した。日本・金港堂との合弁をめぐる謎を解明したもの。本書は、中国の商務印書館関係者からは無視されるはず