→はじめての方へ/→過去のお知らせ



陳俊啓『依違於伝統現代、中西――晩清小説新詮』
台湾・文史哲出版社2019.11

2019.12.28

 以下の文章を収録しています。
 =================================
 自 序、
 第1章 従「街談巷語」到「文学之最上乗」:由文化研究観点探討晩清小説観念的演変、
 第2章 晩清小説与「社会動力」:梁啓超小説観的再詮釈及重估、
 第3章 晩清小説的現代性追求:以公案/偵探/推理小説為探討中心、
 第4章 梁啓超≪新中国未来記≫:一個文学類型的考察、
 第5章 徘徊於伝統与現代之間:晩清文人劉鶚的一個思想史個案考察、
 第6章 ≪老残遊記≫中的「個人主観主義」及其在小説史上的意涵、
 第7章 晩清報刊雑誌中的小説読者群体的形塑/消解、
 第8章 晩清現代性開展中首開風気的先鋒:陳季同、
 参考書目

 「参考書目」383頁に『新編増補清末民初小説目録』(注:樽目録第3版)を掲げています。
 その出版社斉魯書社の所在地済南を「急難」と誤記するのはなんでしょうかね。もしかして著者は使用していない?。



徐 蒙『中華書局前期雑誌出版研究(1912-1937)』
台湾・元華文創股▲有限公司2019.11

 以下の文章を収録しています。
 =================================
 王余光「序言」、
 摘 要、
 第1章 緒論、
 第2章 民国時期出版環境和雑誌発展、
 第3章 中華書局発展与雑誌建設、
 第4章 中華雑誌出版与民国教育発展、
 第5章 中華雑誌出版与民国政治社会議題、
 第6章 中華雑誌出版与民国実業思想、
 第7章 中華雑誌出版与民国平民文化生活、
 第8章 中華雑誌出版与民国少年児童生活、
 第9章 雑誌相関的重点人物、
 第10章 雑誌特色与中華書局経営策略、
 第11章 結語、
 参考文献、
 附録1:1914年≪中華教育界≫和≪中華実業界≫広告比較、
 附録2:中華書局主要自〓雑誌価目表、
 後 記




劉徳隆、劉〓「劉鶚与“養天下”的太谷学派」
『文匯学人』第415期 2019.11.29

2019.12.26

 劉徳隆、劉〓王禹}「劉鶚与“養天下”的太谷学派」(『文匯学人』第415期 2019.11.29)です。
 著者からいただきました。ありがとうございます。
 



張永久『摩登已成往事――鴛鴦蝴蝶派文人浮世絵』
天津・百花文藝出版社2012.1

2019.12.22

 以下の文章を収録しています。
 =================================
 内容提要、
 (張)映泉「夜晩也有美麗時(序言)」、
 寂寞文章幾人識?――畢倚虹的悲歓人生、
 傷心人別有懐抱――徐枕亜的情愛小史、
 風中的蝴蝶――陳蝶仙的伝奇人生、
 悲涼秋声,如潮似水――李涵秋的心路歴程、
 人海茫茫夢天涯――厳独鶴的私人生活史、
 満腹心事与誰言?――包天笑的流年砕影、
 分明是書生――葉楚〓的本色、
 断腸人在天涯――為范煙橋自定年譜≪駒光留影録≫補白、
 変了調的夜鶯在歌唱――周痩鵑≪姑蘇書簡≫閲読札記、
 構築迷宮的人――程小青的偵探世界、
 応慚侠気消麿尽――宮白羽的心情、
 附録:主要参考書目、
 後 記




張治『文学的異与同』
北京・商務印書館2019.1 光啓文庫

2019.12.14

 以下の文章を収録しています。
 =================================
 中西文学交流瑣談之四:商務印書館“説部叢書”里的原作
 中西文学交流瑣談之五:商務印書館“説部叢書”里的原作(続)
 書訊三則之二――≪中国科学幻想文学史≫、(日)武田雅哉、林久之著、李重民訳、浙江大学出版社、2017年
 書訊三則之三――≪作為一種思想操練的五四≫、陳平原著、北京大学出版社、2018年



張治『蟻占集』
杭州・浙江大学出版社2017.7 六合叢書


 以下の文章を収録しています。
 =================================
 林紓訳過丘吉爾的小説
 新見晩清翻訳小説≪奇言広記≫
 林訳小説作坊的生産力




任翔、高媛主編『中国偵探小説理論資料(1902-2011)』附録2:翻訳偵探小説目録(1896-1949)
北京師範大学出版社2013.3。602頁

2019.12.10

 (英)般福徳倫納(デラノイ)著 中国商務印書館編訳所訳『(偵探小説)鉄錨手』の原作は “M. R. C. S.” です。それは本ウェブサイトでお知らせしました(9月25日)。
 それまで原作は“The Margate Murder Mystery.”(1902)だと推測されていたのです。
 そう書いたのは中村忠行(1979)です。推測ですから「H. BURFORD DELANNOY:“THE MARGATE MURDER MYSTERY.”1902?」と「?」をつけて樽目録第3版(斉魯書社2002)に記載しています。
 上の目録をご覧ください。
 「?」をつけないで原作は THE MARGATE MURDER MYSTERY. だと断定しています。
 原作については樽目録第3版にしか記載がありません。ゆえに任翔らは樽目録を引用したことがわかります。
 強調しますが「?」を削除しました。これでは独自に特定したことになりますね。
 任翔らは上記目録作成にあたって参考資料を明記していません。ですからこれを普通に無断借用したといいます。
 従来の中村説が否定されました。典拠を示さず、しかも「?」を引用しなかった任翔らは自分で誤記の責任を取らなければなりません。
 細かいようですがはっきり書いておきます。自他の区別をつけることから研究ははじまる。そう考えているからです。
 もうひとつお知らせ。商務印書館編訳所訳とあれば人物は特定できないのが普通です。ところが該作品に限って人名が出てきました。珍しいです。



 
本 文                『盗花』表紙

2019.11.29

 表紙は「言情偵探小説/盗花/上海文明書局発行」、
 本文署名は「英人莎士比原著/江都貢少芹訳意」、
 奥付は「発行所:上海・文明書局、発行所:上海・中華書局、中華民国五年六月初版」
 莎士比原著とあります。従来の研究、目録はすべてシェイクスピア原作だと指摘しています。
 私の知る限り以下の通りです。

[民外0539]莎士比著、1916初版。原著為劇本、本書改訳為小説
[漢訳2563]角書不記、(英)莎士比亜著、1916初版、原為劇本、訳本改為小説
[現代918](英)莎士比亜著、1916初版、本書為戯劇改訳成小説
[大典403]は原著者不記、貢小ママ芹著、1916.6刊の創作とする[大典424](英)莎士比亜著、翻訳とする
[謝天振272]是以小説的形式訳述莎劇「亨利第六遺事」、「盗華ママ」とする
[劉民649]莎士比亜原著
[張治A184]“言情偵探小説”、原作不記。他們往往将莎翁故事演繹成了通俗小説
[偵探632]角書不記
[通目@528]偵探小説、原著者不記、16章、上海・中華書局1916.6
(葉庄新77)標“言情偵探小説”、『亨利六世』改訳、上海啓明書店1916
[韻声106]角書不記、莎士比亜ママ著、上海文明書局1916
[付晩上377]中華書局図書目録1935附録文明書局目録、小本新小説第二集:言情偵探小説
[海瑛19]言情偵探小説、英莎士比亜著、原作不詳
[翻目3-62]偵探小説、莎士比亜著、1916


 とくに張治は従来から林訳の不明原作をいくつも発見していますから注目したのです。
 彼は『シェイクスピア物語』を大衆小説に書き換えたと指摘しました。
 上の本文写真を見て下さい。表示はあっても内容はシェイクスピア SHAKESPEARE ではありません。ましてや“KING HENRY THE SIXTH”でもないのです。
 言及者がこれほど多い作品です。それも貢少芹が莎劇を小説に書き換えたという主張をする研究者ばかりなのはどうでしょう。
 ということは今まで実物を読まずに、あるいは確認せずにそうくり返していたということになります。




郭丹、朱曉慧主編『林紓研究論集』
台湾・ッY文化事業有限公司2019.7

2019.11.23

 上記書籍は本年1月2日付の本ウェブサイトで紹介しました。それと同一内容です。ただ出版社が違うだけ。



 
ネットから引用                『重臣傾国記』

2019.11.21

 (英)威連勒格克司著 趙尊嶽訳『重臣傾国記』(上海・商務印書館1919)の著者は WILLIAM TUFNELL LE QUEUX です。
 いままでその原作は“HER MAJESTY'S MINISTER”だと説明して来ました。
 根拠があります。『商務印書館図書目録(1897-1949)』(北京・商務印書館1981。97-98頁)にそうあるからです。
 これが間違い。正しい原作は“BEHIND THE THRONE(玉座の後ろ)”1905です。


 
ネットから引用             『美人磁』

 同じくル・キュー原作の追加です。
 (法)威廉規克斯著、商務印書館訳『(言情小説)美人磁』(商務印書館 光緒34(1908))の原作が判明しました。
 原作は WILLIAM LE QUEUX“THE TEMPTRESS”1895です。




呉翔宇、徐健豪著『中国児童文学編年史(1908-1949)』
南京大学出版社2019.6

2019.11.15

 蒋風「序」、緒論、1908-1949年、参考文献、後記を収録しています。



 
魏惟儀『帰去来』
台湾・大地出版社1987.4/1987.5再版

2019.11.13

 著者は魏易の娘。「父親的故事」「父親的手稿」「我的父親――魏易」を収録しています。
 林琴南と父親の共訳書を集めて自ら復刻したと聞いたことがあります。残念ながら入手していません。




李麗『生成与接受:中国児童文学翻訳研究(1898-1949)』
武漢・湖北長江出版集団、湖北人民出版社2010.6

2019.11.6

 内容は以下のとおり。
 =================================
 内容摘要、
 第1章 緒 論、
 第2章 中国児童文学翻訳概貌、
 第3章 詩学与児童文学翻訳、
 第4章 賛助者与児童文学翻訳、
 第5章 語言与児童文学翻訳、
 第6章 訳者性情与児童文学翻訳、
 第7章 児童文学翻訳作品的接受、
 第8章 児童文学翻訳作品的影響、
 第9章 総結、徴引文献、
 附録1 清末民初(1898-1919)児童文学翻訳編目、
 附録2 民国時期(1911-1949)児童文学翻訳編目、
 附録3 魯迅児童文学翻訳編目、
 附録4 周作人児童文学訳介編目、
 附録5 世界少年文学叢刊目録、
 附録6 児童文学訳作広告選録、
 後 記。
 徴引文献に樽目録第3版(斉魯書社2002)が掲載されています。そこには収録されていませんが翻訳編目に樽本『清末民初小説年表』(1999)を掲げているのは珍しいですね。




張菊玲、李紅雨編『清末民初旗人京話小説集萃』全3冊
北京・作家出版社有限公司2019.7

2019.11.1

 内容は以下のとおり。
 =================================
 第1冊 前言、王冷仏簡介、春阿氏/李嘯天簡介、京塵影(節選)、
 第2冊 蔡友梅簡介、小額、苦哥哥、一壷醋、捜救孤、曹二更、忠孝全/徐剣胆簡介、七妻之議員、闊太監、
 第3冊 穆儒丐簡介、同命鴛鴦、北京、如夢令




王純菲、周徳波等著『西学東漸与文学変革』
北京・社会科学文献出版社・経済与管理分社2019.4 漢語言文学中国特色研究叢書

2019.10.27

 内容は以下のとおり。
 =================================
 第1章 “文学”観的会通与西方文学文体的植入(周徳波)、
 第2章 “科技論説輔教”与文学功能論的生成(周徳波)、
 第3章 清末民初西学東漸下的中国文学現代性変革(張曉龍)、
 第4章 雛鳳清声:清末民初学堂楽歌文学藝術的啓蒙之音(張曉龍)、
 第5章 襲古納西:鴛鴦蝴蝶派小説的勃興(彭静)、
 第6章 西方叙事与鴛鴦蝴蝶派小説的文本創新(彭静)、
 第7章 效西法、興女学与清末民初女性文学的萌発(王純菲、肇〓伊)、
 第8章 “亜洲”在中国的書写与受容(苗壮)、
 後 記




(法)小仲馬著 林紓訳『巴黎茶花女遺事』
北京・朝華出版社2017.9 「清末民初文献叢刊」影印本

2019.10.25
 光緒辛丑秋玉情瑶怨館校刻の影印本です。影印シリーズでほかにもいくつか刊行されています。



2019.10.10
 過日ご紹介しました付建舟『商務印書館≪説部叢書≫叙録』です。
 全ページに目を通しました。気づいたことを一覧表にしたものを掲載します。
 「付建舟『商務印書館≪説部叢書≫叙録』疑問表」です。
 あくまでも疑問表であることにご注意ください。すべてが間違っているという意味ではありません。
 「注:あり=有 なし或ない=没有、無」と書いたのは漢語の対照表です。中国人研究者が見るかもしれないという老婆心です。意味はない!? そうですか。




喩血輪著、眉睫編校『喩血輪集』上下
武漢・華中師範大学出版社2018.6 荊楚文庫

2019.10.8
 眉睫「前言」、「悲紅悼翠録」「情戦」ら17篇を収録。ほかに「詩文雑著」、附録に「喩血輪小伝」「喩血輪年表」など。



陳建華『紫羅蘭的魅影;周痩鵑与上海文学文化,1911-1949』
上海世紀出版集団、上海文藝出版社2019.1

 内容は以下のとおり。
 =================================
 自 序、
 序章 文言与白話的辯証関係与新旧兼備的文化政治、
 ●第一部 思想、社会与文学背景、
 第2章 周痩鵑、茅盾与二十年代初新旧文学論争、
 第3章 対照鏡:“新”与“旧”的歴史脈絡化、
 第4章 ≪申報・自由談≫:共和憲政与家国想像、
 ●第二部 紫羅蘭与“愛的社群”、
 第5章 “紫羅蘭”的自我再現与都市鏡像、
 第6章 紫羅蘭魅影:愛情、婚姻与家庭、
 第7章 紫羅蘭的公共消費与商品美学、
 ●第三部 小説創作、
 第8章 早期心理小説与“礼拝六派”、
 第9章 “杜撰”小説:民初政治、女性与美学的転型、
 第10章 小説創作的抒情伝統与上海雑交、
 第11章 “詩的小説”与抒情伝統的回帰、
 ●第四部 電影文化、
 第12章 新文人与中国影視現代性、
 第13章 ≪影戯話≫:中国電影批評的先駆、
 第14章 “影戯小説”:早期欧美電影翻訳、
 第15章 原題文学主体的視像技術建構、
 第16章 結語:上海世俗的百年滄桑、
 附録:我所知道的周吟萍 陳新民、
 中文文献、
 英文文献




王海瑛「清末民初翻訳話劇略考(1907-1917)」
『新文学史料』2019年第3期(総第164期)2019.8.22

2019.10.5
 上記の論文は野間信幸氏より複写をいただきました。感謝します。
 清末民初の翻訳話劇を一覧表にして珍しいです。
 ただし林訳シェイクスピア(『小説月報』掲載)を掲げて誤解を続けています。
 林紓は話劇に対する概念が曖昧で小説体で翻訳した。王海瑛は従来どおりの誤りを今も固く信じているのはいかがなものでしょうか。
 2007年に林訳シェイクスピアの原作がクイラー=クーチであることが明らかになっています。
 また樽本著、李艶麗訳『林紓冤案事件簿』(2018)も刊行されました。
 上の一覧表であれば空欄になっている「改編本」にQの名前を入れるべきです。
 その事実を知らずあいかわらず林紓に濡れ衣を着せ続けています。
 こういう事実を目の当たりにすると中国の広大さをいまさらながら感じるわけですね。新しい情報が浸透していない。
 王海瑛本人に問題があります。しかし周囲にその誤解であることを教える人々はいないのでしょうか。
 『新文学史料』の創刊40周年を記念する特別号だそうです。林訳の原作を老舗の編集者も知らないということに少し驚いたことです。




魏艶『福爾摩斯来中国:偵探小説財中国的跨文化伝播』
北京大学出版社2019.6

2019.10.2
 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 論、
 ●第一部分 晩清時期的偵探小説翻訳与創作、
 第1章 林紓、周桂笙与周作人的偵探小説翻訳、
 第2章 晩清時期的偵探小説創作、
 ●第二部分 民国時期的本土偵探小説、
 第3章 民国偵探家与科学話語共同体、
 第4章 民国偵探小説中的日常話語、
 第5章 民国偵探小説中的正義観、
 第6章 偵探小説与上海摩登、
 ●第三部分 狄公案的中西互動、
 第7章 高羅佩与≪武則天四大奇案≫、
 第8章 高羅佩的狄公案系列、
 第9章 狄考案之後、
 第10章 走向世界的当代中国偵探小説、
 参考文献、
 致 謝



羅紫鵬『≪申報≫≪新申報≫小説家述考(1907-1919)』
北京・中国社会科学出版社2018.12

 内容は以下のとおり。
 =================================
 王京清「序言」、
 摘 要、
 緒論 “≪申報≫≪新申報≫小説家”研究之選題及準備、
 第1章 清末民初≪申報≫≪新申報≫小説家概況、
 第2章 ≪申報≫≪新申報≫小説家的“成名”与“隕落”、
 第3章 清末民初≪申報≫≪新申報≫小説家考述、
 第4章 ≪申報≫≪新申報≫小説家群体的意義及価値、
 結 語、
 附録1:≪申報≫小説家及其作品一覧表(1907-1919)、≪新申報≫小説家及其作品一覧表(1916-1919)、
 附録2:≪申報≫≪新申報≫主要小説家別名、字号、籍貫一覧表、
 付録3:≪申報≫≪新申報≫主要小説家小像及出處、
 参考文献、
 索 引、
 後 記



 
 


2019.9.25
 上は(英)般福徳倫納著 中国商務印書館編訳所訳『(偵探小説)鉄錨手』(上海・商務印書館 丙午9(1906)/1914.4再版 説部叢書1=55)です。
 その原作が判明したのでお知らせします。
 原作は BURFORD DELANNOY “M. R. C. S.” WARD, LOCK & CO., LIMITED, (1903)です。



 
“Mrs. Halliburton's troubles.”vol.II      『続賢〓小伝』            

2019.9.22
 過日お知らせしました付建舟『商務印書館≪説部叢書≫叙録』(北京・中国社会科学出版社2019.8)です。
 「経眼録」シリーズと同じく書影を豊富に掲げているのがすばらしい。
 実物で確認しているという自信が示されている。
 新しい発見があるのも嬉しいことです。
 上掲の原作はMRS. HENRY WOOD “LADY GRACE”(1887)だと説明してきました。『商務印書館図書目録(1897-1949)』(1981)の「説部叢書」にそう明記しているからです。
 樽目録第11版にもそう記述しています。それが間違い。
 それについて付建舟氏は別の書名を掲げています(231頁)。出版社を補足して次のとおり。
 MRS. HENRY WOOD “MRS. HALLIBURTON'S TROUBLES.” LONDON: RICHARD BENTLEY, 1862
 そのご指摘は正しいです。ネットから原作の書影を引用します。
 付建舟氏はそれが新発見であることを書きません。謙虚な研究者であるようです。
 ただ翻訳小説研究を前進発展させるためには先行文献の誤りであることを指摘したほうがよかったと思います。
 異なる原作が並べられていると読者は困惑します。以前からいわれている “LADY GRACE” は間違いだと断言すれば迷う人はいないでしょう。




2019.9.17

 研究ネットについてご報告2件です。

 1 清末小説研究会ウェブサイトについて
  アメリカの大学図書館関係者よりメールいただきました。
  「清末小説から」のバックナンバーを読むことができないという質問です。
  自分で確認しましたがそのような事象は発生しません。
  具体的にお知らせいただくようにお願いしました。
  ある特定のバックナンバーを指定するとファイルが存在しないと表示されるそうです。
  示されたそのアドレスを見てすぐに原因が判明しました。
  研究会ウェブサイトが今の場所に移転する前のアドレスになったままです。
  以前は記憶容量が少ないためファイルを部分的に削除せざるをえなかったのです。『清末民初小説目録』を別の場所に置いたのもそれが原因でした。
  あまりにも不便でしたから記憶容量の多いレンタルサーバーを契約して移転したのが数年前のことです。
  旧ウェブサイトには移転先を表示しておいたのですが伝わっていなかったようです。
  それ以来再度の問い合わせはありません。問題は解決したのだと思います。

 2 中国のウェブサイトについて
  中国大陸から本清末小説研究会ウェブサイトに自由に接続できるかという問題です。
  できるできないのふたつに分かれると書いたことがあります。
  大学機関、雑誌などの編集者は日本のウェブサイトに接触できるらしい。
  しかし一般の(?)研究者はそれが困難だと聞かされたというわけ。
  最近、中国大陸の研究者から『清末民初小説目録』第11版を何回試みてもダウンロードできないとメールをいただきました。
  本ウェブサイトになにか不都合があるというわけではありません。回線の問題でしょうか。
  しかたがないのでメールの添付ファイルにして送付しました。ファイルが多きすぎてグーグールのクラウドに転送されたようです。表示された指定ファイルを押下すれば自動的にダウンロードする仕組みだと思います。
  その転送先からダウンロードするのに一苦労したとその中国人研究者から返答をもらったものです。
  詳細はよくわかりません。
  ついでに質問をしました。本年になってその人が開設している研究ウェブサイトに接続できなくなったのはなぜか。
  個人ウェブサイトについて当局の点検が実施されているそうです。「敏感」問題の点検だそうで終了するまで接続できない。それが理由だとわかりました。
  文学研究とはいえ政治と切り離せない。中国大陸ではいろいろと事情があるらしいです。




曲振明『旧書刊〓珍』
上海世紀出版股▲有限公司遠東出版社2014.7



2019.9.13
 「真美善書店増訂版≪〓海花≫」「≪老残遊記≫的両部稀有民国版本」「呉趼人≪二十年目睹之怪現状≫首部合刊本――上海新小説書社絵図評点本」「清人小説中的南極探検――科幻小説≪冰山雪海≫及作者的争議」などがあります。
 『老残遊記』の表紙は亜東図書館本です。
 ところが奥付には亜州ママ図書館となっているのがおもしろい。
 樽目録第3版にも収録しています。写真が掲載されていたのでご紹介しました。




付建舟『商務印書館≪説部叢書≫叙録』
北京・中国社会科学出版社2019.8

2019.9.11
 内容は以下のとおり。
 =================================
 〔日〕樽本照雄「序」、
 例 言、
 第1章 英国作品叙録、
 第2章 法国作品叙録、
 第3章 美国作品叙録、
 第4章 俄日作品叙録、
 第5章 其他諸国与地区作品叙録、
 附録:商務印書館≪説部叢書≫作品一覧、
 参考文献、
 後 記






商務印書館訳『海外拾遺』
商務印書館 光緒34(1908) 影印本

2019.9.6
 『(筆記小説)海外拾遺』(商務印書館 光緒34(1908))があります。
 阿英目録(137頁)が(英)科南達爾著として収録しました。それ以来コナン・ドイルの作品になっています。
 しかし上の奥付に示したようにどこにも科南達爾の表示はありません。本文も同様です
 阿英の権威は特別なものですから後の研究者はそのままを受け入れて疑うことがありません。
 忠実な継承者たちを略号のみで示します(順不同)。
 [劉晩254][劉民665][漢訳2471][祖毅714][編年217][韻声101][商目95][現代907][大典169][慧敏480][現史A49][翻目20-6]
 版元の商務印書館が刊行した自社目録[商目95]にコナン・ドイル(A. CONOママN DOYLE: THE LOST WORLD)とあれば誰でもそれを信じるほかありません。
 [張治1709]が「『海外拾遺』、『洪荒鳥獣記』,都是柯南道爾的那部『失落的世界』」と記述しているほどです。
 張治は実物を手元に置いて着実かつ堅実慎重に判断する研究者だと私は考えています。その彼がだまされるほど阿英の威力は強いという証拠です。
 ほぼ唯一の例外は陳大康でしょう。[編年C1576]英国畢脱利士哈拉丁著と明記しています。新聞広告に示されたのが根拠です。これに[付三192]を付け加えてもよろしい。ただしふたりともそれが誰かは探究していません。
 うーん、ドイルなのかそれとも英国畢脱利士哈拉丁なのか?
 ご安心ください。わざわざこのように提起するのは結論をすでに把握しているからです。「環瀛誌険」と同様ですね。時期がきたらご紹介できるでしょう。




『老残遊記』天津・孟晋書社 影印
「続修四庫全書」第1800 上海古籍出版社2002.3

2019.9.1
 「続修四庫全書」第1800 集部小説類に収録された初集20巻、二編[集]9巻、外編です。
 該全書の編集方針は初出本を採択することがわかります。すべて影印です。
 初集を天津・孟晋書社に定めたのは最善でした。『天津日日新聞』の初出を抜刷りしたものですから。上記の初版には中国(藝術院)戯劇研究院蔵書印が押されています。
 天津図書館所蔵本以外にも存在していたことが判明しました。ただし影印に表紙、扉を収録していない理由は知りません。
 二集はどういうわけか「二編」と表記します。間違いです。二集が正しい。
 二集巻6までは上海・良友図書印刷公司1935.3.1版をそのまま複写しています。2頁を継ぎ目がわからないように収録している。良友本にはちゃんと「二集」と記しています。その柱を削除したので実態がわからなくなりました。こちらも表紙、扉、奥付なし。
 二集巻7-9は魏紹昌編『老残遊記資料』北京・中華書局1962.4版からの複写です。これも2頁をそのまま接合しています。「二編」と表示するのはこの『老残遊記資料』に拠ったものでしょう。正確ではありません。また表紙、扉、奥付なし。
 二集については最善の選択というわけにはいきませんでした。なぜなら初出の『天津日日新聞』ではないからです。切抜き本を劉厚沢、劉尅キが手書きで複写した原稿をもとにしています。残念なことです。
 実物で確認されている二集は日本の京都大学人文科学研究所所蔵の『天津日日新聞』切抜き本です。
 『老残遊記資料』を選んだのはしかたがないということでしょうか。また現在でも中国には『天津日日新聞』切抜き本はみつかっていないことがわかります。
 外編(残稿)も『老残遊記資料』からの複写です。
 外編の初出といえば確かに活字になった『老残遊記資料』にならざるをえません。そこは理解できます。
 参考までに書いておきます。
 外編原稿を複写した樽本照雄編『老残遊記資料』清末小説研究会2004.21.1があります。
 さらには手稿をカラー写真で収録した劉尅キ子女編『翰墨清芬――劉鶚、劉大紳、劉尅キ三世手迹輯存』私家版2014も刊行されています。



 
『老残遊記』百新公司本自叙の印2種
影印本より

2019.8.30
 『老残遊記』の叙に「丙午之秋洪都百錬生記於海上得秋気斎」と明記する百新公司1916年初版本ほかがあります。
 それを根拠にして「得秋気斎」は劉鉄雲の号だとする文献があるのは事実です。
 陳玉堂編著『中国近現代人物名号大辞典(全編増訂本)』(杭州・浙江古籍出版社2005.1)の290頁。号とするも説明なし。
 劉徳隆編『劉鶚集』上冊(劉鶚著、劉徳隆整理 長春・吉林文史出版社2007.12)の771頁はつぎのとおり。「40. 得秋気斎 見部分≪老残遊記≫版本的自序署名」
 あるいは収録しない葉立生主編『五味雑陳話劉鶚――紀念劉鶚逝世一百周年』(北京・中国文史出版社2009.3)もあります。
 早くから疑義が提出されています。
 劉徳隆、朱禧、劉徳平編『劉鶚及老残遊記資料』(成都・四川人民出版社1985.7)の531頁の注@がそれです。
 関係部分のみを引用します。「〓據漢文淵閣版≪老残遊記序≫有“于海上得秋気斎”句,知有“得秋気斎”一説,但無確拠,録此備考」。確かな証拠がないという結論でした。
 上に掲げたのは百新公司の署名に押された印2種です(百新公司初版影印本については紹介しました)。右は判読不可。左は「酔石詞□」らしい。劉鉄雲とは関係のない印だと思います。
 それよりも『天津日日新聞』に掲載された「老残遊記自叙」には丙午之秋を含んだ署名はもとから書かれていません。基本的に存在しない署名を根拠にして劉鉄雲の号であると指摘するのは間違っています。
 ゆえに「得秋気斎」は劉鉄雲の号ではないでしょう。




関詩珮『晩清中国小説観念訳転――翻訳語「小説」的生成及実践』
香港・商務印書館(香港)有限公司2019.5

2019.8.24
 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論、
 ●甲部 訳転小説概念、
 第1章 重探「小説現代性」――呉趼人為個案研究、
 第2章 移植新小説観念:坪内逍遥与梁啓超、
 第3章 呂思勉(成之)〈小説叢話〉対太田義男≪文学概論≫的吸収――兼論西方小説藝術論在晩清的移植、
 第4章 唐「始有意為小説」:従魯迅的≪中国小説史略≫看現代小説(虚構)観念、
 ●乙部 翻訳小説実践 
 第5章 従林紓看中国翻訳観念由晩清到五四的転変――西化、現代化与原著為中心的観念、
 第6章 現代性与記憶:「五四」対林紓文学翻訳的追憶与遺忘、
 第7章 哈葛徳少男文学(boy literature)与林紓少年文学(juvenile literature):殖民主義与晩清中国国族観念的建立、
 総 結、
 名詞及重要主題索引、
 参考文献



李〓娜『比較文学視野下近代中日文学研究』
北京・新華出版社2019.4

 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 第1章 比較文学概述、
 第2章 文化転型背景下比較文学新動向、
 第3章 近代中日文学比較研究、
 第4章 東西文化交融下近代中日文学特色、
 第5章 近代中日政治小説比較、
 第6章 近代中日文学民族主義与民族意識思考、
 第7章 近代中日浪漫主義文学比較、
 第8章 近現代中日写実主義文学比較、
 第9章 近現代中日文学流派比較、
 第10章 中日文学近代化比較――魯迅和夏目漱石小説作品為例、
 参考文献



2019.8.20
 未見論文のリンク先を教えていただきました。感謝します。
 陳大康「晩清報刊上的林紓軼聞」(典拠はファイルに記載されています)
 http://www.chinawriter.com.cn/n1/2018/0412/c404063-29922222.htmlです。




白草「【書評】隔膜的日本漢学家」
『文学報』第167期 2019.6.27 電字版

2019.8.12
 樽本『林紓冤案事件簿』についての書評です。
 標題の「隔膜」とは事情に疎いという漢語です。中国人研究者が外国の研究者を罵倒するばあいの常套句があります。「何も知らない外国人が勝手なことを言っている」
 そのままですね。おまけに「樽本」を「樽木」と誤記して悪意を全開させています。「白草」は筆名でしょう。本名を出すのは具合が悪いのでしょうか(本名でしたらごめん)。
 従来からある文学革命支持派からの批判です。それをくり返しただけ。
 それにしてももう少し早く出てくると思っていました。遅いです。
 とりあえずお疲れ様でした。



  
『老残遊記』上下編
百新公司1916(影印本)

2019.8.10
 上に掲げたのは胡適から「偽作」だと断定された『老残遊記』です。
 偽作を主題にして掘り下げる研究者はあまりいません。当然のような気がします。
 上編は劉鉄雲の本物、下編が他人による贋作です。異形の書物といっていいでしょう。
 これは興味深いものです。なぜいままで誰も手をつけようとしなかったのかと驚くくらい。
 胡適の呪縛があまりにも強かったのが理由でしょうか。
 発表の順序があります。原稿は出来ていますがもう少し先の公表となるでしょう。




洪都百錬生劉鉄雲『(新式標点)老残遊記続編』第21-40回
華北書局1931.10

2019.7.20
 孔夫子旧書網に写真がありました。
 表紙は「老残遊記作者洪都百錬生劉鉄雲先生之遺像題字為羅振玉之手筆」とあります。
 奥付は編輯者洪都百練ママ生、中華民国二十年十月初版。
 百新公司が刊行した贋作と同文です。



虞坤林編『王国維在一九一六』
太原・山西出版集団、山西古籍出版社2008.1

2019.7.14
 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 陳鴻祥「王国維来到了“愛儷園”――序≪王国維在一九一六≫」、
 丙辰日記、
 致友朋書信(1916年)ほか




(美)金多士 GILBERT McINTOSH 著、王海訳、王曉寧校『在華伝教士出版簡史 THE MISSION PRESS IN CHINA』
北京・中央編訳出版社2017.12 報史報人訳介叢書

2019.7.13
 内容は以下のとおり。
 =================================
 上海美華書館1895印刷。
 董広安「訳叢序」、
 前 言、
 簡 介、
 第1章 1844-1846 花華聖経書房、
 第2章 1847-1857 花華聖経書房、
 第3章 1858-1894 美華書館、
 第4章 1895 美華書館、
 第5章 在華其他伝教士書局、
 第6章 聖教書社、
 第7章 結 語、
 附録:出版大事年表(1862-1918年)、
 訳後記



 
『老残遊記』
左 華北図書局1930          右 亜東図書館1925

2019.7.11
 表紙がそっくりです。亜東図書館の意匠を模倣したのが華北図書局ですね。
 かといって胡適「老残遊記序」にある劉鶚小伝とか汪原放「校読後記」などは無視でした。
 購入する気になったのは華北図書局本には駱風和の「序」がついているという文章を読んだからです。
 新しい記事はなにもありませんでした。
 それにしても華北図書局1930.12と表示するにもかかわらず「駱序」は民国二十一(1932)年七月廿九日です。出版年と一致しません。
 著作権は無視して印刷のし放題という状況がわかります。




『環瀛誌険』抽印本 扉

2019.7.10
 7月3日付で『環瀛誌険』単行本について紹介しています。
 「該書は商務印書館刊行ですから「説部叢書」に収録しても不思議ではありません」と書きました。
 その根拠はなにか、とご質問をいただきました。ありがとうございます。
 説明不足だったようです。
 上に掲げたのが該書の扉です。見た記憶があるでしょう。
 これが根拠です。これは商務印書館の「説部叢書」元版の意匠そのままです。右側に「説部叢書/第○集第○編」とないところだけが異なります。
 この題字の扉を使用しながら「説部叢書」に編入されなかった。このことのほうが私には意表之外だと思えます。
 



『女子秘密史 (世界 中国)』
作者不記、奥付なし(天新書局)

2019.7.6
 表紙は「中国女子秘密史」、目録と本文は「世界女子秘密史」。奥付なし。
 内容は以下のとおり。
 上海女子之秘密史、北京女子之秘密史、天津女子之秘密史、広東女子之秘密史、漢口女子之秘密史、南京女子之秘密史、無錫女子之秘密史、寧波女子之秘密史、杭州女子之秘密史、蘇州女子之秘密史

 2002.11.5付「私人蔵書」ウェブサイトに次の書物が紹介されています。
 剣侠小説:《紅紛奇聞》(全一冊)民國13年3月初版/定價大洋六角/原著者:喬露青氏/校訂者:武進徐子/發行者:上海天新書局

 それについている書目のなかに「女子秘密史」が掲げてあります。上に天新書局としましたが間違っているかもしれません。他出版社の可能性もあります。
 1920年代の刊行物のようです。スタンフォード大学図書館のウェブ版蔵書目録に記載があります。それにも奥付はついていないらしい。





豆瓣読書ウェブサイト

2019.7.5
 上記の目録について短評が2本掲載されています。
 ★1と★5に評価が割れました。
 ★5とつけた評者は、あの翻訳小説目録に間違いを見つけ出すことができないと書いています。
 多数の誤りを引用継承するつもりのようです。
 陸国飛『清末民初翻訳小説目録(1840-1919)』は昔の樽本目録第3版(2002)を劣化複写したもの。(現在は第11版あり)
 気づかない人がいるというのも中国の広大さを証明しているでしょう。
 評価★5の人には役に立っているようです。また満足しているのですから特に言うべき言葉はありません。それはそれでいいのではないでしょうか。
 【参照】沢本香子「陸国飛『清末民初翻訳小説目録(1840-1919)』について――直視すれば……」(『清末小説から』第134号(2019.7.1))



 
『環瀛誌険』抽印本

2019.7.3
 『繍像小説』に連載された分を抜き出した単行本です。
 商務印書館にかぎらず『月月小説』でも同じ形態で刊行するものがあります。そのやり方が流行していたらしい。
 該書は商務印書館刊行ですから「説部叢書」に収録しても不思議ではありません。
 なぜだかそれは実現しませんでした。




奥国維也納愛孫孟著、訳者名不記「環瀛誌険」
『繍像小説』連載

2019.7.2
 「環瀛誌険」は小説12篇を収録します。『繍像小説』に連載されました。
 上の挿絵はその冒頭に掲げられています。
 教会のなかで寺男(原文:祝司)が狼3頭に襲われている場面です。
 外をステッキを持った人が歩いているのがなんとものんびりしたもの。緊迫した内容には似合わない挿絵といえます。
 長らく不明でありました愛孫孟についてようやく突き止めました。のちほどご報告できるものと思います。




王景山『魯迅書信考釈(増訂本)』
北京・文化藝術出版社2013.3

2019.6.27
 『林紓冤案事件簿』の関係で知らない中国人から教えてもらいました。感謝。
 上記書籍の上巻に「“阿世”和“禽男”」「関於≪新青年≫問題的若干封信」があります。
 それだけです。
 陳子善「増訂本序言」、王士菁「初版序言」、初版後記、増訂本後記
 本日その「豆瓣読書」を見ましたが該当する投稿が消失しています。削除されたのでしょうか。わかりません。
 【追加訂正】すみません。見落としていました。あります。2019-05-27付の投稿です。




魯毅『従国家叙事到娯楽話語――鴛鴦蝴蝶派流変研究(1909-1920)』
北京・商務印書館2019.2

2019.6.24
 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論、
 第1章 延続与疎離:清末至民初前期鴛鴦蝴蝶派的多元面孔、
 第2章 戯諷与哭悼:民初中期鴛鴦蝴蝶派的両種“表情”、
 第3章 懐旧与忘却:民初中後期鴛鴦蝴蝶派的分野、
 第4章 沈落与勃興:民初末期鴛鴦蝴蝶派的内部更迭、
 結 語、
 参考文献、
 後 記



管賢強『民国初期中学国文教科書外国翻訳作品研究』
北京・社会科学文献出版社、北京社科智庫電子音像出版社2019.3

 内容は以下のとおり。
 =================================
 孟慶枢「序:継承、吸納与創新」、
 導 論、
 第1章 追本遡源:中学国文教科書外国翻訳作品及文学的発生、
 第2章 宏大叙事:去養育思潮及文件互動下的外国文学編選、
 第3章 洞幽知微:外国文学編写細部中薀含的実践知慧、
 第4章 研究教学:外国文学選文的専業聚焦与教学回顧、
 結 語、
 附 録、
 後 記




『老残遊記』初集 天津孟晋書社

 
「孟晋書社告白」    天津『大公報』光緒三十二(1906)年三月十九日

2019.6.19
 劉鉄雲「老残遊記」は『繍像小説』で連載中止となりました。『天津日日新聞』に再度掲載され20回で完結したのは周知のことでしょう。
 問題は連載後に出版された上記単行本の刊年です。
 見れば「印刷所天津日日新聞社/発行所天津孟晋書社/毎本定価大洋三角半」としかありません。
 従来から光緒三十二年(1906)の刊行だろうと推測されています。
 もう少し予測の幅を狭められないでしょうか。
 そこで注目するのは孟晋書社です。『老残遊記』の発行所として有名ですがそれ以外に名前を見ません。
 孟晋書社が自らの活動を停止する新聞広告を出しています。
 天津『大公報』光緒三十二年三月十九日(1906.4.12)からの連続広告(同じもの)です。
 「孟晋書社告白」の主要内容は次のとおり。光緒三十二(1906)年三月初九日に営業停止した。引き続き孟晋書局協記が新たに設立されたことがわかります。
 孟晋書社が『老残遊記』初集を刊行したのは少なくとも「光緒三十二(1906)年三月初九日」以前のことだと考えてよさそうです。




裴效維主編『呉趼人全集:呉趼人研究資料彙編』
哈爾濱・北方文藝出版社2019.3

2019.6.12
 内容は以下のとおり。以前の全集本と基本的には同じようです。
 =================================
  第1輯
 呉趼人年譜……王俊年
 呉趼人伝略稿……(日本)中島利郎著、王維訳
 呉趼人生平及其著作……李育中
 呉趼人到上海年▲考……葉 易
 呉趼人与《漢口日報》――対新発現的一組呉趼人材料的探討……王立興
 附:呉趼人在≪漢口日報≫時期材料四種……王立興
 李、呉両墓得失記(節録)……魏紹昌
  第2輯
 五十年来中国之文学(節録)……胡 適
 呉趼人……阿英
 呉沃堯論……任訪秋
 中西合璧的〓盤――呉趼人政治思想初探……胡冠瑩
 苦難的心霊歴程――呉趼人与晩清社会……張 強
 呉趼人的小説論……黄 霖
 晩清小説中的情節結構類型……(捷克)M. D. 維林吉諾娃(Milen Dolezelova-Velingevova)著、(台湾)謝碧霞訳
 読《二十年目睹之怪現状》札記……呉小如
 従《九命奇冤》的表現特色看它在文学史上的地位……王俊年
 論《恨海》中的人物塑造……(加拿大)邁克爾・伊根(Michael Egan)著 趙〓虎訳
 《上海遊驂録》――呉趼人之政治思想……阿 英
 《呉趼人伝》和《〓人十三種》……呉小如
 試論呉趼人的短篇小説……陳子平
 関於我仏山人的筆記小説五種……盧叔度
 《〓皮話》前言……盧叔度
 一篇新発現的呉趼人佚作……顔廷亮
 呉趼人的両篇佚文……魏紹昌
 新見呉趼人《政治維新要言》及其它……張 純
 関於《海上名妓四大金剛奇書》的両組資料……魏紹昌
  第3輯
 呉趼人著作系年 附録一:呉趼人未刊、初刊不詳、真偽未定著作録/附録二:呉趼人著作辨偽……裴效維
 呉趼人研究資料索引 単篇文章/文学史/辞書……裴效維
 附録:中国台湾、香港地区及日本研究呉趼人資料索引 中国台湾/中国香港/日本……裴效維
 《二十年目睹之怪現状》索隠……(中国香港)高伯雨




楊国明『中国近現代渉関小説研究(1804-1949)』
上海人民出版社2018.11

2019.6.10
 内容は以下のとおり。
 =================================
 干春暉「総序」、
 前 言、
 第1章 常関与洋関:二元格局――近現代渉関小説中的海関制度再現、
 第2章 旁落、追憶与抗争――近現代渉関小説中的海関主権書写、
 第3章 水客走水与国門衛士――近現代渉関小説中的走私緝私図景、
 第4章 上下其手与法網恢恢――近現代渉関小説中的海関腐敗与反腐敗叙事、
 第5章 海関監督譜系――近現代渉関小説人物形象(上)、
 第6章 関員与関属群像――近現代渉関小説人物形象(下)、
 余論――中国近現代渉関小説反映的“得与失”、
 参考文献、
 後 記




徐沛『図像与啓蒙――清末民国画法教化効能研究』
北京・中国社会科学出版社2018.6

2019.6.9
 内容は以下のとおり。
 =================================
 王曉路「序」、
 緒 論、
  上篇 清末民初画報図像的教化効能研究、
 第1章 清末民初画報中科学図像的演変、
 第2章 清末民初児童画報的図像表徴与現代想像、
 第3章 従野蛮人図像看文明概念的演変、
 第4章 体育図像中被展示的身体及其功能、
 第5章 清末民初画報上的戦争叙事与国家神話、
  下篇 清末民初画報教化功能的質性研究――基於編輯按語和読者来信的分析、
 第6章 清末民初画報的〓刊宗旨、
 第7章 従編輯按語看画報的内容選択、
 第8章 画報呈現内容的方式与策略、
 第9章 編輯按語中的意見表達、
 第10章 画報編輯按語中体現的主体性、
 第11章 従読者来信看画報与読者的関係、
 結 論、
 附録:部分清末民初画報創刊詞、重要文章、
 参考文献、
 後 記



 
『遠東聞見録』第1号 光緒33.6.10(1907.7.19)

2019.6.7
 上記雑誌は写真で見ています。表紙がどのような色彩を使用しているのか不明です。なにか写真写りの悪い配色らしい。
 軍服姿の「総経理」とは清国北洋陸軍の李士鋭です。この写真を掲げた理由は該誌の傾向を象徴していると考えるからです。
 つまり『遠東聞見録』は日本にいる中国人が発行した漢語雑誌のひとつでした。
 なにか清末小説に関係するのかと疑問に思われるでしょう。
 おおありなのです。
 該誌には(徳)魯徳耳虎馬爾金著、亜〓重訳「空中戦争未来記」が掲載されています。
 本年4月に本ウェブサイトで紹介した包天笑「空中戦争未来記」と同題であるのが不思議です。
 なぜそうなっているのか別の機会に説明することがあるでしょう。




姚達兌『現代的先声:晩清漢語基督教文学』
広州・中山大学出版社2018.11

2019.6.4
 内容は以下のとおり。
 =================================
 呉承学、彭玉平「総序」、
 林 崗「序言」、
 序 曲、
  上編 典律的〓撞、
 第1章 ≪聖諭広訓≫的流伝、英訳和影響、
 第2章 聖書与白話(上下)、
 第3章 晩清方言小説興衰芻論、
  中編 文学的推動者、
 第4章 写作主題:儒耶争勝与打開中国、
 第5章 中国助手的文化認同、
 第6章 傅蘭雅的新小説徴文、
  下編 本色化及其再現、
 第7章 挿図的翻訳和基督教的本色化、
 第8章 以儒証耶:林楽知訳述≪安仁車≫、
 第9章 〓制蒙書:基督教≪三字経≫和太平天国≪三字経≫、
 尾 声、
 参考文献、
 感謝辞



魯道夫・瓦格納 RUDOLF G. WAGNER、頼〓曄、徐百柯、魏泉、毛立坤、崔潔瑩訳
『晩清的媒体図像与文化出版事業』
台湾・伝記文学出版社股▲有限公司2019.1

 内容は以下のとおり。
 =================================
 周成蔭「序」、
 導 言、
 第1章 加入全球公共体:早期中国報紙(1870-1910)的文字、図像与城市、
 第2章 進入全球想像図景:上海的≪点石斎画報≫、
 第3章 申報館早期的書籍出版:1872-1875、
 第4章 申報館出版品中的女性:1872-1890、
 第5章 危機中的≪申報≫:国際背景下的郭嵩濤与≪申報≫之争、
 第6章 晩清新知識百科全書中対報刊所形成的共識、
 第7章 跨越間隔!晩清与民国時期的外語報刊



 

中島裁之『東文学社紀要』
熊本・中島裁之1908.1.5

2019.5.31
 1900年八カ国連合軍が北京を占領したとき劉鉄雲は上海から資金を携えて難民救済活動に駆けつけました。
 1901年北京において引き続いて活動をするかたわら日本人中島裁之が東文学堂を開設するというので資金援助をしています。
 以下は中島裁之自身が記録した劉鉄雲関係の原文です。
 「学校ノ起ル所以ノ因縁」に劉鉄雲が出てきます。一千圓を寄付するという部分を参考までに掲げます。(句点は樽本)

呉(汝綸)師ハ廉(泉)氏ト捐款ヲ各種ノ方面ニ試ミラルヽ事トナリテ尽力甚ダ周到ナリ。然ルニ当時々局ニ刺激セラレ維新ヲ唱フル者又学校開〓BAN}ノ必要ヲ説ク者等少カラズト雖モ之レガ実行ヲ試ル者ニ至テハ寥々殆ント皆無ト評シテ可ナルベク且守旧派ノ圧迫ヲ怕レテ拱テ傍観スル有様ナリシ。独リ劉鉄雲氏ハ当時慈善会ヲ開設シ乱後ノ負傷病者ヲ収容医治シテ死者埋葬等ノ慈善ニ勉メ種々実行ノ率先者タリシ人ナリシガ呉師及ビ廉氏ノ遊説ニ接シテ東文学社開設ノ為ニ一千弗ヲ捐款スベク承諾セリ。之ニヨリテ学社開設ノ実行ハ着手セラレタリ。而テ劉鉄雲氏ノ親叔ナリト云ヘル王儀鄭氏ヲ聘シテ学社ノ監督トシ余ハ総教習ノ任ニ推サレ廉氏ハ総理トシテ内外ノ事件ヲ処理スル事ニ当リ呉師ハ在外援勢者トシテ間接ノ関係ヲ以テスルニ至レリ。以上ノ人員任務定マリ廉氏ハ外城前孫公園ヲ以テ校舎ニ当ツベク撰定シ一面ニハ直ニ左ノ東文学社ノ願書ヲ李中堂及慶親王ニ呈出セリ

 さらに「会計入金表」に(内訳)一千元 劉鉄雲氏之寄送本社創設捐助金。
 また「会計」の説明「会計二則、曰、経理、曰、補助、経理会計者、自開学之初、劉鉄雲氏所捐送之千圓」とある。
 その「経理会計入金明細書」には光緒二十七年十月九日「九六、○○圓 劉鉄雲助款京松銀七十両兌洋」、十二月五日「一四○、○五 劉鉄雲助款京足一百両兌洋」、同十八日「一三七、八一圓 劉鉄雲助款足京銀一百両兌洋」などです。
 関係者の直接証言として貴重な資料だと考えます。




張静『1899-1908翻訳文学之“変相”研究』
北京・光明日報出版社2019.3 光明社科文庫

2019.5.25
 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 緒 論、
 第1章 翻訳実践的“変相”分析、
 第2章 訳者心態的“変相”分析、
 第3章 読者構成的“変相”分析、
 第4章 訳語的“変相分析”、
 第5章 審美心理的“変相”分析、
 第6章 翻訳文学的帰属、
 第7章 後殖民理論在万死翻訳文学研究中的誤用、
 結 語、
 主要参考文献



 
『小説大観』第3集              影印本

2019.5.24
 (法)莫巴桑 EDMOND ABOUT著 王述勤、廖旭人訳『(社会小説)嫁侯恨』6章と表示します。
 どう見てもモーパッサンとアブーの共著です。
 原作はエドモン・アブー EDMOND ABOUT“LA ME\}RE DE LA MARQUISE”(LES MARIAGES DE PARIS,1856)です。
 MAUPASSANT著とするは不可解としかいいようがありません。




清末民初小説目録 第11版
樽本照雄編 ファイル名 qmbook11.pdf 約64.5MB

2019.5.22

 『清末民初小説目録 第11版』を公開しました。



2019.5.21

 『清末小説から』第134号(2019.7.1)を公開しました。




黄静『晩清民国期中国文学的勧場書写研究』
蕪湖・安徽師範大学出版社2018.11

2019.5.15
 内容は以下のとおり。
 =================================
 謝昭新「序」、
 引 言、
 第1章 歓場文学的発展流変、
 第2章 歓場文学的西方影響、
 第3章 歓場空間的文化内涵、
 第4章 歓場才子的角色演変、
 第5章 歓場女性的形象譜系、
 第6章 歓場女性的身体闡釈、
 第7章 歓場書写的性別立場、
 余 論、
 主要参考書目




馬曉冬『曾樸:文化転型期的翻訳家』
北京大学出版社2014.10 中法文学関係研究叢書

2019.5.12
 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 言、
 第1章 訳者曾樸的文学道路、
 第2章 翻訳観念与翻訳選択、
 第3章 翻訳実践:曾樸筆下的雨果、
 第4章 翻訳与写作、
 結 語、
 参考文献、
 附録1:曾樸翻訳作品目録、
 附録2:曾樸著作目録、
 附録3:普林斯頓大学東亜図書館所蔵曾樸日記手稿中的文学史料、
 附録4:≪影之花≫的訳者問題、
 後 記



沈潜、肖逸然著『曾樸』
南京・鳳凰出版伝媒股▲有限公司、江蘇人民出版社2016.1 江蘇歴代名人伝記叢書

 内容は以下のとおり。
 =================================
 宋林飛「序」、
 第1章 江南書香世家子、
 第2章 有才子如不羈馬、
 第3章 京華慷慨名士気、
 第4章 抱病居家志維新、
 第5章 著訳蔚成小説林、
 第6章 癡心異邦有知音、
 第7章 〓海花開伝秉筆、
 第8章 宦海浮沈標風節、
 第9章 乱世迷情家邦涙、
 第10章 父子書店真美善、
 第11章 文壇先覚架橋梁、
 第12章 文宗千個仰虞山、
 主要参考書目



韓希明『快意動千秋――話説曾樸』
南京・江蘇人民出版社2017.11 文学江蘇読本

 内容は以下のとおり。
 =================================
 1、引言:安享孤独、
 2、自己留些生活的痕跡――曾樸的生平、
 3、総希望作品発生作用――曾樸的文学思想、
 4、尽量容納近三十年来的歴史≪〓海花≫的成書和修改、
 5、展示出近代中国方生未死之間的全部歴史内容――≪〓海花≫的思想内容与芸術成就、
 6、拿着葫蘆来播種,等着生出新的葫蘆来――曾樸的訳著、
 7、写情感処全是真的,幾乎没些子虚偽――曾樸的自伝体小説≪魯男子≫、
 8、在感情的支配下,我就充実了衝破藩籬的勇気――曾樸情史、
 9、在初意原想順応潮流――“小説林”社和≪小説林≫雑誌、
 10、還想蹣跚地攀登〓新的文壇――≪真美善≫雑誌和“真美善”作家群、
 11、生不患功名之不顕,而患事業之無成――曾樸的未竟之業




常熟市文化広電新聞出版局、≪曾樸全集≫編輯委員会編、苗懐明主編『曾樸全集』全10冊
揚州・広陵書社2018.11

2019.5.11
 内容は以下のとおり。
 =================================
  第1巻 潘建国主編、欒偉平校注、
 前言、整理凡例、
 〓海花 修改後要説的幾句話、18巻35回、
 附録 蔡元培「追悼曾孟樸先生」、胡適「追憶曾孟樸先生」、郁達夫「記曾孟樸先生」、崔万秋「東亜病夫訪問記」、
  第2巻 潘建国主編、丁浩、朱純学、徐醒尉整理校注、
 魯男子 序幕、巻頭語、第一部 恋、附録1:第二部 婚、附録2;第六部 戦、
 雪曇夢 32出、
  第3巻 陸永峰主編、沈潜、薛〓、付鳳娟整理、
 詩集 未理集、秋試集、羌無集、〓沫集、〓網集、補遺集、
 文録甲集、
 文録乙集、
 文録新集、
  第4巻 陸永峰主編、朱新華整理、
 補後漢書藝文志、
 補後漢書藝文志考、
  第5巻 陸永峰主編、馬曉冬校注、
 法蘭西文学史、
 法蘭西文学史(影印)、
  第6巻 馬曉冬主編、欒偉平校注、
 影之花、馬哥王后佚史、血婚哀史、
  第7巻 葉黎儂主編、韓一宇校注、
 九十三年、訳文残稿(訳司各特≪肯尼爾沃思堡≫残稿、訳≪銀瓶怨≫残稿)、
  第8巻 馬曉冬主編、徐歓顔校注、
 欧那尼、呂克蘭斯鮑夏、項日楽、呂伯蘭、鐘楼怪人、夫人学堂、
  第9巻 馬曉冬主編、馬曉冬校注、
 発表於文学期刊的散篇訳文(1927-1931)、南丹、乃雄夫人、肉与死、
  第10巻 葉黎儂主編、薛〓、周冬英、馬曉冬、陶元駿、葉雨、劉洪〓、王曦虹、王〓、浦宇澄整理、
 読書札記 執丹〓語(執丹西行記目録、執丹〓語)、海虞金石待訪目録、群玉楼四部書総目、象記、回想録、信札、拾遺、曾樸年譜、後記




〓文〓「日本学者追溯底本,著書澄清“林紓冤案”」
『中国出版伝媒商報』2019.3.27 電字版

2019.5.9
 http://www.cnpubg.com/news/2019/0327/42565.shtml に掲載されています。




阪本ちづみ『張恨水の時空間――中国近現代大衆小説研究』
勉誠出版2019.3.29

2019.4.20
 内容は以下のとおり。
 =================================
 牧陽一「序」、
 第1部 張恨水作品論、
 第2部 中国現代文学研究、
 第3部 エッセイ、
 第4部 加藤三由紀、栗山千香子、宮尾正樹、牧陽一「解説とあとがき」



2019.4.19

 『清末小説から』第134号(2019.7.1)の予告です。
 =================================
 いくたびかの阿英目録24………樽本照雄
 林訳『賂史』の底本………神田一三
 陸国飛『清末民初翻訳小説目録(1840-1919)』について――直視すれば…………沢本香子
 林紓与苦海余生(劉錦江)往来考――从林紓佚文《〈佳儿佳婦〉序》談起………王  玉
 意見拡散には相応の反応がある………樽本照雄




 
ルードルフ・マーチン著、高野弦月(巽)訳『(小説)破天荒』
小川尚栄堂1908

2019.4.16
 マーチン原作ですが破天荒な日本語翻訳です。ページの上半分は重複する絵図が占めています。
 上は架蔵のもの。国立国会図書館デジタルコレクションで見ることが可能です。
 「空中戦争未来記」も同じくマーチン原著ですと続ければ説明が長くなります。ここではそういう日本語訳もあるということで。横田順爾著作1033-1036頁にも当然言及があります。



 
包天笑「空中戦争未来記」『月月小説』21号1908  破天荒生「空中戦争未来記」『冒険世界』第1巻第5号1908

2019.4.13
 日本破天荒生の作品を包天笑が漢訳したものです(渡辺浩司氏の指摘)。
 飛行艇を主題とした空想科学小説(SF)ですが、周囲の状況を調べてみると興味深いですね(武田雅哉144-145頁に言及あり)。
 明治期の日本SFがヨーロッパに影響を受けており日本経由でそれを中国が受容するという構造らしい。
 奥が深いといえましょう。




呉淳邦、李〓学、黎子鵬主編『清代基督宗教小説選注』上下巻
台湾・中央研究院中国文哲研究所2018.12

2019.4.4
 内容は以下のとおり。
 =================================
 ●上 巻
 目 次、
 編 序、
 編注凡例、
 常用書目代称、
 編注人員名単、
 導論(李〓学、呉淳邦、黎子鵬)、
 淵源編(李〓学)、
 創作編(呉淳邦、黎子鵬)
  米憐「張遠両友相論」1819、
  郭実獵「悔罪之大略」1830s,
  理雅各「約瑟紀略」1852、
  丁〓良「喩道伝」1858、
  楊格非、沈子星「引家帰道」1889、
  郭子符「駆魔伝」1895、
  鍾清源「夢治三〓小説」1895、
 ●下 巻  翻訳編(呉淳邦、黎子鵬)、
  葉納清「金屋型儀」1852、
  賓為霖「天路歴程(官話)」1865、
  博美瑞「安楽家」1882、
  李提摩太「喩道要旨」1893、
  亮楽月、陳春生「五更鐘」1907、
 索 引




劉徳隆、劉〓編著『劉鶚年譜長編』
上海交通大学出版社2019.1

2019.4.3
 著者よりいただきました。感謝。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 図12頁、
 周汝昌「序」、
 前 言、
 編者説明、
 目 録、
 1857-1909年、
 譜 後、
 附録1 鮑鼎「抱残守缺斎蔵器目」、
 附録2 劉厚沢「明塩雑考」、
 附録3 劉厚沢英文原稿、劉徳平訳「黄河歴史概述、治理和治河技術」、
 主要引用書目、
 後 記




〓国義編注『マ夕閑談:考注与資料彙輯』
上海古籍出版社2018.11

2019.4.1
 内容は以下のとおり。
 =================================
 〓烏邦}国義「前言」、
 蠡勺居士「マ夕閑談」上巻、次巻、三巻、
 ≪マ夕閑談≫資料彙輯、
 1、蒋其章生平、科挙及家世資料、
 2、≪申報≫時期詩文唱和、
 3、甘粛、新疆、山東時期、
 4、≪申報≫早期与美査資料、
 5、≪瀛寰瑣紀≫与≪マ夕閑談≫出版、
 6、利頓与中国、
 7、研究論文及論著目録、
 附録:
 〓国義「第一部翻訳小説≪マ夕閑談≫訳事考論」、
 〓国義「≪申報≫第一任朱筆蒋其章卒年及其他」




「豆瓣読書」2019.3.1

2019.3.30

意見拡散には相応の反応がある


 中国の文学研究について外国人が事実にもとづいて具体的に批評すると本人および中国人の一部は立腹する。不思議ではない。普通のことだ。発言者が日本人であればその怒りが倍加するらしいのを見てきた。当事者の中国人研究者たちそれぞれから弁解あるいは憤怒の手紙をもらったこともある。私の経験からいっていつもそうだった。最近の例を紹介する。当事者ではないはずだが示した反応が似ている。
 樽本照雄著、李艶麗訳『林紓案事件簿』(北京・商務印書館2018.7)に関して中国のウェブサイト「豆瓣読書」に短評がいくつか掲載されている。個人の受け止め方は自由だ。しかしそれを文章にして外部に拡散すれば反応が出てきて当然だろう。承知のうえだと理解する。
 そのうちのひとり筆名「海生花(南京)」が書いて日本人が林琴南の冤罪を晴らしたという(2019.3.1付)。ただし『事件簿』の書き方が気に障る。「お前たちは全員だめだ、自分だけが新世界を発見した[〓們都不行、只有我発現了新大陸]」と読んだ。そういう風に感じられるという。どうしてもそこが気に食わない。「海生花(南京)」が表現したその部分が興味深い。「しかし間違いなく不愉快に感じる[然而確実感到不舒服]」。
 「海生花(南京)」が誰だか知らない(リンクをたどると曹丹紅・南京大学が出てきた。当人と関係があるかどうかは未確認)。まるで自分が非難されたかのように不愉快をおぼえるくらいだから研究者らしい。そこから「海生花(南京)」が反林紓(以下、林琴南と示す)である文学革命派側に立っていることが透けて見える。ここは中国学界の伝統を守っている。
 それはそうだと私はひとり納得する。中国で林琴南批判がはじまったのは1918年という五四直前からだ。「文化大革命」を経過して1980年ころまで林琴南批判が基本である。2007年に林琴南冤罪説が日本で提起された。日本語で書かれたから知っている中国人研究者は多くない。
 それにしてもほとんど90年から100年間にわたって林琴南批判が継続実行されていた事実は重い。しかも冤罪が明らかになった今も林琴南研究には言及してはならないらしい立入禁止区域がある。いまだに林琴南の名誉は完全に回復されてはいないのだ。林琴南批判者たち全員は自分が林琴南の人権を侵害しているという認識を持たない。
 「海生花(南京)」は物心ついてからそういう環境の只中にあった。それ以外の見方が存在するなど想像もしなかっただろう。証明不必要の林琴南批判が学界の常識だ。意識しなくても反林琴南が当然の世界である。誰も疑問に思わなかった。そこに身を置き学習を重ねて成長すれば周囲の人々と同じで不安を感じることなく骨がらみで安定した反林琴南論者になる。
 ところが中国では2018年になって『林紓冤案事件簿』が出現した。一般の研究者にしてみれば突然外部から林琴南は冤罪だと提起されたことになる。それも日本人がそう指摘しているから「海生花(南京)」は頭では理解できても生理的に受け入れることができない。自分の感情を害されて不快になった。身体的反応を示す「不舒服」という言葉に反日感情をからめてむき出しにした。もしもフランス人研究者が同じことを書いたら「不舒服」と感じるだろうか。いや中国人が気づかなかった事実を指摘してくれたと絶賛すると思う(個人の感想です)。ところが日本人だとどうしても偏向してしまう。それが今の中国人研究者の一部分だ。
 ここは注意点である。研究に国境は存在しない。論文内容が重要であって執筆者が誰であるかは無関係だ。だが日本人が書いたというだけで嫌悪感を抱くならば「海生花(南京)」の(研究者としての)将来は期待できない。林琴南冤罪を提出したのはなぜ自分ではなかったのか。他人にできて自分ができなかった理由はなにか。それを反省したうえで原因を追究してこそ自己の発展につながる。分野は違っても研究原理は同じである。そこが重要だ。気分が悪いと被害者を気取っているばあいではない。
 とはいえ筆名を使う身元不明人だ。当人にしてみれば外部からの声はよけいなお世話だろう。親切に助言するだけ無駄だと思う。結局のところ個人の感想におちつく。第三者が口をはさむことではない。




王泉根『百年中国児童文学編年史(1900-2016)』
長沙・湖南少年児童出版社2017.12

2019.3.19
 内容は以下のとおり。
 =================================
 魯迅箴言録、
 作者簡介(王泉根)、
 序 言:≪百年中国児童文学編年史≫的意義与体例、
 本文1900-2016年、
 附録1:≪百年百部中国児童文学経典書系≫総序与書目、
 附録2:百年中国児童文学理論著作書目(附輯)外国児童文学理論訳著書目、
 後 記



馬雲『中国近現代人文幻想小説研究』
北京・中国社会科学出版社2018.8

 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 言、
 第1章 中西方人文幻想小説的発展演変、
 第2章 晩清幻想小説的興起、
 第3章 晩清人文幻想小説、
 第4章 現代人文幻想小説沈寂的背後、
 第5章 五四以後的人文幻想小説、
 第6章 新時代的人文幻想小説、
 第7章 21世紀的人文幻想小説、
 結 語、
 附録:文学的政治閲読――中国現代文学研究新思潮、
 参考文献、
 後 記


 
朱羲冑『林畏廬先生学行譜記四種』(外一種:文微)
成都・四川大学出版社2018.11

 左は朱羲冑『林琴南先生学行譜記四種』(1949.4/台湾・世界書局1965.4再版)で影印本です。
 右が元本の影印本。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 貞文先生年譜、
 春覚斎箸述記、
 貞文先生学行記、
 林氏弟子表、
 文微(新収録)、
 朱心仏――交互輝映的光輝人生(新収録)




欧美名家偵探小説大観 (短篇偵探小説集)第一集
(英)柯南道爾原著 周痩鵑主撰

2019.3.11
 最近入手した原本です。ただし表紙と奥付はありません。見たままの古本です。
 目録によれば上海交通図書館1919.5.1ということです。
 「原叙」があります。本文は「第一集福爾摩斯偵探案新編」です。
 前の部分に「毋忘五月九日国恥紀念」と大書されます。上の「方争国権 提倡国貨」と関係があります。
 1915年、日本の「対華二十一カ条要求」が承認されたので「国恥紀念」です。
 今まで原作が明らかにされたことはありません。
 以下のとおりです。

 ARTHUR CONAN DOYLE “HIS LAST BOW.. A REMINISCENCE OF SHERLOCK HOLMES” 1917
 黄眉虎 ADVENTURE OF WISTERIA LODGE、
 双耳記 ADVENTURE OF THE CARDBOARD BOX、
 死神 ADVENTURE OF THE RED CIRCLE、
 艇図案 ADVENTURE OF THE BRUCE-PARTINGTON PLANS、
 〓中女 THE DISAPPEARANCE OF LADY FRANCES CARFAX、
 岩屋破奸 HIS LAST BOW - AN EPILOGUE OF SHERLOCK HOLMES




関愛和主編『中国近代文学論文集・小説巻(1980-2017)』
蘇州大学出版社2018.10

2019.3.10
 内容は以下のとおり。
 =================================
 関愛和「序」、
 関愛和「前言」、
 侯忠義「略近代小説的歴史分期及其特点」、
 顔廷亮「晩清小説理論発展新段階的一個標志――晩清革命派関於小説与社会生活関係的論述」、
 裴效維「試論近代小説的興盛与演変」、
 陳平原「“史伝”“詩騒”伝統与小説叙事模式的転変――従“新小説”到“現代小説”」、
 王祖献「外国小説与清末民初小説芸術的近代化」、
 欒梅健「稿費制度的確立与職業作家的出現――二十世紀中国文学発生論之一」、
 郭長海「魯迅和周痩鵑」、
 袁 進「試論晩清小説読者的変化」、
 張宜雷「“詩界革命”和“小説界革命在天津”」、
 郭延礼「重新認識中国近代小説」、
 譚光輝「晩清小説中的疾病隠喩与中国小説的現代化進程」、
 程華平+程華林「伝統文学観念与外国小説的近代接受」、
 劉 〓「論晩清小説“妓女”与“貞女”形象的并置現象」、
 陳大康「論近代日報小説」、
 任訪秋「曾樸和的≪〓海花≫」、
 譚正璧「論≪小五義≫」、
 王俊年「従≪九命奇冤≫的表現特色看它在文学史上的地位」、
 ケ紹基「従≪三侠五義≫談侠義人物――給一位青年朋友的復信」、
 鍾賢培「劉鶚論辨」、
 張俊才「林紓小説創作簡論」、
 関愛和「論老残」、
 楊聯芬「≪〓海花≫与中国歴史小説模式的現代転変」、
 韓 南「≪風月夢≫与青楼小説」、
 范伯群「≪海上花列伝≫:現代通俗小説開山之作」、
 陸建徳「再説“荊生”,兼及運動之術」、
 黄 霖「民国初年“旧派”小説家的声音」、
 林 崗「官場与民俗――譴責小説研究」、
 欧陽健「晩清“翻新”小説綜論」、
 王学鈞「実録与評論:晩清陸士諤社会小説論」、
 苗懐明「従公案到偵探――論晩清公案小説的終結与近代偵探小説的生成」、
 湯哲声「蛻変中的蝴蝶――論民初小説創作的価値取向」、
 侯運華「江南士風与狭邪小説」、
 郭浩帆「清末民初小説与報刊業之関係探略」、
 劉大先「清末民初京旗小説引論」、
 劉鉄群「鴛鴦蝴蝶派作家与市民社会」、
 任 翔「中国偵探小説的発生及其意義」、
 夏曉虹「晩清“新小説”辨義」





豆瓣読書 林紓訳文全集の読者グラフ

2019.2.28
 中国のウェブサイト「豆瓣読書」です。
 略して『林訳全集』について2月27日に突然30名近くの投稿がありました。
 それまでほとんど人はいませんでしたからなんだろうと思ったことです。
 その中に『清末小説から』第133号が……とあります。
 日本の清末小説研究会ウェブサイトは中国からは接続できる人とそうでない人に分かれるらしいです。
 たまたま接続して『清末小説から』第133号を見た人の投稿が刺激になったのかと感じました。



2019.2.26

 『清末小説から』第133号(2019.4.1)を公開しました。
 =================================
 いくたびかの阿英目録23………樽本照雄
 『林紓訳文全集』について――全集モドキでボッタクリ………沢本香子
 呉檮についての文娟論文………荒井由美
 陳大康『中国近代小説史論』の年表――『編年史』との関係で………樽本照雄
 《廣肇周報》与林紓佚著《京華追憶録》………王  玉
 清末小説から





(周)痩鵑訳「(怨情小説)〓瑰有棘」
『礼拝六』41期 1915.3.13

2019.2.19
 上記翻訳作品については樽目第2版より「莎士比亜(SHAKESPEARE)作という」と説明しています。「という」と書いて確認してはいません。
 その後、王智毅『周痩鵑研究資料』(天津人民出版社1993.2)は365頁に「莎士比亜作」と明記します。なにか根拠があるのでしょう。
 ただし原文に莎士比亜の名前はないのに奇妙なことだと思ったのです。
 最近的は陸国飛『清末民初翻訳小説目録(1940-1919)』(上海交通大学出版社2018.8)が125頁に「莎士比亜(SHAKESPEARE)著」としています。
 陸国飛目録は樽目第3版に基づいているのが明らかです。ただし「という」という箇所が読めなかったのでしょう。断定してしまいました。
 原文は上に掲げたとおり。冒頭に莎士比亜(SHAKESPEARE)の漢訳ソネット35を部分引用している。
 どうやらそれが誤解を生む原因だったようです。




葉依群『≪域外小説集≫的生成与接受』
杭州・浙江大学出版社2018.5

2019.2.13
 内容は以下のとおり。
 =================================
 前 言、
 第1章 緒論――作為翻訳家的周氏兄弟、
 第2章 ≪域外小説集≫研究概述、
 第3章 晩清文学翻訳的背景和特点、
 第4章 周氏兄弟早期的文学活動、
 第5章 ≪域外小説集≫的訳介準備、
 第6章 周氏兄弟在≪域外小説集≫中的訳介合作、
 第7章 ≪域外小説集≫的出版与銷售、
 第8章 ≪域外小説集≫訳介研究、
 第9章 ≪域外小説集≫的学術特徴与学界評価、
 第10章 ≪域外小説集≫読者接受的多視角闡釈、
 参考文献、
 附 録、
 索 引、
 結 語




呉興文『書縁瑣記』
北京・海豚出版社2015.5

2019.2.11
 写真では大きくなっていますが小型本です。
 著者の呉興文は「(序言)外国小説翻訳先駆:林紓」(上海書店出版社編『林紓訳文全集』上海書店出版社2018.3)を書きました。
 蔵書家で有名。台北から上海、北京を巡って書物を購入することが綴られています。ただし別に林紓について書いた文章があるわけではありません。
 布張りのような感触の装丁で貼り題簽風な書名と凝ったうえに表紙画が美しい。いかにも書物愛好家らしいつくりです。
 それを見た家人がモリスだねといいます。
 なるほどウイリアム・モリス(William Morris, 1834-96)がデザインしたテキスタイル「バラ」(1883)でした。
 100年以上も前に死去していますから著作権は消滅している。書物のどこかにモリスの表示くらいすればいいのに、それがありません。
 中国大陸、台湾では装丁画について明記するという習慣はないということでしょうか。知っている人だけが知っている。




(英)狄克多那文著、商務印書館編訳所訳『(偵探小説)多那文包探案』
上海・商務印書館丁未(1907)/1913 説部叢書初集第76編

2019.2.9
 中村忠行論文では未収録だった次を補充します。
 鬼之宅 “THE SECRETS OF A HAUNTED HOUSE” 原本第11話
 故中村先生でも実物を手にしながら見落とすことがあったのですね。少し驚きました。




樽本照雄『清末小説三談』
清末小説研究会 2019.3.1 非賣品

2019.2.4
 樽本照雄『清末小説三談』を公開します。





張治『林紓冤案事件簿』
『南方都市報』2019.1.17

2019.1.31
 発表元のリンク http://www.sohu.com/a/289530807_161795 です。




竹松良明代表『撰前期中国関係雑誌細目集覧』
三人社2018.12.30

2019.1.30
 書名の通りです。『大陸』(改造社)『中日文化』『東亜』『燕京文学』『長江文学』『黄鳥』『上海文学』『北支那』『大陸往来』『大陸』(大陸新報社)の解題と細目で構成されます。
 清末民初小説とは関係がありません。
 こういう地味で基礎作業が研究に貢献するという見本です。紹介する理由ですね。




李艶麗「樽本照雄与他的清末小説研究会」
『文匯学人』(第377期)2019.1.25

2019.1.26
 李艶麗氏より上記の文章をいただきました。ありがとうございます。
 発表元のリンク http://www.whb.cn/zhuzhan/xueren/20190125/238210.html を示しておきます。
 リンクが切れる可能性があります(注:実行しましたがジャンプしません。アドレスを複写してお使い下さい。再度試したら跳びました。理由は不明です)。念のためいただいたゲラも添えましょう。
 ただし、上のリンクとは違う形です。電字版では変化がつけてあるのかどうかはわかりません。
 読みにくいというのであればテキストのみのものを掲げました。



張 治「新旧世界的夾縫――林紓在1919」
『文匯学人』(第377期)2019.1.25

 こちらも http://www.whb.cn/zhuzhan/xueren/20190125/238201.html でどうぞ。
 「出人意表之外」について常方舟氏の新発見があると紹介しました(本ウェブサイト2018.12.29)。
 張治氏は早速そこに注目しています。
 林訳「賂史」(『東方雑誌』連載)です。
 張治氏は「賂史」を紹介して「潜水艇事件に関するスパイ小説[渉及潜水艇事件的間諜小説]」と書いています。
 まあ最後は潜水艇どうしの対決になりますから間違いではありません。該書は日露戦争を背景にした規模の大きいスパイ小説です。英国人の主人公が日本皇族の養子になるという奇想天外な箇所もあります。これが物語の最後に効き目を発揮するというわけです。
 張治は常方舟氏の発見した「出人意表之外」(林紓「賂史」第21章『東方雑誌』第16巻第7号 1919.7.15。147頁)の使用例を見て次のように説明します。
 「陳独秀、周作人らはすぐに前後して『毎週評論』で林琴南氏による独特の発明を意図的に提起し、銭玄同、劉半農、魯迅、李大サらはみなそれより以後陰に陽にあざけりそしったのだった[陳独秀、周作人随即先後在≪毎周評論≫都有意提到林琴南先生的独特発明,銭玄同、劉半農、魯迅、李大サ此後均明里暗里地有所譏刺]」
 張治氏が新発見にとびついたのは上のとおりです。常方舟氏が林紓の使用例を特定したわけですから、それを見てあざけった陳独秀らの批判は当たっていたという結論に結びつくわけです。林紓の誤用が確定したと確信しています。張治氏にとっては一件落着なのでしょう。
 問題はそれほど簡単ではありません。
 張治氏はどうやら常方舟氏の新発見にまどわされたようですね。
 以前私が指摘したことをくり返します。

 「ところが問題はそれで解決しません。たしかに林紓が「出人意表之外」を使用したのは事実です。しかし陳独秀と周作人がその前に書いているのです。
 使用例を時間順に並べてみます。
=======================
(参考:1918.3.15 真出人意外 王敬軒(銭玄同)『新青年』第4巻第3号308頁)
 1919.6.1  出人意表之外(林琴南先生用語) 隻眼(陳独秀)「対於日使照会及段督〓通電的感言」『毎週評論』第24期第2版
 1919.6.8  出人意表之外 仲密(周作人)「前門遇馬隊記」『毎週評論』第25期第4版
1919.7.15 出人意表之外 林紓「賂史」第21章『東方雑誌』第16巻第7号147頁
 1921.9.6  出於意表之外 周作人「山中雑信」『晨報・副刊』
 1922.2.5  出人意表之外 止水(蒲伯英)『晨報副鐫(晨報附刊)』(常方舟氏のご教示)
 1923.1.5  出人意表之外 銭玄同「“出人意表之外”的事」『晨報・副刊』
=======================
 奇妙ですね」

 常方舟氏は新発見を強調するためにわざと前後の時間順序を無視しました。公表順序をあいまいにすることで従来からある定説を補強したのです。
 張治氏はそのあいまいな部分があいまいであるという認識をもっていない。
 問題は定説通りの単純なものではありません。
 陳独秀と周作人はどこから「出人意表之外」を持ってきたのか。林紓が最初だというのであれば陳周の前に「出人意表之外」を書いた林紓の文章を提出しなくてはなりません。より一層の史料発掘が必要とされる理由です。
 ここまではっきり書きました。問題の所在が明確になりましたからどなたかが調査して下さると思います。



陸国飛『清末民初翻訳小説目録(1840-1919)』
上海交通大学出版社2018.8

2019.1.23
 1840-1919年(晩清民初)に発表された翻訳小説全2,925種を収録。小説類型により26種そのほかに分類しています。
 原作国、原作作者、漢訳者、刊行物の時間、出版社、出版時間、再版などの重版時間、収蔵場所、訳者紹介などを含む。
 類型は以下のとおり。
 1.政治小説、2.科学小説、3.偵探小説、4.言情小説、5.社会小説、6.滑稽小説、7.歴史小説、8.軍事小説、9.冒険小説、10.童話小説、11.神怪小説、12.愛国小説、13.義侠小説、14.教育小説、15.家庭小説、16.伝記小説、17.寓言小説、18.倫理小説、19.宗教小説、20.筆記小説、21.外交小説、22.医学小説、23.奇談小説、24.虚無党小説、25.励志小説、26.実業小説、27.其他類型与未標注類型翻訳小説。
 ほかに序、参考文献、書名索引、跋あり。



2019.1.22
 近日公開予定の樽本照雄『清末小説三談』です。
 「あとがき」を先にごらんください。




ウェブサイト「中国新聞網」など

2019.1.17
 狄霞晨「『林紓冤案事件簿』近期出版 撥開層層謡言還原歴史真相」です。
http://www.chinanews.com/cul/2019/01-14/8728064.shtml
 『文匯報』2019.1.14原載のようです。上のウェブサイトのほかに「東方頭条」などにも転載されています。




周越然『書書書』
哈爾濱・北方文藝出版社2017.5

2019.1.14
 以下を含みます。雅片小説、金花記、《中東大戦演義》、稀見小説五十種、稀見訳本小説など。



 
登張竹風訳『賣国奴』
金港堂書籍株式会社1904.9.15

2019.1.9
 ヘルマン・ズーダーマン(1857-1928)の『猫橋』が日本語訳で『賣国奴』です。
 その題名のままに呉檮漢訳が『賣国奴』。最初は『繍像小説』第31-48期に連載され後に商務印書館「説部叢書」に収録されています。
 『繍像小説』の発行遅延と単行本化が関係して説明すると長くなります。またいつか。




王震:“申冤”与“重構”
『論文衡史』2018.12.16

2019.1.4
 王玉氏よりご教示いただきました。多謝。

1.《文匯報》,袁筱一:這个最早把《茶花女》帯到中国的人,到底冤不冤?(注:別題「再談林紓翻訳引発的争議」)
http://www.whb.cn/zhuzhan/xinwen/20181211/229645.html

2.澎湃新聞(清末小説研究会网站已転),https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_2736188

3.王震:“申冤”与“重構”
https://mp.weixin.qq.com/s?src=11×tamp=1546576375&ver=1317&signature=HzpPKWvXiTPOTpUZkozfGx6ltki1xEsS6eXJe**725dISzSJEXaDTSXvwJ2RTl2tMP5SKmZkCA7FZk3vuhMEJgeNjYJwyBo-Bxm5KHkvzh6q9ey-HvYuZXMJs9z0zhqs&new=1




郭丹、朱曉慧主編『林紓研究論集』
北京・九州出版社2018.6

2019.1.2
 内容は以下のとおり。
 =================================
 呉仁華「前言」、
 李景端「浅析林紓的“畏天”人格」、
 祁開龍、庄林麗「論林紓的愛国情懐」、
 王 勇「林紓与杜亜泉」、
 楊 玲「林訳及創作与五四白話運動」、
 呉 微「桐城派的別様風景――以厳復、林紓為中心」、
 沈文凡、李佳「論林紓的韓柳観」、
 庄恒ト「林紓軼文≪周〓仲広文遺詩・引≫的発現与介紹――兼談汪毅夫先生台湾近代文学研究的特点」、
 庄恒ト「従林紓≪畏廬瑣記≫看民間信仰的世俗化特点――以東岳崇拝和士子祈夢為中心」、
 張麗華「従≪修身講義≫論林紓的教育理念与教学特色」、
 呉仁華「功名早澹北山文――林紓自撰墓聯意涵試析」、
 林明昌「曲折解神通――論林紓対韓愈与書贈序的解読法」、
 郭 丹「外質而中膏,声希而味永――林紓≪蒼霞精舎後軒記≫細読」、
 張勝璋「“風趣”“情韻”“神味”――林紓論古文審美欣賞」、
 張勝璋「“意境者,文之母也”――林紓論古文意境」、
 林天送「林紓的語言観」、
 欧明俊、程玲「論林紓対現代散文理論的独特影響」、
 韓洪挙「論林紓対中外小説芸術的比較研究」、
 付建舟「林訳言情説的諸種模式及其意義」、
 戴光栄、左尚君、黄志娥「林紓訳文語料庫創建及其翻訳風格研究」、
 孫漢生「厳復教育思想綜論」、
 張旭、車樹昇「知識考古与歴史重詁――編撰一部≪林紓年譜長編≫的構想」、
 肖志兵「百余年(1897-2013)林紓研究概況」、
 呉仁華「重新認識林紓――≪林紓読本≫序」、
 呉仁華「“走進林紓”――開展中華優秀伝統文化教育的特色実践」、
 呉娟、祁開龍「区域文化資源転化為校本課程的探索実践――以“走進林紓”課程為例」





2019.1.1
 本年もよろしくお願いいたします。


 『清末小説から』第132号を掲げています。




はじめに
 『清末小説から』の最新号所収の論文と『清末小説』(第35号2012で終刊)ほか樽本の主要著作、小説目録をダウンロードすることができます。
 これまでの研究会活動を紹介するかわりに雑誌『清末小説(研究)』の編集ノートをあつめた編集ノート集をかかげました。おおよその活動が理解できるでしょう。

あらためまして
 中国の清末小説(しんまつ しょうせつ)を専門に研究している会です。清末とは清朝末期のことを指します。厳密にいえば「中国の」と付ける必要はありません。清末は中国にしか存在しませんから。まあ丁寧に言っております、くらいのことですのでご了承ください。
 年代でいえば1900年代から1911年の辛亥革命をへて五四前です。
 日本ならば明治30年代から大正初期にあたります。
 というわけで清末小説を専門にしているといっても中華民国初期の小説も含んでおります。誤解のないようにお願いいたします。
 それならばいっそのこと「清末民初小説研究」と名づけていいようなものの、長いです。
 研究会と称していますが組織はありません。会員もいません。
 定期刊行物として季刊の『清末小説から』(ウェブでの公開を継続中)および電字版著作集を公表することが研究会の目的です。