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常方舟「【書評】常方舟評樽本照雄≪林紓冤案事件簿≫|遅到却不応缺席的正名」
ウェブサイト『澎湃新聞』「上海書評」2018.12.27 電字版


2018.12.29(追加あり)
 常方舟「【書評】常方舟評樽本照雄≪林紓冤案事件簿≫|遅到却不応缺席的正名」(ウェブサイト『澎湃新聞』「上海書評」2018.12.27 電字版)が公表されました。
 ありがとうございます。
 「意表之外」についてです。
 「意表」の「表」は表面、外部、外側を意味します。「意表之外」にすると予想外の外となりますからそれで誤用といわれる。
 「出人意表之外」と最初に書いたのは林紓だと陳独秀、周作人、銭玄同らが批判しました。
 陳独秀らは林紓の誤用を批判するだけ。どういう作品に林紓がそれを使用したかを書きません。批判するのであれば具体的に使用例を挙げてほしい。これが従来からの私の主張です。
 常方舟氏は林紓「賂史」第21章『東方雑誌』第16巻第7号(1919.7.15。147頁)に使用例を見つけました。新発見です。私は気がつきませんでした。貴重な指摘だといえます。新しい発見がある文章はすばらしい。読んでいて楽しいです。
 ところが問題はそれで解決しません。たしかに林紓が「出人意表之外」を使用したのは事実です。しかし陳独秀と周作人がその前に書いているのです。
 使用例を時間順に並べてみます。

=======================
(参考:1918.3.15 真出人意外 王敬軒(銭玄同)『新青年』第4巻第3号308頁)
 1919.6.1  出人意表之外(林琴南先生用語) 隻眼(陳独秀)「対於日使照会及段督〓通電的感言」『毎週評論』第24期第2版
 1919.6.8  出人意表之外 仲密(周作人)「前門遇馬隊記」『毎週評論』第25期第4版
1919.7.15 出人意表之外 林紓「賂史」第21章『東方雑誌』第16巻第7号147頁
 1921.9.6  出於意表之外 周作人「山中雑信」『晨報・副刊』
 1922.2.5  出人意表之外 止水(蒲伯英)『晨報副鐫(晨報附刊)』(常方舟氏のご教示)
 1923.1.5  出人意表之外 銭玄同「“出人意表之外”的事」『晨報・副刊』
=======================

 奇妙ですね。
 時間の前後を見ると林紓の使用例は陳独秀と周作人の後になります。
 常方舟氏は『東方雑誌』以外は発表時間を明記していません。上の矛盾があることには眼をつむったわけですね。
 『東方雑誌』以前の林訳作品に使用例がある可能性が出てきました。
 今後の探索を期待しています。






林紓 上海書店出版社編『林紓訳文全集』全47冊
上海書店出版社2018.3


2018.12.20
 林訳の単行本、雑誌初出を影印したものです。1作品を1種類だけ掲載しています。
 出版説明によると林訳作品の単行本そのほかを全部で179種収録しているそうです。
 林訳は読者に大歓迎されました。ですから基本的に1作品について多数の版本が存在します。上記全集は基本的に初版による。あくまでも基本姿勢です。それができなかったものがいくつかあります。たとえば『巴黎茶花女遺事』では初版の1899年版は無理としても1901年版でも、文明書局1903年版でもない。初版からずいぶんはなれた上海・商務印書館1923年版を掲載している。しかたのないことです。
 それでも利点はあります。復刻ではないので誤植を心配する必要がありません。表紙、奥付、広告もそのまま影印しているのがよろしい。印刷状態は単行本については鮮明といっていいでしょう。
 上海書店出版社「出版説明」、呉興文「(序言)外国小説翻訳先駆:林紓」があります。
 呉興文「序言」は、林紓の経歴、翻訳出版についての概略、および研究者の評価をいくつか引用して紹介したものです。
 全集だからなのか、林訳批判については言及がありません。
 とりあえず研究資料として利用できます。これが全体の印象です。
 王敬軒(銭玄同)と劉半農が激しく繰り広げた林訳批判は1918年に始まりました。今年で100年になります。中華人民共和国では林訳の少量が再版されるのが1980年代になってから。林訳を見ずに林訳を批判していたといわれてもしかたがありません。この訳文全集の刊行は、大きく舵を切って批判の方向を修正するという中国学界の意思表明なのでしょうか。




董仁威『中国百年科幻史話』
北京・清華大学出版社2017.12


2018.12.18
 内容は以下のとおり。
 =================================
  前 言、
  第1巻 大事記、
  第2巻 中国科幻人物長廊、
  第3巻 中国科幻名家評伝、
  第4巻 中国科幻百部精品故事梗概




馬雲『中国近現代人文幻想小説研究』
北京・中国社会科学出版社2018.8


2018.12.16
 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 言、
 第1章 中西方人文幻想小説的発展演変、
 第2章 晩清幻想小説的興起、
 第3章 晩清人文幻想小説、
 第4章 現代人文幻想小説沈寂的背後、
 第5章 五四以後的人文幻想小説、
 第6章 新時期的人文幻想小説、
 第7章 21世紀的人文幻想小説、
 結 語、
 附録:文学的政治閲読――中国現代文学研究新思潮、
 参考文献、
 後 記



陳平原『触摸歴史与進入五四』
北京大学出版社2018.10


 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 言 文本中見歴史 細節處顕精神、
 第1章 五月四日那一天――関於五四運動的〓類叙述、
 第2章 思想史視野中的文学――≪新青年≫研究、
 第3章 叩問大学的意義――作為教育家的蔡元培、
 第4章 学問該如何表述――以≪章太炎的白話文≫為中心、
 第5章 経典是怎様形成的――周氏兄弟等為胡適刪詩考、
 第6章 写在“新文化”辺上――旧紙堆里的新発現、
 附録1:関於≪章太炎的白話文≫、
 附録2:魯迅為胡適刪詩件的発現、
 附録3:台湾版≪触摸歴史与進入五四≫自序、
 附録4:≪触摸歴史与進入五四≫英訳本序、
 引用及参考書目、
 索 引、
 後 記




(美)仏蘭斯士専遜 梁啓勲、程斗合訳『血史』


広智書局(1905.12説明あり)
孔夫子旧書網より引用


2018.12.7
 『血史』の刊年月について「1905.12」と示すものがあります。これはいかにも新暦旧暦混用らしい。しかし実物を見なければはっきりいうことはできません。
 樽目録から次のふたつを引用します(下線は筆者)。

[振環190]原名「世界著名暗殺案」FAMOUS ASSASSINATIONS、美国仏蘭斯士専遜著、1903.8出版。由梁啓勲、程斗合訳、上海広智書局光緒三十一年十二月廿五日(1906.1.19)
[編年B927]原名「世界著名暗殺案」、中国梁啓勲仲栄、程斗北高編訳、光緒三十一年十二月二十六日(1906.1.20)出版

 鄒振環は「十二月廿五日」とし陳大康は「十二月二十六日」と一日違いです。
 陳大康は『中国近代小説編年史』および『中国近代小説史論』において同一記述を維持する。
 両者ともに資料に基づいた記述で定評のある研究者ですから一致していないことに戸惑います。
 その一日はどうしても違いとして残るのです。
 孔夫子旧書網に写真が掲載されていましたから上に引用しました。
 鄒振環の「十二月廿五日」の方が明らかに正確です。




『中外小説林』影印本


『中国近代期刊篇目彙録』誤記あり


2018.11.26
 現在も『清末民初小説目録』の訂正増補作業を継続しています。
 奇妙なことに気づきました。
 目録作成の基礎資料として当初から使用してきたのは上海図書館編『中国近代期刊篇目彙録』全6冊です。
 その第3冊に収録された『中外小説林』第2年第10期が問題です(写真下)。
 陳大康『中国近代小説編年史』第3冊1476頁にある該誌第2年第6期と目次が重なっているのですね。
 香港から『中外小説林』の影印本が出ています。これで確認しました。たしかに第2年第6期でした(写真上)。
 結論。『中国近代期刊篇目彙録』にある『中外小説林』第2年第10期は間違い。第2年第6期とすべきです。
 気づくのが遅いといわれればそうです。
 自分で見つけたからよしとしましょう。目録作成はなかなか奥が深いと思うわけです。




陳平原『左図右史与西学東漸――晩清画報研究』
北京・生活・読書・新知三聯書店2018.10


 2018.11.25
 著者からいただきました。感謝。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 第1章 図像叙事与低調啓蒙――晩清画報在近代中国知識転型中的位置、
 第2章 協会読物的図像叙事――関於≪教会新報≫≪天路歴程≫与≪画図新報≫、
 第3章 従科普読物到科学小説――以“飛車”為中心的考察、
 第4章 晩清人眼中的西学東漸――以≪点石斎画報≫為中心、
 第5章 転型期中国的“児童相”――以≪啓蒙画報≫為中心、
 第6章 鼓動風潮与書写革命――従≪時事画報≫到≪真相画報≫、
 第7章 流動的風景与凝視的歴史――晩清北京画報中的女学、
 第8章 城闕、街景与風情――晩清画報中的帝京想像、
 第9章 風景的発現与闡釈――晩清画報中的勝景与民俗、
 第10章 追〓、混搭与穿越――晩清画報中的古今対話、
 附録 香港三聯書店版≪左図右史与西学東漸≫前言、
 参考書目、
 後 記



2018.11.21
 『清末小説から』第132号の予告です。
 =================================
 いくたびかの阿英目録22………樽本照雄
 自爆する日中の研究者たち3完――清末小説と林訳をめぐって………樽本照雄
 莎劇のようなもの(下)――文明戯シェイクスピア………神田一三


 樽本著『清末小説三談』は2019年に公表予定です。




胡適訳、王新禧編注『胡適翻訳小説与翻訳詩歌全集』
長春・時代文藝出版社2018.4


 2018.11.11
 内容は以下のとおり。
 =================================
 出版前言、
 王新禧「編者序言:別求新声於異邦,引来春水開先河――胡適的翻訳小説与翻訳詩歌」、
 ●翻訳小説●、
 一、暴堪海艦之沈没、
 二、生死之交、
 三、国殤、
 四、最後一課、
 五、柏林之圍、
 六、百愁門、
 七、決闘、
 八、梅呂哀、
 九、二漁夫、
 十、殺父母的児子、
 十一、一件美術品、
 十二、愛情与面包、
 十三、一封未寄的信、
 十四、他的情人ほか、
 附録1:≪短篇小説第一集≫訳者自序、
 附録2:≪短篇小説第二集≫訳者自序、
 附録3:論短篇小説、
 ●翻訳詩歌●省略



2018.11.9
 林訳『賂史』の底本につきまして次のように判断しました。
 ALLEN UPWARD“THE INTERNATIONAL SPY: BEING A SECRET HISTORY OF THE RUSSO-JAPANESE WAR.”NEW YORK: G. W. DILLINGHAM COMPANY, 1905(OPEN LIBRARYによる。常方舟)が底本。
 馬泰来の指摘する ALLA[E]N UPWARD“THE PHANTOM TORPEDO-BOATS”(1905)は別名の同一書。ただし細部に異動があり林訳の定本ではありません。



 
中島武訳『インターナショナルスパイ』
人格社1931.9.25 架蔵


2018.10.28
 アップワード著作についての続続報です。
 国立国会図書館デジタルコレクション収録とは別の原本を入手しました。上のとおりです。
 国会図書館のものとほぼ同じです。ただし違う箇所が1ヵ所あります。架蔵のものには挿絵が1枚ついています。
 国会図書館本にそれがない理由は知りません(2018.10.29追記:挿絵について訂正します。国会図書館本の挿絵は全6枚。架蔵の挿絵も6枚です。ただしその配置に一致していないものがあります。同一書でありながらどうしてそうなのか。理由は不明)。
 発売禁止になったようで見返しに「昭和六年九月廿六日(手書き)/安寧禁止(ゴム印)」の記述があります。
 架蔵本には当然ならがそのような書き込みはありません。



 
ALLEN UPWARD“THE PHANTOM TORPEDO-BOATS.”
LONDON: CHATTO & WINDUS, 1905


2018.10.27
 アップワード著作についての続報です。
 林訳『賂史』の底本として常方舟氏の指摘した“THE INTERNATIONAL SPY”1905 は新発見だと紹介しました。
 馬泰来氏が以前から“THE PHANTOM TORPEDO-BOATS”1905 を提出しています。これとは異なった書名です。不思議ですね。
 上に掲げたのが昨日入手した原本です。これを見て半分納得しました。
 本文は同文です。つまり同一作品にふたつの書名がある。馬泰来氏が誤ったわけではありません。氏の堅実な調査があらためて確認されたことになります。
 ネットで調べましたが一書二題の理由を説明するものは見つかりません。調査を継続します。ご教示いただけるとうれしいです。(2018.11.1追記:2種類を見ると米版がスパイ、英版がファントムでした。米英で書名が異なることは普通にあることです)
 なお上記原作の日本語訳があります。国立国会図書館デジタルコレクション収録の中島武訳『インターナショナルスパイ』です。



 
ALLEN UPWARD“THE INTERNATIONAL SPY: BEING A SECRET HISTORY OF THE RUSSO-JAPANESE WAR.”
NEW YORK: G. W. DILLINGHAM COMPANY, 1905(OPEN LIBRARYによる)


(法ママ)亜波倭得著 林紓、陳家麟同訳「賂史」
『東方雑誌』1919連載


 2018.10.26
 常方舟氏よりご教示いただきました。『賂史』の底本についての新発見です。
 (法ママ)亜波倭得著 林紓、陳家麟同訳「賂史」(『東方雑誌』1919連載)の底本についてははやくから馬泰来の指摘があります。まとめて以下のとおり。

 ALLA[E]N UPWARD“THE PHANTOM TORPEDO-BOATS”1905
 林訳誤亜波倭得為法人。中村忠行誤謂原著為 SECRET HISTORY OF TODAY。(馬泰来「林紓翻訳作品全目」81頁)

 中村説は誤りだと指摘しています。誤りだと書いたくらいですから馬泰来の示す英文原書が底本だばかり思っていました。
 ところが実は ALLEN UPWARD“THE INTERNATIONAL SPY: BEING A SECRET HISTORY OF THE RUSSO-JAPANESE WAR.”NEW YORK: G. W. DILLINGHAM COMPANY, 1905(OPEN LIBRARYによる)だそうです。
 英文と林訳の冒頭部分を上に掲げました。なるほど一致しています。そうすると馬泰来の記述は間違いだったのでしょうか。それを確認するためにはもう少し時間が必要です。
 常方舟氏によるこの新発見は近く発表される予定だと聞いています。




趙雁風『多重視角下的近代中日文学比較研究』
長春・東北師範大学出版社2018.5


 2018.10.17
 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 第1章 比較文学的定義和功能、
 第2章 中日文学比較研究的現状与問題、
 第3章 近代中日文学交流及文学特色比較、
 第4章 近代中日政治小説比較、
 第5章 中日近代浪漫主義文学比較、
 第6章 近現代中日写実主義文学比較、
 第7章 中日文学的近代化比較――以魯迅和夏目漱石為代表、
 参考文献




劉鶚著 劉徳隆編『抱残守缺斎日記(壬寅日記、乙巳日記、戊申日記)』
上海世紀出版集団/中西書局2018.6


乙巳日記 十月初三日、初四日
 2018.10.12
 現存する劉鉄雲日記を影印したのが該書の特徴です。写真の両側に本文を活字で起こしているのが親切だと思います。
 以前、問題になった乙巳(1905)日記に見える『老残遊記』執筆の箇所を掲げました。
 乙巳(1905)十月初三日に「撰老残遊記巻十一告成」とあります。翌日初四日には「撰老残遊記巻十五」です。
 第11回を書いた翌日に数回とばして第15回というのは奇妙だ。これが長年の謎でした。
 阿英の間違いによって上の記述は『老残遊記二集』についてのものだと考えられてきたのです。
 初集としても回数をとばしているのは不思議なことですが。
 日記の記述には「二集」はありません。初集についての記録です。第11回は劉鉄雲が没書になったものを復元して書き直したもの。第12-14回はすでに『繍像小説』に掲載されていますから書く必要がなかった。
 それで第15回から書き始めたという経過です。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 劉鶚像/劉大紳題劉鶚遺像/劉鶚像/劉鶚植竹図(≪愚園雅集図≫局部)/太谷学派山長図(黄葆年、李光〓火斤}、蒋文田)、劉鶚≪愚園雅集図≫題簽/≪老残遊記外編≫手稿封面(馬衡題簽)、≪老残遊記外編≫手稿首頁/劉鶚≪弧角三術≫手稿首頁、劉鶚≪芬陀利室存稿≫≪鉄雲詩存≫/劉鶚刻≪十一絃館琴譜≫/劉鶚≪鉄雲蔵亀≫、劉鶚≪鉄雲蔵陶≫/劉鶚碑帖題跋/≪鉄雲遺印譜≫封面、劉厚沢跋≪鉄雲遺印譜≫/劉鶚印/≪抱残守缺斎日記・壬寅日記≫封面、内文/≪抱残守缺斎日記・乙巳日記≫封面、内文/≪抱残守缺斎日記・戊申日記≫封面、内文。
 劉徳隆「序」、
 目 録、
 壬寅日記、
 乙巳日記、
 戊申日記、
 劉徳平「影印≪抱残守缺斎日記≫瑣記」、
 附録:抱残守缺斎・辛丑日記




劉鄂ママ(鶚、劉鉄雲)著 (日)岡崎俊夫訳
大連理工大学出版社2018.1 大中華文庫


 2018.10.12
 孫蓮花、(日)齋藤齊、林楽常、林楽青校訳(審訳)。初序 無評 楊牧之「総序(総論)」、校訳説明(審訳説明)、図1:劉鄂ママ(鶚)肖像、図2:扉写真(注:説明はない。天津日日新聞社版だろう)、本文は漢語と日本語訳を見開きに配置する。注釈は日本語のみ。岡崎俊夫「解説」は日本語のみ。劉鶚の漢字を漢語と日訳で書き分けている意味が不明。




呉永貴著『中国期刊史 第二巻(1911-1949)』
石峰主編 北京・人民出版社2017.12


 2018.10.11
 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 言、
 第1章 民初政治風雲下的政党政論報刊、
 第2章 ≪新青年≫――新期刊開始的地方、
 第3章 流伝不絶的文人論政伝統、
 第4章 期刊上的流派与流変、
 第5章 新旧文学期刊的対峙与共存、など




姚達兌『近代文化交渉与比較文学』
北京・中国社会科学出版社2018.7


 2018.9.23
 内容は以下のとおり。
 =================================
 第1輯 歴史、思想和啓蒙――梁啓超与晩清文学新変、
 第2輯 翻訳、改写和〓写――中外文化交渉与翻訳研究、
 第3輯 事件、作者和影響――傅蘭雅“時新小説”徴文、
 第4輯 書評、考証和訳作、
 跋、
 参考文献




陳大康『中国近代小説史論』
北京・人民文学出版社2018.3 国家哲学社会科学成果文庫


 2018.9.9
 内容は以下のとおり。
 =================================
 序、
 導 言:近代小説的歴史使命、
 第1章 延続与潜動、
 第2章 小説発展体系変化格局的初顕、
 第3章 傅蘭雅徴文徴到了什麼、
 第4章 “小説界革命”及其後之転向(附録:≪新小説≫出版時間辨)、
 第5章 日報小説的興起及其特色(附録:近代刊載小説日報一覧表)、
 第6章 小説専刊的発展歴程(上)(附録:≪小説世界日報≫考辨)、
 第7章 小説専刊的発展歴程(下)(附録:近代小説専刊一覧表)、
 第8章 翻訳小説在中国的出現、
 第9章 近代小説理論変化的歴程、動因与結局、
 第10章 晩清小説与白話地位的提昇、
 第11章 小説盗版与市場漸趨有序、
 第12章 近代報刊小説之転載現象、
 第13章 広告:近代小説研究的重要支〓(附録:晩清的広告小説)、
 結 語、
 附録1 近代日報小説資料長編、
 附録2 近代小説専刊資料長編、
 附録3 近代翻訳小説資料長編





瀬戸博士『莎士比亜在中国』読者書評


 2018.8.28
 アマゾン日本の読者書評は削除されました。お知らせしたとおりです(清末小説研究会ウェブサイト2018.5.7付)。
 上記のアマゾン中国の書評もいつ削除されるかわかりません。
 記録のために掲げた理由です。



2018.8.24
 『清末小説から』第131号の予告です。
 =================================
 いくたびかの阿英目録21………樽本照雄
 莎劇のようなもの(上)――文明戯シェイクスピア………神田一三
 自爆する日中の研究者たち2――清末小説と林訳をめぐって………樽本照雄
 田漢漢訳『ハムレット』の底本3完………荒井由美
 対陳家麟生平及其訳作的補遺与考証………王  玉




〓慶軍『民国初年的文学思潮与文学運動』
北京時代華文書局2017.7 中国藝術研究院学術文庫


 2018.8.18
 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論 近代文学:観念革新与多維視野、
 第1章 民初文壇:政治鼎革与文化変遷、
 第2章 鴛鴦蝴蝶派:生成、分布与審美情緒、
 第3章 黒幕小説:源流、主題及其遭遇新文学、
 第4章 古典詩文:一個不応忽略的文学存在、
 第5章 1916年:新文学的発生之成為可能、
 附録:昧於歴史与過渡詮釈――近十年海外現代文学研究的一種傾向、
 主要参考文献、
 後 記



李同良『訳苑芳菲――浙江女性翻訳家研究』
杭州・浙江大学出版社2018.3


 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 緒 論、
 第1編 20世紀初期的浙江女性翻訳文学、
 第2編 “五四”運動至中華人民共和国成立之前的浙江女性翻訳文学、
 ……、
 索 引、
 後 記



 
(英)莎士比原著 林紓、陳家麟同訳「欧史遺聞・羅馬克野司伝」15-22
『広肇周報』1920.8.1-9.26未完


 2018.8.15
 王玉氏よりご教示いただきました。感謝。
 69期民国九年八月一日、70期八月八日、71期八月十五日、74期九月五日、76期九月十九日、77期九月廿六日、上海図書館蔵書不全ということです。
 上記の作品はQ本が底本であることはすでに指摘があります。
 [古二徳15]WILLIAM SHAKESPEARE, “CORIOLANUS,” IN HISTORICAL TALES FROM SHAKESPEARE, ED. A. T. QUILLER-COUCH, (LONDON: EDWARD ARNOLD, 1899), 9-38 とあるとおりです。




(日)樽本照雄著、李艶麗訳『林紓冤案事件簿』
北京・商務印書館2018.7 商務印書館海外漢学書系


 2018.8.13
 樽本『林紓冤罪事件簿』清末小説研究会2008.3.31を漢訳したもの。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 凡 例、
 謾罵林紓的快楽、
 林訳莎士比亜冤案、
 林訳易卜生冤案、
 林訳斯賓塞冤案、
 林訳塞万提斯冤案、
 林訳小説冤案的原点――関於鄭振鐸“林琴南先生”、
 魯迅製造的林紓冤案――関於“引車賣漿者流”、
 魯迅“出乎意表之外”的意外、
 最近的林訳小説評価――某種不安的新趨勢、
 索 引、
 後 記




田雁『日文図書漢訳出版史』
南京大学出版社2017.12


 2018.8.12
 内容は以下のとおり。
 =================================
 茅家g「序言一」、
 王向遠「序言二」、
 緒 論、
 第1章 従東京到上海――翻訳中心的転移(1851-1911)、
 第2章 線装陰影下的図書翻訳(1912-1949)、
 ……
 後 記、
 参考書目



王家平『≪魯迅訳文全集≫翻訳情況与文本研究』
北京・社会科学院聞見出版社・人文分社2018.5 京華学術文庫


 内容は以下のとおり。
 =================================
 引論 ≪魯迅訳文全集≫研究的基本架構、
 第1篇 魯迅早期訳作的翻訳状況与文本研究、
 ……
 第4篇 魯迅創作与訳作的対話研究、
 余論 魯迅文学翻訳思想及其翻訳策略概評、
 参考文献、
 ≪魯迅訳文全集≫篇目及本専著対各篇訳作研究索引、
 後 記




『周信芳全集 演劇広告巻1』
上海世紀出版集団・上海文化出版社2016.12


 2018.8.8
 「周信芳演劇広告一覧表1906-1929」に1906年1月15日-1919年12月31日が含まれているので購入しました。それだけです。




清末民初小説目録 第10版


 2018.7.19
 『清末民初小説目録』第10版を公開します。




末広鉄腸(重恭)『唖之旅行』
前編と続編。後編欠


 2018.7.14
 黄人訳『唖旅行』の底本が上の書物です。
 ただし、架蔵のものは後編がありません。
 漢訳について「(日)末広鉄腸著 黄人(黄摩西)訳述」と表示しているのには先行文献があります。
 [阿英143]が「日広末ママ鉄腸」と誤っていても、寅半生「小説閑評」などにも書かれているのです。
 ところが、実物(上海図書館所蔵)の上下冊表紙奥付写真を掲げる[付日125]の説明が少し異なります。
 つまり「未署原著者」としているのです。奥付写真を見ればたしかにそうですが。

 上冊、編訳者:小説林社、発行者:上海・小説林総発行所、丁未年九月四版。
 下冊、訳述者:小説林総編集所、発行者:上海・小説林総発行所、丁未年九月二版

 それでは阿英、寅半生らが記述している末広鉄腸と黄人はどうなるのかという問題です。
 〓敏論文99頁には次のように書かれています。ご覧ください。

 上巻正文前印“社会小説唖旅行”、“日本末広鉄腸著”、“昭文黄人訳述”、蔵上海図書館。

 〓敏論文99頁と比較して付建舟の上記説明は少し不足しているといわざるをえません。本文の記載を示さないからです。




〓敏「黄人訳述小説≪唖旅行≫的発現及其価値与影響」
『澳門理工学報』2011年第2期(総第42期)(2011.4.15) 電字版


 2018.7.12
 言及されている『唖旅行』は上海図書館所蔵だそうです。
 その原作は末広鉄腸『唖之旅行』(青木嵩山堂1889.12-1891.9)で国立国会図書館デジタルコレクションなどで読むことができます。
 珍しい論文だと思いますからご紹介しました。



 
『機器妻』上海・改良小説社、宣統元年二月出版
孔夫子旧書網より


 2018.7.8
 上記は上下冊あるうちの下冊のようです。奥付には原作者と訳者の名前がありません。その理由は不明。
 [付日260]の表紙奥付写真を見れば次のようになっています。
 表紙に言情小説、上海改良小説社印行。奥付は原著者:日本羅張氏、訳述者:横竪無尽室主人、発行者:上海・新世界小説社、印刷者:鴻文恒記書局、光緒三十三年九月中旬出版
 関連する記述は、[提要1114]の僅存下篇(第9-16回)です。該提要は創作を収録します。しかしこれは翻訳でしょう。
 また『盛京時報』(1912.10.29-12.6)連載のものは著者名不記です。要約を読めば新世界小説社1907、改良小説社1909と同文であることがわかります。



 
中内蝶二(義一)『惹安達克』
世界歴史譚第32編、博文館1901.12.23


 2018.7.2
 付建舟編『晩清民営書局発行書目』上冊322頁に上記書籍の漢訳が記載されています。
 「国民叢書社訳、光緒二十九年閏四ママ月二十日、上海新民訳印書局」です。
 ただし、同年に閏四月は存在しません。閏五月であれば1903.7.14となります。
 編者に問い合わせました。中国国家図書館のウェブサイトで閲覧したということです。
 実物が誤記しているのか編者の写し間違いかははっきりしないということでした。




郭浩帆『近代報刊視野下中国小説転型研究』
北京・科学出版社2018.4


 2018.6.27
 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 第1章 近代小説与報刊業之関係探略、
 第2章 近代小説報刊概述、
 第3章 近代小説報刊的創〓与刊行――以晩清四大小説期刊為例、
 第4章 近代報刊視野下的小説実践(上)、
 第5章 近代報刊視野下的小説実践(下)、
 附録1:関於近代文学学科地位於研究趨向的思考、
 附録2:1996-1997年中国近代文学研究綜述、
 参考文献、
 後 記




潘瑶菁「≪欧美名家短篇小説叢刊≫来源叢考」
『文匯学人』第347期 2018.6.22


 2018.6.26
 崔文東氏よりファイルをいただきました。樽目録の補充ができるだろうとあります。そのとおりです。ありがとうございます。
 末尾に張治「附記」があります。
 周痩鵑の該書については樽目録第2版(1997)に作品の詳細を記載しています。複写を入手したからそれができました。
 しかし、その他については手をつけていません。
 潘瑶菁論文によっていくつもの原作が明らかになったのはうれしいことです。



 
サルトゥイコフ作、八杉貞利訳『請願人』
新潮社1924.11.25


 2018.6.19
 魯迅の翻訳「飢饉」(1934年初出未見。魯迅全集第16巻1973)は、上記八杉貞利訳「飢饉」に基づいています。
 原作はサルトゥイコフ=シチェドリン作『某市的歴史之一(ある市の歴史)』の一部。
 魯迅は翻訳末尾においてサルトゥイコフ=シチェドリンについて解説しています(訳者附記とも)。その一部分は八杉「はしがき」からの無断借用というのはすでに周知のことなのでしょうか。そうでしたら申し訳ありません。




付建舟編『晩清民営書局発行書目』上下冊
哈爾濱・黒竜江教育出版社2016.12


 2018.6.13
 民営書局の発行書目を集めています。周振鶴『晩清営業書目』(2005)と同類。
 上冊は、前言、掃葉山房から作新社まで、下冊は群益書社から附:広学会まで。
 新聞広告などの書目ですから発行年月の記載はありません。書店によっては要約をつけているものがある。




王曉丹『翻訳史話』
北京・社会科学文献出版社2000.9 百年中国史話


 2018.6.11
 内容は以下のとおり。
 =================================
 王忍之「≪百年中国史話≫叢書総序」、
 引 言、
 1 西方近代科技書刊的翻訳、
 2 西方哲学社会科学書刊的翻訳、
 3 馬克思主義著作在中国的翻訳和伝播、
 4 外国文学作品的翻訳、
 5 西学東漸之影響、
 6 重要翻訳作品著訳者及刊行年代、
 参考書目



趙山林、田根勝、朱崇志編著『近代上海戯曲系年初編』
上海世紀出版集団、上海教育出版社2003.7


 内容は以下のとおり。
 =================================
 胡曉明「再認文学上海(代総序)」、
 前 言、
 1840-1919年の上海戯曲年表、
 参考書目挙要、
 重要人名索引



趙山林『中国近代戯曲編年(1840-1919)』
上海・華東師範大学出版社2008.9


 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 1840-1919年の上海戯曲年表、
 参考書目挙要



 2018.6.9
 『清末民初小説目録 第10版』の公表を準備中です。
 ごくたまに該書「凡例」についての質問をいただきます。
 注釈部分にときどき見かける[樽本][樽本C]とはなにか。説明がない。
 これは自分用の覚え書きです。無視してください。
 せっかくですからご説明します。[樽本]は実物で所蔵するもの。[樽本C]は複写、あるいは影印本で所有するものを意味します。自分が持っているかどうか記憶ではあやふやになっているのでそのためです。
 樽目録第10版では、以上に加えて[樽本D]という記号も使用します。デジタル情報というわけです。
 すでに紙媒体ではなくなっています。400冊近い単行本がDVD1枚に収録されている。場所をとらず閲覧にも便利な時代になったものです。唯一不便といえば電脳がなければ読むことができない点でしょうか。




李〓学『中外文学関係論稿』
台湾・聨経出版事業股▲有限公司2015.1


 2018.6.1
 以下を収録。
 「莎士比亜入華記」
 「可能異域為招魂――蘇曼殊漢訳拝倫縁起」
 「在東西方的夾縫中思考――傅斯年「西学為用」的五四文学観」
 【2018.6.3記】
 「莎士比亜入華記」について誤りだけを指摘します。
 228-229頁 林氏抑且変本加氏C誤題≪吟辺燕語≫為莎士比亜「原著」 ←誤り。『吟辺燕語』が莎氏の「原著」だと林紓が誤解したというのは阿英説です(阿英の原文は次のとおり。「誤原本為《沙氏筆記》」)。これが間違いであることは以前に指摘しました。林紓を非難するためにだけ非難する。林紓を貶めてはなはだしい。台湾でもいまだに林紓批判が継続されているようです。
 229頁 民国締造之後,林琴南仍致力於〓之多}訳莎劇本事,先後完成≪雷差得紀≫等五種,分別発表在≪小説月報≫和≪小説世界≫等刊物上 ←誤り。莎氏ものの底本にはQ本(イプセンものにはデル本)が存在している。2007年に指摘されている事実です。
 237頁 改編莎劇≪馬克白≫為≪竊国賊≫上演 ←誤り。「竊国賊」の底本は林訳「鬼詔」です。先行論文を検討せずに引用しただけ。
 241頁 1918年≪太平洋≫雑誌1巻9号的<莎氏楽府談> ←不精確。著者の名前東潤が抜けている。『太平洋』第1巻第5-9号(1917.7.15-1918.1)に連載された(第7号のみ不掲載)。
 241頁注27 阿英,≪晩清小説史≫(上海:中華書局,1937),頁185頁 ←誤り。版元は中華書局ではなく商務印書館。185頁は後の改訂版のページ数。1937年初版は282頁。

 基本的な箇所がいくつか間違っているのはどういうことでしょうか。著者は台湾と中国大陸、欧米を見通していても日本は視野の外にあるように見えます。




傅謹主編『中国話劇百年典蔵 理論巻1(1906-1929)』
北京・人民文学出版社2017.4


 2018.5.31
 内容は以下のとおり。
 =================================
 傅謹「総序」、
 王鳳霞「編選説明」、
 1 清末民初報刊早期新劇資料(1906-1912)、
 2 民初期刊雑誌和専著中的新劇資料(1913-1920)ほか




阿英「晩清小説目」『晩清戯曲小説目』
増補版1957            初版1954


 2018.5.24
 「阿英目録の小さな疑問」

 先日紹介しました宋韻声『中英翻訳文化交流史』があります。1作品づつ樽目録と比較対照していて奇妙なことに気づきました。
 奇妙といっても『中英翻訳文化交流史』本体のことではありません。
 英国の作家ハガード HENRY RIDER HAGGARD は、漢語に翻訳されると普通は哈葛徳になります。哈葛得とか哈葛特以外にも近似の表記はあるでしょう。
 英語の音訳ですから最後の1文字が徳、得、特に置き換わるのは理解の範囲内です。葛が格になるのも同様。
 『中英翻訳文化交流史』で採録されているのはその範囲内でしかありません。
 問題は阿英目録です。それとは違う表記が出てきます。
 赫格爾徳です。
 周氏兄弟訳『紅星佚史』(1907)、林紓訳『迦茵小伝』(1909)など13種を数えます。
 もうひとつ黒格爾徳と表記しますがこれも林紓訳です。
 赫格爾徳と黒格爾徳は阿英目録にしか見ることができないところが奇妙ですね。
 といって阿英目録には哈葛徳などの記載もしているのですから混在している。
 いつも言っています。阿英目録は実物にもとづいて作成されている。ところが、上のような例があると首をひねるわけです。



 



 2018.5.19
 底本について疑問符をつけていました。確定したのでお知らせします。
 羽化仙史(渋江保)『(冒険小説)食人国探険』大学館1906.5.29(国立国会図書館デジタルコレクションの奥付に訂正印あり)です。
 [阿英176]は羽化仙子ママと誤っています。





瀬戸博士『中国のシェイクスピア』読者書評


 2018.5.7
 昨年3月、アマゾンの読者書評に投稿しました。気がついてみると削除されています。
 再度、同文を投稿しました。
 【2018.5.8追記】本カスタマーレビューはアマゾンから再度削除されました。現在はアマゾンで見ることができません。


2018.5.1
 『清末小説から』第130号の予告です。
 =================================
 いくたびかの阿英目録20………樽本照雄
 2014年の林紓評価………沢本香子
 田漢漢訳『ハムレット』の底本2………荒井由美
 『比律賓志士独立伝』の底本3完………沢本郁馬
 自爆する日中の研究者たち1――清末小説と林訳をめぐって………樽本照雄




宋韻声『中英翻訳文化交流史』
瀋陽・遼寧大学出版社有限責任公司2017.5 中外翻訳文化交流史叢書


 2018.4.28
 内容は以下のとおり。
 =================================
 尹承東、范岳「総序」、
 総 論、
 第1編 近代中英翻訳文化交流、
 第2編 現代中英翻訳文化交流、
 ……、
 主要参考書目

 【2018.4.29追記】  英国作品の翻訳を紹介して多くの作品名がかかげられています。文学ばかりでなく自然科学、社会科学も対象にしている。分厚い書籍になっている理由です。
 先行文献を丹念に収集していることが巻末の「主要参考書目」でわかります。ただし残念ながら樽目録は収録されていません(追記:資料的信頼度がかなり低いという婉曲表現)。
 二次資料から引用しますから誤りを避けることができないのです。
 (英)斯尉夫特著、林紓、魏易『葛利佛利葛』と書名を誤り発行年1897と誤記しています(95頁)。これは[現代892]を踏襲したもの。だいぶ前に馬泰来がその誤りを指摘しているのですが気がつかなったようです。
 阿英が主張した誤りをくり返しています。
 「1875年から1911年までの40年に満たない期間に中国の翻訳小説は600部あまりに到達し当時出版された小説総数の3分の2を占めた」(20、65頁)。2ヵ所で示し疑う様子はありません。これもすでに否定されています。
 林訳についても通説を述べるだけ。
 いまだに莎劇を小説に誤訳したという(77頁)。鄭振鐸の名前を出さないで(無断借用)林訳の欠点を数え上げるという具合です(78頁)。
 以上のような誤解を垂れ流しています。先行文献を写しただけだからでしょうか。それらを検討するという態度が見えません。




劉蘭肖『中国期刊史 第一巻(1815-1911)』
石峰主編 北京・人民出版社2017.12


 2018.4.22
 葉建と共同執筆。内容は以下のとおり。
 =================================
 石峰「緒論」、
 導 言、
 第1章 期刊出版時代的開啓、
 第2章 伝教士与近代中分期刊的創〓、
 第3章 国人自〓近代期刊的高潮、
 第4章 庚子事変後期刊的鮮明刊宗旨、
 第5章 庚子事変後期刊的専業化知識伝播、
 第6章 庚子事変後期刊的大衆化読者定位、
 第7章 図画期刊的発展、
 第8章 外文及民族文字期刊、
 第9章 晩清的期刊編輯思想、
 第10章 晩清的期刊出版行業、
 第11章 晩清的期刊官制、
 第12章 晩清的期刊与社会変遷、
 後 記



羅智国『近代中国書業的非凡時代(1905-1937)』
合肥・時代出版伝媒股▲有限公司、黄山書社2018.2


 内容は以下のとおり。
 =================================
 摘 要、
 緒 論、
 第1章 近代書業繁興的起点:新式教科書、
 第2章 商務対中華:書業競争下的印刷資本主義、
 第3章 書局与“五四新文化作家群体”的塑造、
 第4章 中国近代書籍版本的形成、
 第5章 近代中国新書的価格(1905-1937)、
 第6章 新文化人的閲読世界、
 結 論、
 参考文献、
 後 記




姚文賢、王衛英主編『百年中国科幻小説精品賞析』全5冊
北京・科学普及出版社2017.5


 2018.4.21
 第1冊が清末部分を含みます。
 王康友「序」、
 王晋康「導言」。
  収録する作品は次のとおり。
 荒江釣叟「月球殖民地小説(節選)」、
 東海覚我(徐念慈)「新法螺先生譚」、
 老少年(呉趼人)「新石頭記(節選)」。
  論文は次のとおり。
 任冬梅「晩清至中華人民共和国成立前的科幻小説創作綜述(1904-1949)」、
 任冬梅「中国科幻星際旅行的最初夢想――論荒江釣叟的≪月球殖民地小説≫及其時空観」、
 任冬梅「“虚空界之科学”――徐念慈与≪新法螺先生譚≫」、
 任冬梅「“賈宝玉坐潜水艇”――≪新石頭記≫賞析」。
 第5冊附録に姚海軍「中国長篇科幻小説輯録」があります。



(日)武田雅哉、林久之著、李重民訳『中国科学幻想文学史』上下巻
杭州・浙江大学出版社2017.9


 『中国科学幻想文学館』大修館書店2001.12.1の漢訳です。


趙海霞『近代報刊劇評研究(1872-1919)』
済南・斉魯書社2017.10


 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論、
 第1章 近代報刊戯劇理論批評的概況、成因及発展脈絡、
 第2章 近代報刊戯劇理論批評之形式研究、
 第3章 近代報刊戯劇理論批評之内容研究、
 第4章 近代報刊戯劇理論批評執筆人研究、
 第5章 近代報刊戯劇理論批評与大衆文化、
 結 語、
 参考文献、
 附 録



王風『世運推移与文章興替――中国近代文学論集』
北京大学出版社2015.1


 以下を収録します。
 「“近代文学”“新文学”“現代文学”諸問題」、
 「林紓非桐城派説」、
 「周氏兄弟早期著訳与漢語現代書写語言」、
 「近代報刊評論与五四文学性論説文」、
 「新時代的旧人物」に「林紓:〓我残年 極力衛道」を収録





 2018.4.10
 前回と同じくネットで上の記事を見つけました。
 アリス「★アリスの英文学日記★」というサイトです。公開は2018.4.3です。
 ありがとうございます。





 2018.4.9
 ネットで上の記事を見つけました。
 「糖類の上」という署名があります。ネット公開は2016.5.19です。
 取り上げてくださってありがとうございました。




李彦東『清末小説的生産与伝播』
北京・中国文史出版社2008.12


 2018.4.9
 古書店から入手しました。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 序 論、
 石印小説小論、
 ≪繍像小説≫中的“繍像”、
 新聞生産中的小説伝統――以早期≪申報≫文人対≪聊斎志異≫的接受和転化為例、
 申報館与≪儒林外史≫、
 “刊里書外”:重論≪海上花列伝≫的風格及語言、
 小報与“現形記”的興起:李伯元及其≪官場現形記≫、
 ≪老残遊記≫的三個維度、
 ≪〓海花≫:歴史小説的“範式転移”、
 ≪新小説≫:類型与意識形態的交錯、
 ≪小説林≫:文化生産与小説批評、
 後 記




顔健富『晩清小説的新概念地図』
北京聨合出版公司2018.4


2018.3.24
 顔健富『従「身体」到「世界」:晩清小説的新概念地図』台湾・国立台湾大学出版中心2014.12の再版らしい。
 本研究会ウェブサイト2015.3.25付で紹介しました。
 内容は以下のとおり。
 =====================
 李欧梵「序言」、
 導言、第1章 “世界”想像:広覧地球,発現中国、
 第2章 “冒険”精神:何迥≪獅子血≫“支那哥倫波”的形塑、
 第3章 “忠義”争奪:論晩清“水滸伝”的忠義堂与新旧世界、
 第4章 小説“烏托邦”:概念旅行、叙事展演与文学史反思、
 第5章 “仙人島”転調:論旅生≪癡人説夢記≫的空間想像、
 第6章 “身体/国体”観:“病体中国”的時局隠喩与治療淬煉、
 第7章 “国民”想像:従晩清到魯迅小説的“新中国”与“鉄屋子”、
 結 語、
 引用書目




呉永貴『民国図書出版史編年:1912〜1949』上中下冊
北京・社会科学文献出版社2018.1


2018.3.21
 1912-1949年の出版年表です。出版機構の創設、大型叢書、工具書、教科書、古籍図書の刊行、出版法、著作権法などの法律法規などを月日順に収録しています。




曾攀『跨文化視野下的晩清小説叙事――以上海及晩近中国現代性的展開為中心』
北京・中国言実出版社2016.6


2018.3.11
 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論 跨文化与小説叙事、
 第1章 “怪現状”的“現形記”:権力政治与社会症結的激進叙事、
 第2章 “繁華夢”中的“列伝”:都市欲望之主/客体的故事与範式、
 第3章 “史”与“記”:歴史叙述与現代主体的抒情形態、
 第4章 “鏡”中“花”:社会階層的文化生態与都市鏡像的虚実対照、
 第5章 “現在”与“未来”之中国:跨文化鏡像中的時空重置、家国転喩与叙事倫理、
 結 語 現代中国“進化”記:以≪中国進化小史≫結語



呉沢泉『曖昧的現代性追求:晩清翻新小説研究』
北京・中国社会科学出版社2016.10


 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論、
 第1章 翻新小説創作情況考証、
 第2章 翻新小説創作動因探析、
 第3章 曖昧的現代性追求(上)、
 第4章 曖昧的現代性追求(下)、
 第5章 在伝統中求変、
 結 語、
 附 録、
 参考文献、
 後 記



張珂『民国時期我国的英美文学研究(1912-1949)』
北京・中央編訳出版社2017.10


 内容は以下のとおり。
 =================================
 上編 民国時期“英国文学史”的書写、
 引 言、
 第1章 晩清至民国:“英国文学史”従無到有、
 第2章 作為自覚著述的“英国文学史”書写、
 第3章 作為学術訳著的“英国文学史”書写、
 本編小結、
 下編 民国時期美国文学的評介与研究、
 引 言、
 第4章 歴史回溯:晩清中国人美国文学認識的発生、
 第5-7章(略)、
 本編小結、
 附録1 民国時期我国的“英国文学史”書目提要、
 附録2 民国時期美国文学評介与研究主要文章目録、
 主要参考文献、
 後 記




莫再樹『中国商務英語教学発展史研究(1840-1911)』
北京・外語教学与研究出版社2017.12


2018.3.10
 商務印書館は創業初期の段階で初級英語教科書を出版したことがあります。
 上記書物に言及があるかと思い購入したのです。
 残念ながら説明はなさそうです。商業英語とは BUSINESS ENGLISH であって主として組織での教育を説明しています。




康東元『日本近現代文学漢訳全典』
北京・外語教学与研究出版社2017.8 中青年学者外国語言文学学術前沿研究叢書


2018.3.2
 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 日本近現代文学漢訳作家順序一覧、
 日本近現代文学漢訳全集一覧1923-2015、
 後 記




王〓『晩清標『新』小説論稿』
北京・中国社会科学出版社2017.11


2018.2.28
 内容は以下のとおり。
 =================================
 陳大康「序」、
 緒 論、
 第1章 晩清標“新”小説概述、
 【附論】劉尅キ的求“新”意識与晩清標“新”小説的肇端、
 第2章 晩清標“新”小説成因探析、
 第3章 晩清標“新”小説的分類研究、
 【附論】晩清翻訳小説中的標“新”現象、
 第4章 小説曷言乎“新”――晩清標“新”小説的認識価値、
 第5章 晩清標“新”之翻新小説研究、
 余 論 晩清標“新”小説的定位与属性――兼論翻新小説的歴史回響与当代啓示、
 附録1 晩清標“新”小説編年目録、
 附録2 民初標“新”小説編年目録、
 附録3 近代続書、〓作小説編年目録、
 附録4 近代小説数量統計表、
 参考文献、
 後 記




王燕「李伯元与≪繍像小説≫研究」
『文学与文化』2015年第2期


2018.2.27
 王燕は以前その著書『晩清小説期刊史論』(長春・吉林人民出版社2002)において『繍像小説』発行遅延説に言及したことがあります。
 阿英、張純、樽本の3説があることを明記します。その結論は発行遅延があったとしても無視してもいいような書き方でした。
 あれから13年が経過しましたが、上記論文には発行遅延説は姿を消しています。李伯元が死去して『繍像小説』は1906年4月に第72期を出して停刊した、と。
 資料が増えれば立論は進化するものだと思っていました。ところが王燕のばあいは大昔の阿英説に退化したという不可思議さです。



2018.2.25
 『清末小説から』第129号を掲げます。




李直飛『中国現代文学転型的政治経済学維度:以≪小説月報≫上的広告為中心』
北京・中国社会科学出版社2018.1 聯大学術文庫


2018.2.16
 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論、
 第1章 雑誌上的広告:≪小説月報≫上的広告概覧、
 第2章 広告分析中的経済与現代作家転型、
 第3章 従対広告的分析来看法律、政治与現代文学転型、
 第4章 広告視野下的文学伝播方式転型、
 第5章 広告視野中的読者転型、
 第6章 文学広告作為一種文体、
 結 語、
 参考文献、
 後 記



范軍主編『崇文書局及晩清官書局研究論集』
武漢・長江出版伝播、崇文書局2017.12


 湖北に設立された崇文書局に関する論文集です。




曹樹鈞、孫福良『莎士比亜在中国舞台上』
哈爾濱出版社1989.4


2018.2.12
 古書で購入しました。興味深いです。おおよその内容はつぎのとおり。
 内容提要、張君川「序」、第1章 莎士比亜与中国的戯劇創作、第2章 莎士比亜在中国舞台上(上)など、また「附録」1、莎士比亜戯劇在中国舞台上演出紀事(1902-1989)があります。
 なにが「興味深い」かといえば、文明戯「竊国賊(ハムレット)」の『民国日報』1916年3月11日上演広告から文章を引用していることです。
 以下の3名(ほかにもいるかも知れません)は、まさに同日付『民国日報』にその広告があると引用までしています。

王建開「藝術与宣伝:莎劇訳介与20世紀前半中国社会進程」台湾『中外文学』第33巻第11期(総第395期)2005
〓 嵐「林紓与“娯楽化”的莎士比亜」『読書』2005年第12期(総第321期)2005
張 治『中西因縁:近現代文学視野中的西方「経典」』上海社会科学院出版社2012

 上記3人ともに広告の一部分を省略してところまで一致しているという不思議さ(張治は冒頭部分のみ)。またいかにも『民国日報』の実物を見ているという書き方です。先行する誰かの論文から引用したとは明記していません。
 発行年を見ると曹樹鈞、孫福良『莎士比亜在中国舞台上』が上記3名よりも早い。『莎士比亜在中国舞台上』79頁には『民国日報』1916年3月11日だといって「竊国賊」の広告を引用しています。省略部分も同じ。ありもしない広告をどこで見たのでしょうか。奇妙です。『申報』にはあるのですが。
 王建開、〓嵐、張治らは誰がだれの文章を無断借用したのかわかりません。どうやら『莎士比亜在中国舞台上』が源泉と思われます。多人数を間違わせた引用元が見つかったといっていいでしょうか。まだほかにあるような気もしますが。(つづく)


中国莎士比亜研究会編『莎士比亜在中国』
上海文藝出版社1987.12


 さらにさかのぼって汪義群「莎劇演出在我国戯劇舞台上的変遷」が上記書籍に収録されていました。
 この汪義群論文93頁にそのまま「竊国賊」の広告が引用されており「見1916年3月11日≪民国日報≫」(103頁)とあります。
 曹樹鈞と孫福良の共同論文も該書に掲載されています。ふたりは汪義群論文を読んでいるはずです。引用は汪義群論文からだと考えていいでしょう。一応これを引用元としておきます。
 それにしても誰も引用元の論文を明示しないのはなぜでしょうか。




鄒振環『20世紀中国翻訳史学史』
上海世紀出版集団、中西書局2017.10


2018.2.11
 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 言、
 上篇
 第1章 20世紀初中国翻訳史研究的初〓、
 第2章 20世紀中期中国大陸訳史研究的承勢与転析、
 第3章 20世紀50年代至90年代台湾翻訳史研究管窺、
 第4章 20世紀50年代至90年代香港翻訳史研究挙隅、
 第5章 20世紀80年代初至90年代末訳史史料的整理和研究、
 下篇
 第6章 20世紀最後20年中国翻訳史研究多元格局的形成(上)、
 第7章 20世紀最後20年中国翻訳史研究多元格局的形成(下)、
 全書結語、
 引用資料、
 書影索引、
 後 記




(美)張文献編『美国画報上的中国:1840-1911』
北京大学出版社2017.8


2018.2.9
 絵図多数。胡垣坤、曾露凌、譚雅倫編、村田雄二郎、貴堂嘉之訳『カミング・マン――19世紀アメリカの政治諷刺漫画のなかの中国人』(日本・平凡社1997.4.16)と同趣旨。



趙紀萍『清末民初文学翻訳中的創造性叛逆研究』
済南・山東人民出版社2017.9


 内容は以下のとおり。
 =================================
 導論、
 第1章 清末民初文学翻訳活動、
 第2章 意識形態与清末民初文学翻訳中的創造性叛逆、
 第3章 詩学与清末民初文学翻訳中的創造性叛逆、
 第4章 清末民初文学翻訳対中国文学現代転型的影響、
 結 論、
 参考文献




武田雅哉『中国飛翔文学誌――空を飛びたかった綺態な人たちにまつわる十五の夜噺』
人文書院2017.12.20


2018.2.8
 内容は以下のとおり。
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 はじめに――空飛ぶ中国人、
 第1夜 仙人とは飛ぶ人なり、
 第2夜 よりよく落ちるための想像力、
 第3夜 鳥に乗りたかった人びと、
 第4夜 凧よあがれ風に乗れ、
 第5夜 天翔る〈飛車〉、
 第6夜 進化する〈飛車〉、
 第7夜 八月の槎に乗って、
 第8夜 月世界への旅、
 第9夜 空にあいた穴のむこう、
 第10夜 霧のなかの飛翔者、
 第11夜 気球跳梁の時代、
 第12夜 船もおだてりゃ空を飛ぶ、
 第13夜 翔んでる大清帝国、
 第14夜 なにかが空を飛んでいる、
 第15夜 飛翔計画続行中、
 注、
 参考文献、
 図版出典、
 あとがき、
 索引



2018.1.24
 『清末小説から』第129号の予告です。
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 いくたびかの阿英目録19………樽本照雄
 田漢漢訳『ハムレット』の底本1………荒井由美
 『瑞士建国誌』について――漢訳「スイス独立史」………沢本香子
 李伯元死後のこと(下)――『繍像小説』発行遅延との関係………樽本照雄
 『比律賓志士独立伝』の底本2………沢本郁馬
 文明戯「ハムレット」と『民国日報』の広告………神田一三





瀬戸博士「シェイクスピア作品ではないもの」の事実
樽本照雄


2018.1.19
 「シェイクスピア作品ではないものをシェイクスピア作品として紹介した」。瀬戸博士が林紓を批判して使用する文句です。
 これは使用する相手を間違えています。事実は逆で、林紓を批判した人々にこそふさわしい。ご覧ください。




王建開「藝術与宣伝:莎劇訳介与20世紀前半中国社会進程」
台湾『中外文学』第33巻第11期(総第395期) 2005.4


2018.1.16
 文明戯「ハムレット(竊国賊)」の初演時期をさぐっています。
 〓嵐、張治よりも前に上記の王建開論文が先行します。
 王建開は『民国日報』1916.3.11だというのですが、該当する広告は存在しません。すでにご報告したとおりです。
 謎はなぞのままに終わるのでしょうか。




文娟『文学場域変革中的交融共生――掃葉山房説部及雑誌刊行研究』
上海大学出版社2015.12(再版不記。2017.12の誤植?)



2018.1.9
 上記の書籍は2015年11月に発行されています。本ウェブサイト(2016.1.25)でも紹介しました。
 再版です。ただし、再版の表示はありません。
 初版と頁数も文章もほとんど同じ。写真の一部が異なるくらい。
 136頁注1にあった劉永文関係の文章を削除する。劉永文を名指して批判した刺激的な箇所を引っ込めたとわかります。
 275頁注1を追加し『繍像小説』広告について説明する(本ウェブサイト2016.2.8で指摘ずみ。それをそのまま受け入れた)のが変化でしょう。
 2018.1.10追記:奥付刊年について文娟氏より説明がありました。再版にあたり新しい書籍番号[新的書号]がなかったので以前の刊年を使用したということです。
 「書号」とはISBNと中国版本図書館CIP数據核字を指します。
 事情がありそうですが理解しにくい。だいいち初版は2015年11月です。月違いです。書号を同じにして2015年「12月」では別物になってしまいます。
 すでに出版している書籍ですから抹殺するわけにもいきません。図書館に収蔵するときは2015年11月版と同年12月版のふたつを記録するのでしょうか。内容が完全一致しているわけではないので奇妙な書籍になります。中国の出版制度がそうなのか、よくわかりません。




『商務印書館志略』
上海・商務印書館1929.7/影印本



2018.1.2
 内部出版。創業が1897年ですから32年後の刊行です。
 写真を中心とした社史といっていい。関係者肖像など、創業、組織、編訳、印刷、製造、公益、待遇、栄誉について説明しています。
 記念誌といえば、『上海商務印書館創業十年新廠落成紀念冊』(1907)とか『創立三十年商務印書館志略』(1926)が出版ずみ。書名を見ると30周年記念誌の焼き直しのように見えます。
 樽本「商務印書館の創業記念誌」(『商務印書館研究論集(増補版)』2016)をご覧ください。






2018.1.1
 本年もよろしくお願いいたします。


 『清末小説から』第128号を掲げています。




はじめに
 『清末小説から』の最新号所収の論文と『清末小説』(第35号2012で終刊)ほか樽本の主要著作、小説目録をファイルで読むことができます。
 これまでの研究会活動を紹介するかわりに雑誌『清末小説(研究)』の編集ノートをあつめた編集ノート集をかかげます。おおよその活動が理解できるでしょう。

あらためまして
 中国の清末小説(しんまつ しょうせつ)を専門に研究している会です。清末とは、清朝末期のことを指します。厳密にいえば、「中国の」と付ける必要はありません。清末は、中国にしか存在しませんから。まあ、丁寧に言っております、くらいのことですのでご了承ください。
 年代でいえば1900年代から1911年の辛亥革命をへて五四文学前です。
 日本ならば、明治30年代から大正初期にあたります。
 というわけで、清末小説を専門にしているといっても中華民国初期の小説も含んでおります。誤解のないようにお願いいたします。
 それならば、いっそのこと「清末民初小説研究」と名づけていいようなものの、長いです。
 研究会と称していますが、組織はありません。会員もいません。
 定期刊行物として季刊の『清末小説から』(ウェブでの公開を継続中)を発行することが研究会の目的です。