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2021.12.25
 編者不記『清末民初報刊小説目録(1815-1919)』期刊巻(出版社、刊年ともに不記)を読み始めています。
 書いてある資料の所在を見れば、マイクロフィルム、データベースが充実している現在だからこそ編集が可能になったと理解できるでしょう。
 該目録の印象は「詳細かつ厳密」です。基本は資料のあるがままを記述する。不記ならば書かない。未見の雑誌は「未見」と明記する。
 それができるのは実物(影印本)で確認しているからです。単純のようでそれを維持をするのは珍しい。称賛にあたいします。
 資料の雑誌を見て刊年不記のばあいは陳大康年表などの記述を参考に掲げている。とても親切です。
 欧米原作の作品について独自に調査したものがあります。その努力をしているのもよい。
 ただ少し気になった個所を紹介します。わずかに1例です。
 『繍像小説』に「三疑案」が掲載されました。
 中村忠行氏らの先行研究によって以下の原作だと判明しています。
 バロネス・オルツィ(オルツィ男爵夫人 BARONESS ORCZY)作『ミス・エリオット事件 THE CASE OF MISS ELLIOTT』(1905)の中の3篇。
 伊蘭案“THE CASE OF MISS ELLIOTT(ミス・エリオット事件)”、
 雪駒案“THE HOCUSSING OF CIGARETTE(シガレット号事件)”、
 跛翁案“THE LISSON GROVE MYSTERY(リッスン・グローブの謎)”
 以上について該目録は次の注釈をつけました。

 [清民刊64] 「伊蘭案(埃利奥特小姐事件)」「跛翁案(利森樹叢謎案)」両篇実為英国奥希茲女男爵所撰『角落里的老人』(THE OLD MAN IN THE CORNER)。「雪駒案」与『角落里的老人』12篇故事在人物設置、叙事模式上有極大相似處、但未知出自何作。

 もとの作品集の題名は漢訳で示せば『埃利奥特小姐事件』あるいは『義律小姐謀殺案』となるでしょう。
 『角落里的老人』は別の刊行物です。
 「伊蘭案」と「跛翁案」の原作は正しい。しかし「雪駒案」の原作だけが不明だという。わざわざ調査してどうして間違った結果になるのか理由がわかりません。
 目録編集が緻密であることと原作探索は別らしい。意外な気がします。それにしても原作探究に先行研究が役に立たなかったのは残念なことでした。

 【参考文献】バロネス・オルツィ著、平山雄一訳『隅の老人【完全版】』(株式会社作品社2014.1.31)




石曉岩『文学翻訳与中国文学現代転型研究(1898-1925)』
北京・社会科学文献出版社2021.7

2021.12.19
 内容は次のとおり。
 =================================
 前 言、
 上 編●
 第1章 文学翻訳与文学語言的現代転型、
 第2章 文学翻訳与文類現代化――以小説為例、
 第3章 文学翻訳与現代文学理論空間的開創、
 下 編●
 第4章 林訳小説:中西交融文学図景的最初呈現、
 第5章 留日時期的魯迅訳著:思想革命与文学自覚、
 結 語、
 主要参考文献



王琳『五四時期児童文学翻訳研究』
成都・四川大学出版社2021.8

 内容は次のとおり。
 =================================
 緒 論、
 第1章 五四時期児童文学翻訳研究背景及概況、
 第2章 五四時期児童文学翻訳的制約因素、
 第3章 五四時期児童文学翻訳的社会接受与影響、
 第4章 五四時期児童文学翻訳的文学接受与影響、
 第5章 女性視角下的五四時期児童文学翻訳、
 第6章 美学視角下的五四時期児童文学翻訳、
 結 語、
 参考文献、
 附録1 五四時期児童文学訳作書目、
 附録2 五四時期報刊児童文学訳作篇目、
 後 記




黄嗣『中国出版家・夏瑞芳』
北京・人民出版社2021.8

2021.12.18
 内容は次のとおり。
 =================================
 前 言、
 第1章 少年行止、
 第2章 商務初創、
 第3章 夏張合璧、
 第4章 鴻業遠図、
 第5章 克難奮進、
 第6章 英年早逝、
 第7章 根深葉茂、
 夏瑞芳編輯出版大事年表、
 参考文献、
 附録1 商務印書館董事会議章程、
 附録2 “中華民国三年一月商務印書館股東非常会議”記録、
 附録3 商務印書館与日本金港堂終止合〓合同、
 後 記

 柳和城「【書評】被暗殺的商務印書館創始人」『澎湃新聞』2021.11.26があります。




『清末民初報刊小説目録(1815-1919)』期刊巻と報紙巻
編者、出版者、刊年ともに不記

2021.12.17
 偶然みつけた不思議な目録2巻です。編者、出版社、刊年ともに不記というのですからそうとしか言えません。
 入手したのは2巻(冊)で目録部分は全1652頁あります。
 目次は次のとおり。
 凡例 1
 一 期刊小説目録 1
 二 報紙小説目録 698 /以上架蔵
 ―−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 三 報刊小説篇名索引 1653 未見
 四 報刊小説著訳者中文姓名索引 1971 未見
 五 報刊小説著訳者英文姓名索引 1977 未見
 六 刊載小説報刊名録索引 1983 未見

 上の「三」から「六」までは実際に刊行されたのかどうかは不明です。ページ数が記載されているので印刷されたとは思いますが入手していません。
 凡例によれば先行する研究成果として次の目録を特に掲げています。
 陳大康『中国近代小説編年史』、劉永文『晩清小説目録』『民国小説目録(1912-1920)』です。わざわざ「同劉」「同陳」「同劉、陳」あるいは「劉、陳二書未録」などと注記して比較対照したことを記しています。
 陳大康年表の刊行が2014年です。それに言及していますから該報刊小説目録の刊行はそれ以後のことでしょう。
 ウェブサイト「国家社科基金項目数據庫」を見れば以下の記載がありました。

 14FZW043 後期資助項 中国文学 清末民初報刊小説目録 2014-12-01 郭輝 中級

 書名が同じです。研究助成金の成果として印刷されたものかと推測します。
 郭輝ならば「《晩清小説目録》匡補」(『明清小説研究』2013年第2期(総第108期) 2013発行月日不記)を公表しています。それを見れば該目録を編集した可能性が高いです。
 それにしても編者の名前くらいは記載するのが普通ではないでしょうか。それがないから不思議な刊行物だといいます。



 
半儂「(滑稽小説)洋迷小影」  『中華小説界』第1年第7期 1914.7.1


(日)杉谷代水「(狂言)衣大名」
『早稲田文学』明治39年3月の巻 1906.3.1

2021.12.12(補記あり)
 半儂(劉半農)「(滑稽小説)洋迷小影」(『中華小説界』第1年第7期 1914.7.1)です。
 ハンス・クリスチャン・アンデルセン(HANS CRISTIAN ANDERSEN)原作の英訳“THE EMPEROR'S NEW CLOTHES(皇帝の新しい衣裳)”にもとづく翻案作品です。時代を民国に主人公を西洋かぶれの中国人に置き換えました。
 (日)杉谷代水「(狂言)衣大名」(『早稲田文学』1906年3月号)に触発された部分があります。
 【補記】2021.12.13
 (日)杉谷代水「(狂言)衣大名」はないのか、というご質問です。追加して掲げます。
 ご覧のとおり両者はまったく異なります。ではなぜ半農は前言に日本喜劇があると言及したのでしょうか。
 それを知るにはそれぞれの内容に立ち入る必要があります。公表する機会が別にあるでしょう。





2021.11.29
 『清末小説から』第144号を公開中です。
 既刊号は『清末小説から』へどうぞ。



2021.11.22
 黄曼編著『民初小説編年史(1912-1914)』(2021)についての報告第3弾です。
 樽目録第13版と照合しました。3年間の年表ですが全2622件について点検したことになりました。
 従来の目録では見ない雑誌(『中華民国公報』、浙江嘉善『善報』、『民生日報』、『愛国小説報』、『中華童子界』)などがあります。結果として新しく234件を追加しました。
 全ページに目を通した感想を以下に示します。

 1 実物で確認したもののみを採取している。(見ていない雑誌の欠号は記載のしようがない)
 2 著者などは実物記載のままを採取する。(原名、翻訳ならば原作者などを注記しない)
 3 新聞と雑誌を採取対象とする。単行本は収録しない。(単行本については別の目録を見ればよい)
 4 人名索引、作品索引はついていない。(大丈夫です。樽目録第14版(2022予定)に取り込みましたから全文検索が可能)

 時期的にみて商務印書館版「説部叢書」が収録されていると期待したのです。単行本は対象にしない編集方針らしい。残念なことでした。
 続編が刊行される可能性もあるのでしょうか。



 
天宝宮人編串『〓海花義侠記戯本』
上海・群学社図書発行所 旧暦1910.3(影印本)

2021.11.17
 曾孟樸『〓海花』(部分)と呉檮漢訳『義侠記』を脚本にしています。
 天宝宮人は詳細不明。臧崙樵するのは誤りです。
 柱に「月月小説」と表示します。組版と頁数を見れば初出『月月小説』からそのまま抜き刷りして合本にしていることがわかります。群学社説部叢書として『美人島』など同じ抽印本をいくつか刊行しました。



2021.11.15
 先日お知らせしました。黄曼編著『民初小説編年史(1912-1914)』(2021)です。
 なによりもこのような基礎資料が編集刊行されたことを喜びます。
 とても詳細で1912年から3年分を収録して1冊484頁です。新聞、雑誌に発表された作品を日付順に記載しています。そればかりか出版広告、また関連する文章も収録しているのが貴重です。
 読んでいて面白いと思う個所がありました。作者の別名に関するものです。ひとつご報告しましょう。
 『小説月報』第4巻第5号(1913.9.25)に掲載されたという許指厳の啓事がおもしろい(264頁)。  すなわち弾華「帳下美人」と更生「青娥血涙」は同一著者だと許指厳が自分で広告しているのです(弾華、更生均指厳別号)
 樽目録のQ0930*「青娥血涙」は作者を更生(康有為)と記述します。
 『評点四大名家小説』(1915)に収録されて「康南海青娥血涙」とあるからです。これが揺らぎます。
 許指厳啓事のとおりであれば、ほかの記述も見直す必要があるでしょう。




黄曼編著『民初小説編年史(1912-1914)』
武昌・武漢大学出版社2021.5

2021.11.4
 内容は次のとおり。
 =================================
 陳広宏「序」、
 導言、
 1912年、
 1913年、
 1914年




 王祖華「林紓研究的新突破及其啓示」(『上海翻訳』2021年第4期(総第159巻)2021.8.10 電字版)をいただきました。多謝。




2021.11.3
 樽本照雄著、周怡青訳「【書評】談談付建舟著≪商務印書館<説部叢書>叙録≫」(『蘇州教育学院学報』第38巻第4期 2021.8 電字版)をいただきました。多謝。
 日本語初出は、樽本照雄「【書評】付建舟『商務印書館≪説部叢書≫叙録』について」(『清末小説から』第137号 2020.4.1)です。
 『清末小説から』第137号からもどうぞ。



 
『東亜観念史集刊』第12期      『東亜観念史集刊』第13期
2017.6(2021重印)      2017.12(2021重印)

2021.11.2
 上記学術誌2冊をいただきました。ありがとうございます。
 奥付には「重印」はありません。要望が多くて重印されたのだと想像します。
 清末民初に関係する論文は次のとおりです。
 =================================
 『東亜観念史集刊』第12期2017.6(2021重印)
 見林又見樹:晩清小説翻訳研究方法的初歩探討……李欧梵
 林紓的海軍情結――従≪不如帰≫説起……夏曉虹
 抒情的技藝:清末民初的情書翻訳与写作……潘少瑜
 従児女之私到男女恋愛:五四時期婦女報刊上恋愛問題……黄錦珠
 西学閲読与清額復古――清末民初「文藝復興」比附下的学術互動……宋 雪

 『東亜観念史集刊』第13期2017.12(2021重印)
 風景的発現与闡釈――晩清画報中的勝景与民俗……陳平原
 ≪意大利建国三傑伝≫化用明治二本政治小説考……崔文東
 重述莎士比亜,重塑「普通読者」:≪莎士比亜故事集≫和林紓的≪吟辺燕語≫(英文)……孫 〓
 虚無党小説的跨境旅行――關於 Strange Tales of a Nihilist 英、日、中三個版本的考察……・宜穎



 
怪人『(滑稽小説)怪話』
上海・広益書局1919/1921

2021.10.27
 内容は次のとおり。
 =================================
 李定夷「序」、
 「凡例」、
 第1巻 怪談、
 第2巻 怪事、
 第3巻 怪文、
 第4巻 怪詩、
 奥付は編輯者:怪人、総発行所:上海・広益書局、中華民国八年三月出版/中華民国十年十一月三版



2021.10.26
 これも以前本ウェブサイトに掲げました・宜穎論文です。訂正版のファイルをいただきました。再度、掲げます。・宜穎氏に感謝。

 ・宜穎「虚無党小説的跨境旅行――關於 Strange Tales of a Nihilist 英、日、中三個版本的考察」『東亜観念史集刊』第13期 2017.12 電字版



2021.10.25
 以前本ウェブサイトに掲げました崔文東論文です。掲載誌からのファイルをいただきました。再度、掲げます。崔文東氏に感謝。

 崔文東「≪意大利建国三傑伝≫化用明治二本政治小説考」『東亜観念史集刊』第13期 2017.12 電字版




王桂妹『文学与啓蒙――≪新青年≫与新文学研究』
北京・中国社会科学出版社2010.10

2021.10.19
 以前の研究書です。内容は以下のとおり。
 =================================
 導 論、
 第1章 三種雑誌与両個時代、
 第2章 新文学創生与経典確立的腹生態場域、
 第3章 思想的審美之維:新文学中的啓蒙景観、
 第4章 啓蒙話語的洞察与不見、
 附 録 ≪新青年≫文学創作、翻訳一覧表(1-9巻)
 主要参考文献、
 後 記




華南師範大学文学院+中国近代文学研究室『中国近代文学評林』第8輯
西安・陝西新華出版伝媒集団+陝西人民出版社2021.3

2021.10.18
 該誌第7輯の発行は2002年9月でした。それから19年ぶりの刊行です。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 近百年来黄遵憲研究的回顧与期望…………管林
 一個学術史的回顧:中国近代文学研究的六個階段…………左鵬軍
 従“春宴唱和”到“庚申修禊”――清道咸間羊城文人雅集与群体建構…………翁筱曼
 文学地理学視野下的晩清海学堂文学教学…………翁筱曼
 梁啓超的学術思想和柏格森的生命哲学…………陳永標
 論饒鍔国学方法論意識的自覚…………閔定慶
 晩清嶺南文化伝承的自覚与郷土認知的新変――以≪南海百詠≫的晩清流播為論述中心…………翁筱曼
 甲午戦争与近代詩風之想変…………左鵬軍
 文体記憶与文化記憶的協奏――梁修≪花棣百花詩≫用典藝術初探…………閔定慶
 長歌当哭,悲慨激烈――談廖仲ト的詩詞…………管林
 論康白情的旧体詩…………管林、管華
 論詩絶句的集成与絶唱――陳融≪談嶺南人詩絶句≫的批評史和文体史意義…………左鵬軍
 中外文化交流与嶺南近代散文風格之〓変…………謝飄雲
 再論文化生態変遷与近代中国散文的新変…………謝飄雲
 近代駢文創作特徴論…………謝飄雲
 従張園助賑会看≪自由談≫諧文和新聞的互文与対話…………杜新艶
 小説与笑話的聨姻:以呉趼人的小説為例…………杜新艶
 探索王国維詞学体系的〓一個維度――≪詞録≫与王国維“為学三変”的文献学取向…………閔定慶
 後 記



 
李広益主編『中国科幻文学大系・晩清巻』全5冊
重慶大学出版社2020.8

2021.10.17
 内容は次のとおり。
 =================================
 李広益「導言」、
 ●創作一集、
  月球殖民地小説、
 ●創作二集、
  新野叟曝言、
  冰山雪海、
 ●創作三集、
  電世界、
  女〓石、
 ●翻訳一集、
  蝴蝶書生漫遊記、
  星球遊行記、
 ●翻訳二集、
  回頭看紀略、
  夢遊二十一世紀、
  幻想翼、
  世界末日記、
  八十万年後之世界



2021.10.2
 『清末小説から』第144号 の目次予告です。11月末公開予定。
 =================================
 呉檮漢訳『寒牡丹』――尾崎紅葉『寒牡丹』………樽本照雄
 呉檮漢訳『美人煙草』――広津柳浪『美人莨』………荒井由美
 関于呉檮訳《(偵探小説)虚无党真相》的底本及其他………梁 艶
 林訳『俄宮秘史』の原作・補記………沢本郁馬
 陳景韓漢訳コレリ『新蝶夢』の奇怪――黒岩涙香訳『白髪鬼』………神田一三
 ほか




王達敏主編『中国近代文学論文集・散文巻(1980-2017)』
蘇州大学出版社2020.9

2021.9.28
 1980-2017年に発表された散文に関する論文を収録しています。
 内容は次のとおり。
 =================================  第1編 近代散文新変研究、
 第2編 近代桐城派研究、
 第3編 報刊与白話文研究



 
英人ブラック『車中の毒針』    (英)勃拉錫克著、呉檮訳『車中毒針』
三友社1891         商務印書館「説部叢書」初集本

2021.9.26
 (英)勃拉錫克著、呉檮訳『車中毒針』(商務印書館1905/1906/1907/1913/1914)があります。
 底本は英人ブラック演述、今村次郎速記『車中の毒針』(三友社1891)です。
 「ブラック」がなぜ漢訳されて「勃拉克」になるのか。ブラックならば普通は伯来克、白蘭克などでしょう。呉檮漢訳では「錫」が余分です。せめて勃拉克ならば許容範囲内となります。
 そうした理由は簡単なことです。日本語カタカナの「ツ」を「シ」と見誤った。「シ」だと思って「錫」を当てたというわけ。
 呉檮は上の部分について初歩的な勘違いをしていたということです。



2021.9.24
 本ウェブサイトの新設ボタン(項目)のお知らせです。
 上方右に清末小説研究会の「→過去のお知らせ」があります。
 見るのにいちいちクリックして順にさかのぼるのは面倒だ、一覧表にならないか。そうご意見をいただきました。
 そこで「→過去のお知らせ」の一部漢字を修正し全部まとめます。
 上欄に記録を設置しました。
 1997-2020年の任意年を見ることができます。



2021.9.18
 『清末民初小説目録』掲載の作品について渡辺浩司氏より以下のご教示をいただきました。感謝します。
=================================
D0076* 大地球未来記
 原作は、石川鴻齋「混沌子 一名 大地球未來記」
(『東齊諧 一名 夜窓鬼談』(吾妻健三郎発行,東陽堂支店発売,1894.7.24)所収)
と思われます。
国立国会図書館デジタルコレクションで公開されています。
 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/896582

 原作は訓点付き漢文なので、理解しやすい日本語に改めたものが、石川鴻斎著,小倉斉,高柴慎治訳註『夜窓鬼談』(春風社,2003.12.15)
にも収められています。
 一部分が、Google ブックスで公開されています。
 https://books.google.co.jp/books?id=XLIat8uL9R0C&pg=PA490&hl=ja&source=gbs_selected_pages&cad=2#v=onepage&q&f=false
 また、句読点を付けて中国で出版されています。
《夜窗鬼谈・东齐谐》([日]石川鸿斋著,王新禧校注,九州出版社,2018.6)




賈立元『『現代』与『未知』:晩清科幻小説研究』
北京大学出版社2021.9

2021.9.11
 著者よりいただきました。多謝。
 内容は次のとおり。
 =================================
 緒 論 何為“晩清科幻”?、
 第1章 梁啓超:中国科幻的起点、
 第2章 鏡与像:≪新石頭記≫与呉〓人的観看之道、
 第3章 黄金世界:晩清科幻中的未来与太空、
 第4章 治心有術:晩清的“心”与“霊”及其在小説中的表現、
 結 語 “希望是在於将来”、
 参考文献、
 後 記



 
猫橋の風景
Hermann Sudermann“Der Katzensteg”   登張竹風訳『賣国奴』金港堂1904の挿絵

2021.9.9
 呉檮漢訳『賣国奴』(1905)の底本は登張竹風日訳『賣国奴』(1904)です。
 そのもとになったのがズーダーマン『猫橋』(上左)。
 「猫橋」とは砂田城(竹風訳語シユランデン)から村はずれに続く間道です。男爵は敵であるフランス兵を引導して味方のプロシア兵を不意打ちをさせた。それで「売国奴」と呼ばれるようになりました。
 あるドイツ語本の表紙を掲げます。少々規模が大きすぎますが猫橋の形態をほぼ写しているでしょう。
 竹風日訳の挿絵(渡部審也画)もよく描かれています。猫橋に立つ保正(ボレスラフ)と洗濯をする百合(レギーネ)です。



 
孟兆臣『中国近代小報小説研究』上下冊
北京・朝華出版社2020.10

2021.9.4
 内容は次のとおり。
 =================================
  上冊、
 出版説明、
 序、
 上海小報小説、
 第1章 上海小報小説綜論、
 第2章 白相地界小説、
 第3章 周天籟、
 第4章 上海小報小説三十二家、
 第5章 上海俗語彙釈、

  下冊、
 第1章 上海小報小説綜論、
 第2章 評講聊斎、
 第3章 実事小説、
 第4章 ≪康小八≫≪大刀王五≫≪賽金花≫、
 第5章 徐剣胆、
 第6章 北京小報小説十一家、
 附録、
 1 近代小報小説六十七家総目及故事提要、
 2 近代小報小説相関統計数據、
 3 近代小報目録、
 参考文献





 2021.9.2
 『清末小説から』第143号を公開中です。
 既刊号は『清末小説から』へどうぞ。



 
尾崎紅葉『侠黒児』
架蔵  

 
呉檮漢訳『侠黒奴』
上海図書館所蔵

2021.8.22
 尾崎紅葉『少年文学第19編 侠黒児』博文館1893.6(.28。泉鏡花「金時計」と合冊。渡辺浩司氏の指摘あり)です。
 原作はエッジワース MARIA EDGEWORTH 著「感謝する黒人 THE GRATEFUL NEGRO」(“POPULAR TALES”1804)。作品名は一説に「恩がえしをした黒人」。
 それを呉檮が漢訳して『侠黒奴』になりました。タンポポ文様、扉は元版、光緒三十二年(1906)歳次丙午季夏首版、説部叢書第六集第二編




謝天振主編『重写翻訳史』
杭州・浙江大学出版社2021.4

2021.8.18
 内容は次のとおり。
 =================================
 許 鈞「総序」、
 謝天振「関注翻訳与翻訳研究的本質目標――代序」、
  ●第1編 回到厳復
 王佐良「厳復的用心」、
 王宏志「重釈“信達雅”――論厳復的翻訳理論」、
 謝天振「回到厳復的本意:再釈“信達雅”(未完稿)」、
 廖七一「厳訳術語為何被日語訳名取代?」、
  ●第2編 翻訳、語境与意義
 王宏志「“給予”還是“割譲”?――鴉片戦争中g善与義律有関香港談判的翻訳問題」、
 陸建徳「文化交流中“二三流者”的非凡意義――略説林紓小説中的通俗作品」、
 趙稀方「現代翻訳的形成――≪新青年≫的翻訳」、
 李徳超「従後実証主義角度看周痩鵑翻訳中的創造性叛逆――兼論重写鴛鴦蝴蝶派翻訳文学史」、
 宋炳輝「世界語理想与弱勢民族文学訳介与影響」、
 廖七一「抗戦歴史語境与文学翻訳的解読」、
  ●第3編 翻訳研究的多維視角
 董炳月「翻訳主体的身▲和語言問題――以魯迅与梁実秋的翻訳論争為中心」、
 趙稀方「現代主義的海外接続――香港≪文藝新潮≫的翻訳」、
 宋炳輝「現代中国視域中的裴多菲・山陀爾――以≪格言詩≫中訳為闡釈中心」、
 熊兵嬌「上海“孤島”時期文学翻訳的発生――以≪西洋文学≫雑誌為討論対象」、
 徐伏鋼「蔵在魯迅日記里的翻訳大家――張友松先生的悲劇人生」、
  ●第4編 文化外訳
 張西平「儒家思想早期在欧洲的伝播」、
 謝天振「歴史的啓示――従中西翻訳史看当前的文化外語問題」、
 宋炳輝「編後記」



 
『賣国奴』説部叢書元版の三版               初集本1913の奥付       
     孔夫子旧書網                              


2021.8.10
 上に掲げた『賣国奴』説部叢書元版と初集本が誤認の原因になっています。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 元版:光緒二十九年(1903)歳次癸卯孟冬初版/光緒三十三年(1907)歳次丁未季春三版
 初集:癸卯年(1903)十月初版/中華民国二年(1913)十二月版
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 『賣国奴』の後刷りの記述が両方ともに初版を「光緒二十九年癸卯(1903)」と誤記しているのです。
 ここはやはり説部叢書元版の初版を見る必要があります。
 次のように記載されています。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 光緒三十一年(1905)十一月首版(上海図書館所蔵)
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 初版の年月表記についてはこちらに拠るべきです。
 以上、指摘するに止めておきましょう。

 参考:付建舟『商務印書館≪説部叢書≫叙録』北京・中国社会科学出版社2019.8。461頁



2021.7.24
 以下の書籍が CADAL に収録されていることを教えていただきました。崔文東氏に感謝。
 =================================
 虚無党真相 (偵探小説) 上下冊
 徳国 摩哈孫著 中国 芳草館主人(呉檮)重訳 中国 披髪頭陀評訂
 上海・広智書局 光緒34.6.1(1908.6.29)再版
 奥付は光緒三十四年六月朔日再版印行




湯哲声、張蕾主編『中国現当代通俗文学研究論集』
蘇州大学出版社2020.9

2021.7.21
 内容は次のとおり。
 =================================
 湯哲声「披沙瀝金、扎実前行(代前言)――蘇州大学中国現当代通俗文学研究団隊介紹」、
 范伯群「≪海上花列伝≫:現代通俗小説開山之作」、
 范伯群「1921-1923:中国雅俗文壇的分道揚〓与各得其所」、
 范伯群「超越雅俗 融会中西――論20世紀40年第新市民小説代表作家的創作経験」、
 范伯群「黒幕徴答・黒幕小説・掲黒運動」、
 徐斯年「≪倚天屠龍記≫与≪鶴驚昆侖≫之比較――兼及“現代文学史観”」、
 徐斯年「向ト然的“現代武侠伝奇話語”」、
 徐斯年「修仙者的愛――≪蜀山剣侠伝≫里的“情〓”」、
 曹恵民「多元共生的現代中華文学」、
 曹恵民「“金庸現象”更値得探討」、
 湯哲声「何謂通俗:“中国現当代通俗文学”概念的解構与辨析」、
 湯哲声「如何評估:中国現当代通俗文学批評標準的建構和価値評析」、
 湯哲声「歴史与記憶:中国呉語小説論」、
 陳小明「通俗文学・市民社会・現代性」、
 房 偉「個人主義、穿越史観与共同体誘惑――論“網絡穿越歴史小説”的“三宗罪”」、
 房 偉「在多元類型発展中走向成熟――評2011年的中国網絡文学」、
 張 蕾「論“故事集綴”型章回体小説」、
 張 蕾「稗史何妨虚文――現代通俗小説対衣食住行的社会解読」、
 銭継雲「論胡懐〓的≪大江集≫及其詩歌理論」、
 銭継雲「胡懐〓与≪嘗試集≫的論争」、
 吉 旭「還珠楼主武侠小説研究述評」、
 張学謙「被割裂的“雅”与“俗”――観念史視域中的“網絡文学”」、
 張学謙「意義与方法:中国現代通俗文学的学術史意義再呈現――評≪民国文化与文学研究文叢(第9編)・蘇州大学特輯≫」、
 張 蕾「後記」



2021.7.20
 『清末小説から』第143号 の目次予告です。
 =================================
 呉檮漢訳ル・キュー『薄命花』――柳川春葉「虚無党の女」の原作………沢本香子
 呉檮漢訳『新魔術』………神田一三
 毋我漢訳プーシキン「棺材匠」――アリンスン英訳………樽本照雄
 『露漱格蘭小伝』のこと………沢本郁馬
 包天笑漢訳クレイ「古王宮」――涙香訳『古王宮』の原作………荒井由美
 ほか




劉建軍総主編、袁先来著『百年来欧美文学“中国化”進程研究』第2巻(1840-1919)
北京大学出版社2020.10

2021.7.13
 内容は次のとおり。
 =================================
 劉建軍「総序」、
 導 論、
 第1個問題:為什麼中国古代文学的思想和文化資源不能解決中国文学現代化的問題?、
 第2個問題:為什麼清末民初会出現欧美文学訳介的熱潮?、
 第3個問題:為什麼小説観念的変革与新小説翻訳、〓写成為清末民初的顕性現象?、
 第4個問題:為什麼欧美通俗小説率先進入清末民初的文壇?、
 第5個問題:梁啓超対当時欧美文学訳介有〓些重要推動作用?、
 第6個問題:如何看待林紓及其作品地位的歴史逆転?、
 第7個問題:如何理解清末民初文学訳介中的“啓蒙”観念?、
 第8個問題:清末文学訳介是如何展開新民倫理想像的?、
 第9個問題:清末文学訳介和引進出現了〓些問題与不足?、
 第10個問題:如何看待清末民初文学訳介中語言変革与文学革命的関係?、
 第11個問題:如何評介周氏兄弟的早期翻訳実践?、
 第12個問題:如何評価≪新青年≫与新文化運動前期翻訳訳介的業績?、
 第13個問題:清末民初文学訳介根本目的聚焦在〓些重大問題上?、
 第14個問題:如何重新審視清末民初文学(訳介)与啓蒙、革命之関係?、
 結 語、
 参考文献、
 本巻外国人名索引、
 本巻中国人名索引、
 本巻後記



 
崔文東論文      ・宜穎論文
『東亜観念史集刊』第13期 2017.12


2021.7.4
 上記論文を読むことができました。崔文東氏のご教示と・宜穎氏のご提供に感謝します。
 以下の通りです。
崔文東「≪意大利建国三傑伝≫化用明治二本政治小説考」『東亜観念史集刊』第13期 2017.12 電字版
・宜穎「虚無党小説的跨境旅行――關於 Strange Tales of a Nihilist 英、日、中三個版本的考察」『東亜観念史集刊』第13期 2017.12 電字版。
 その訂正表もあります。



 
松居松葉訳「六、皇帝の間諜」      陳景韓「俄国之偵探術」
『虚無党奇談』警醒社書店1904.9.20      『小説時報』第1期 1909.10.14


2021.7.1
 上記の原作は WILLIAM LE QUEUX“XII. THE TZAR'S SPY”(STRANGE TALES OF A NIHILIST”1892)です。
 陳景韓漢訳の底本について松葉訳『虚無党奇談』の第四章「露国皇帝の生命」だという文章があります。残念ながら間違っていました。

 【2021.7.2追記】・宜穎「虚無党小説的跨境旅行――關於 Strange Tales of a Nihilist 英、日、中三個版本的考察」(『東亜観念史集刊』第13期 2017.12.1)があることを知っています。該論文を入手するよう努めていますが、いまだに読むことができません。
 本研究会ウェブサイトに松葉訳と陳景韓漢訳についていくつか言及しました。仮に・宜穎論文と重複する箇所があったとしてもそれは偶然の一致です。以上、説明しておきます。



 
ル・キュー原作        松居松葉訳『虚無党奇談』
library of congress 所収       架蔵  

 
陳景韓漢訳
『新新小説』影印本              『月月小説』写真

2021.6.27
 WILLIAM LE QUEUX“STRANGE TALES OF A NIHILIST”NEW YORK: CASSELL PUBLISHNG COMPANY, 1892 です。
 その日本語訳はウイリアム、ル、クュー原作、松居松葉訳『虚無党奇談』(警醒社書店明治37(1904).9.20)。
 陳景韓が漢訳して『新新小説』と『月月小説』に連載しました。



 
EMILE GABORIAU“IN DEADLY PERIL.”
LONDON: WARD, LOCK, AND .CO., LIMITED. 刊年なし。架蔵

 
黒岩涙香『有罪無罪』
大川屋書店1889.11.5/1904.1.3改刻初版。架蔵

 
呉檮『寒桃記』説部叢書元版と初集。ともに複写
商務印書館

2021.6.19
 ガボリオ原作は『首の縄 LA CORDE AU COU』1873です。現在その英訳に3種類があるとわかっています。上記の版本以外はネットで読むことができます。
 上の『死の危険にさらされて IN DEADLY PERIL』は3種のうちのひとつ。涙香訳『有罪無罪』の底本はこの英訳ではなさそうですが示しておきます。
 上段と中段の挿絵について。女性主人公が許嫁を牢屋から出すために関係者にワイロを送ることにした。似たような場面がありましたから引用します。
 下段は呉檮漢訳の『寒桃記』です。商務印書館版「説部叢書」元版(実藤文庫所蔵)と初集の表紙。




南風亭長著 華斯比整理『中国偵探羅師福』 陸澹安著 華斯比畢整理『李飛探安集』
北京聯合出版公司2021.3


超〓狂著 華斯比整理『胡閑探案』 劉半農著 華斯比整理『劉半農偵探小説集』
北京聯合出版公司2021.3   北京聯合出版公司2021.5

2021.6.18
 華斯比氏より上記の4冊を頂きました。多謝。(お名前に誤植がありました。おわびをして訂正します)
 華斯比氏は民国時代の推理小説を整理、研究しています。上の4冊は「中国近現代偵探小説拾遺」の第1期だそうです。
 民国推理小説研究の専門家というのが私には珍しく感じられます。またその成果を刊行する出版社が存在するのも嬉しい驚きです。
 「民国推理研究会」があるらしい。今後の活躍に期待します。




竇新光 「附録:明治小説の中国語韓国語の翻訳・翻案作品目録(1895-1919)」『日中韓近代初期文学の関連様相研究――明治小説の伝播と受容を中心に』
神戸大学博士論文2019.3.25 電字版/2021.3.25公開


2021.6.16
 上記博士論文附録には明治小説の中国語韓国語翻訳作品402項目を収録しています。その力作ぶりに目を見張ります。これほど詳細に調査するためには大いに熱量を必要としたでしょう。すばらしい。
 その一項目だけです。ほとんど誰も気にしないでしょう。読んでいるという声援です。ご了解ください。
 上を見れば松居松葉訳「露国皇帝の生命」が陳景韓によって「爆烈弾」と「俄国皇帝」に漢訳され、両漢訳とも『月月小説』に掲載されたことを示しています。
 それにしても底本とした作品が同じで漢訳名がふたつあるというのも不思議。

▼―−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
冷(陳景韓)「(虚無党小説)俄国皇帝」上中編、『月月小説』2年7-9期(19-21号) 戊申7-9(1908.8-10)
―−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−▲

 問題は「俄国皇帝」の底本です。松葉訳「露国皇帝の生命」とするのが怪しい。
 「俄国皇帝」の底本については樽目録X(第7版 2015.10.10公開)から渡辺浩司氏の注釈を掲載しています。

▼========================
(渡辺浩司)掲載は、2年7期(19号)、2年9期(21号)。WILLIAM LE QUEUX“STRANGE TALES OF A NIHILIST”1892中の“VIII. AN IMPERIAL SUGAR PLUM”。漢訳個所は日訳個所と一致するので、松居松葉訳『虚無黨奇談』(警醒社書店1904.9.20全訳ではない)中の「五 人民を賣る犬」からの転訳かも知れない
========================▲

 上の説明は誤解のしようがありません。陳景韓「俄国皇帝」の底本は松葉訳「五 人民を賣る犬」だと指摘しています。
 では竇新光目録にある松葉訳「露国皇帝の生命」という間違いはどこから来たのでしょうか。
 私の知る限り国蕊論文が先行します。樽目録から引用しましょう(論文名を補足した)。

▼========================
[国蕊14-13]角書不記、『月月小説』第19-21期、1908.7/1908.9新暦旧暦混用。日本語訳本:『虚無党奇談』、松居松葉訳、第4章「露国皇帝の生命」ママ、出版社刊年不記。原作:STRANGE TALES OF A NIHILIST, 1892, WILLIANLEママ QUEUX(国蕊「陳冷血による翻訳小説の底本に関する考察」『跨境:日本語文学研究』第1号 2014.6 高麗大学校日本研究センター 電字版)
========================▲

 ここに「露国皇帝の生命」と書かれています。間違いです。
 渡辺氏の書くように「五 人民を賣る犬」が正しい。
 また、国蕊「近代翻訳文学中日本転訳作品底本考論――以陳景韓的転訳活動為例」(『文学評論』2019年第1期 2019.1)では細部を省略して底本作品が不鮮明になりました。
 上の誤記は表面を見るかぎり、国蕊論文から竇新光論文に直接受け継がれたということになります。詳細不明。
 渡辺氏の指摘があることに気づいていない理由は知りません。
 樽目録は第13版(2021)まで公開しています。情報の共有はなかなかむつかしいようです。
 日本語から漢訳された作品を研究対象とする人は多くありません。限られているということを理解します。反響のない冷えた研究分野です。だからこそ敢えて細かく発言しました。お役に立てばうれしいです。




『棠花怨』表紙、奥付なし
架蔵


2021.6.9
 昨年8月に上記書籍をご紹介しています。
 「中国天涯芳草館主海陽呉檮亶中訳」の表示から天涯芳草館主と呉檮がつながりました。
 問題は原作者です。表記をよくご覧ください。
 「法国雷科著」とはなんでしょう。
 呉檮が底本に使用したのは(黒岩)涙香小史訳述『梅花郎』(明進堂1890)です。涙香がどうしてフランス人になるのか不思議です。ところが理由がありました。
 呉檮の該漢訳を読めば登場人物名について特別な処理をしています。主人公の梅花郎(ばいくわらう)を漢訳して「裴克羅 peikeluo」です。日本語音をそのまま漢語音で転写したのです。
 人名の漢訳方法を見れば涙香(るゐかう)を呉檮が漢語音をあてはめて「雷科 leike」にしたことが明らかです。
 日本人をフランス人に見せかけました。
 なお呉檮はひとりではなく複数人いると主張する中国の研究者がいます。郭長海教授です。「海陽」呉檮は「銭唐」呉檮ではないといいたいらしい。それだけ。
 もう少し前向き建設的にご提案いただけるとありがたいです。別人だというならば「海陽」呉檮は誰なのか具体的に教えてもらえないでしょうか。そうすれば今後の研究に役立ちます。ただ同一人物ではないと否定するだけでは学問は前進しません。



2021.6.8
 三豊氏より漢訳作品3件の原作についてご教示いただきました。多謝。つぎのとおりです。
=================================
H2287*- 幻想翼 (三豊)NATHANIEL ISAAC 教授の考証によると原作は AGNES GIBERNE(1845-1939)“AMONG THE STARS; OR, WONDERFUL THINGS IN THE SKY”1884
Q0799*- 竊賊倶楽部 (三豊)清華大学飛〓教授の考証によると原作は HENRY A. HERING(1864-1945)“THE CHRONICLES OF THE BURGLARS' CLUB: AN OUNCE OF RADIUM”(初出“CASSELL'S MAGAZINE”1904.10。のち“THE BURGLARS' CLUB: A ROMANCE IN TWELVE CHRONICLES”1906 所収)
D0775*- 電冠 (三豊)GUY THORNE(本名 RANGER GULL、1872-1923)“THE SOUL STEALER”1906




銭塘呉檮『絵図蒙学唱歌実在易 下』
彪蒙書室 光緒三十四年(1908)

2021.5.26
 孔夫子旧書網に写真があることに気づきました。銭塘呉檮『絵図蒙学唱歌実在易 下』彪蒙書室 光緒三十四年(1908)、石印です。
 著者、出版社などは書店による説明です。表紙写真があるだけで内容まではわかりません。しかし呉檮の著作とすれば納得のいくものです。
 呉檮は愛国女学において歴史、地理の教科を担当していたほかにも音楽教師でもありました。
 樽本「書家としての呉檮」(『清末翻訳小説論集増補版』清末小説研究会2017.1.15 電字版所収)において次のように書いたことがあります。
―−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 兪子夷「回憶蔡元培先生和草創時的光復会」(『文史資料選輯』第77輯1981.8/日本影印)がある。
蔡元培が創設した愛国女学において、呉檮は呉丹初の名前で出てくる。兪子夷の説明は、こうだ。
―−(以下引用)
 女学堂の休暇中に男性が出入りするのは近所の注目を集めやすい。そこで入り口に「休日音楽研究会」と紙を貼りだして隠れ蓑にした。湯(爾和)はオルガンを演奏し歌うことができたし、音楽教師の呉丹初が近くに住んでいたのでよく来校し、昆曲の冊子を取りだして私たちに教え、「収拾起大地山河一担装」などを学んだのだった。12頁
―−(以上引用おわり)

 呉檮が音楽教師であれば唱歌の教科書を書いていたとしても不思議ではありません。




坂口〓次郎著、呉檮訳『(支那帝国主義第一人)成吉思汗少年史』
影印本 表紙、奥付なし

2021.5.24
 日本文学士坂口〓次郎著、銭塘呉檮訳『(支那帝国主義第一人)成吉思汗少年史(附遺訓)』全12章です。各種資料によれば上海人演訳社、光緒二十九年(1903)発行。
 内容は次のとおり。
 =================================
 第1章 緒論
 第2章 元代之始祖及父母
 第3章 太祖之締姻及父也速該死
 第4章 諸部之離叛太祖一家之艱難
 第5章 太祖兄弟之不和
 第6章 訶額侖之戒太祖
 第7章 太祖之避難
 第8章 太祖之出険
 第9章 孛斡児出之義
 第10章 太祖之結婚
 第11章 太祖之遺訓
 第12章 結論

 坂口の原作については判明していません。



 
『小説名画大観』 実物   胡寄塵編『小説名画大観』影印本 上中下3冊

2021.5.16
 影印本があります。実物は少し珍しいですか。1冊なのに高価でした。
 左は『小説名画大観』実物(第19冊)、出版社なし、刊年なしです。線装、石印本。孔夫子旧書網の写真で見れば全24冊といいます。一挙に刊行されたらしい。
 右が上海・文明書局、上海・中華書局1916.10/北京・書目文献出版社1996.7影印本。実物より少し拡大して3冊にまとめています。
 「名画」とあるのは挿絵を収録した小説集だからです。



 
(仏)フラマリオン原著、長田秋濤訳「百万年後之地球」『太陽』1900 「大地球未来記」『順天時報』1906

2021.5.13
 作者名なし「大地球未来記 (演東斉諧)」(『順天時報』光緒32.閏4.28-5.2(1906.6.19-23))についてその原作を中村忠行氏が推測しています(1964)。
 (仏)フラマリオン原著、長田秋濤訳「百万年後之地球」(『太陽』6巻10-11号 1900.8.1-9.1)ではないかと「見当をつけてゐるが、詳らかでない」(72頁)。
 残念ながら見当はずれだったようです。ふたつの文章を比較対照しましたが一致しません。
 たとえばその「大地球未来記」第4回に安倍吉平が丹波雅忠と酒を飲んでいる時地震発生を予知した[安部[倍]吉平。和雅忠喝酒。能預知地震處]とあります(『古今著聞集』所収)。そうすると原作は日本人の手になるものかもしれません。



 

2021.5.9
 写真右(下)が(美)濮倫孫記、天涯芳草館主亶中(呉檮)訳「(冒険短篇小説)二十六点鐘之大飛行」『申報』宣統元年十二月十七−十九日(1910.1.27-29)です。
 その原作が写真左(上)。EDGAR BEECHER BRONSON“AN AERIAL BIVOUAC(TWENTY-SIX HOURS IN A BALLOON)”(“THE AMERICAN MAGAZINE”VOL.64, NO.6, 1907.10)。のち“THE RED-BLOODED”CHICAGO: A. C. McCLURG & CO., 1910 所収。
 エドガー・ビーチャー・ブロンスン(EDGAR BEECHER BRONSON、1856-1917)はニューヨーク・トリビューンの記者だったことがあります。
 日本語訳についてはわかっていません。



 

長田秋濤遺稿『図南録』
教育科学社1943.7.10

2021.5.8
 秋濤+紅葉『寒牡丹』について調べていました。
 田中彌十郎「長田秋濤の著作」(『書物展望』13巻3号1943.3.1)があります。読めば田中が調査したという「秋濤著作年表」が上記『図南録』に収録されていることを知りました。
 というわけで該書を入手したわけです。「寒牡丹(秋濤紅葉共訳)明治三十三年一月 読売新聞」(39頁)とありました。




趙娟茹『≪繍像小説≫的異域書写研究』
成都・四川大学出版社2020.12 俗文学与俗文献研究叢書

2021.4.28
 内容は以下のとおり。
 =================================
 項楚「総序」、
 引 言、
 第1章 晩清中外文学関係視域下≪繍像小説≫的異域書写、
 第2章 華夏中心観解体与重構近代烏托邦図景、
 第3章 異域書写与物質文化層、
 第4章 異域書写与制度文化層、
 第5章 異域書写与心霊文化層、
 第6章 異域書写与視覚文化層、
 第7章 異域書写与陌生化審美效応、
 結 語 異域書写的世界性和現代性意義、
 参考文献、
 後 記





樽本照雄『清末小説四談』
ファイル名 4dan.pdf 約26.4MB

2021.4.27
 上記を公開しています。
 目次はこちらをご覧下さい。



 
『東亜観念史集刊』第16期と第17期
オビなしとオビあり

2021.4.15
 『東亜観念史集刊』第14-17期をいただきました。鄭文恵教授に感謝します。
 収録論文の一部は以下のとおり。

 『東亜観念史集刊』第16期2019.6/2020.11二版
 魯道夫・瓦格納(RUDOLF G. WAGNER)著、賈如馨整理「重構「五四」:伝播、宣伝與国際行動者的作用」
 楊聯芬、林少陽「作為方法的「五四」」
 『東亜観念史集刊』第17期2019.12/2020.11二版
 明鳳英「「新」的光譜:晩清新小説的来龍去脈」



 
(法)小仲馬著 冷紅生(林紓)、曉斎主人(王寿昌)訳『茶花女遺事』
小説集新第一種
 
1930 万有文庫

2021.2.25
 上は「茶花女遺事」の1冊本です。作品それ自体は珍しいものではありません。ただ「小説集新第一種」というのが貴重です。そこにある挿絵は内容とは関係がありません。
 孔夫子旧書網写真で合冊本『小説集新第一輯』を見ることができます。出版者、刊年ともに不明です。「茶花女遺事」を含めて全6種の翻訳を集めているらしい。
 上に掲げたのは合冊ではなく1冊本になっています。バラで刊行したにしては奥付も定価もないのは不思議ですが。つまり各作品で単行本にしたものと合冊本があるということ。
 表紙は取れていて奥付ははじめからありません。破損本を売るのかといぶかる人もいるでしょう。それを高額で購入する人がいるから笑ってしまいます。私です。
 その下に掲げた万有文庫本も普通ですが個人的に入手したので掲げました。




フォルチュネ・デュ・ボアゴベ作、小林晋『乗合馬車の犯罪』
Re-ClaM 事務局2020.3.31

2021.3.29
 2020年12月のことでした。(英)勃拉錫克著 呉檮訳『(偵探小説)車中毒針』の底本がデュ・ボアゴベ原作の英訳本だと書きました。
 それが上記のようにすでに日本語に翻訳されていることを知ったのは最近のことです。
 古書山たかし「『乗合馬車の犯罪』解説」に次のように解説しています。「本書は一八八一(明治一四)年に刊行されてから十年後の一八九一(明治二四)年、英国人噺家である快楽亭ブラックにより長篇噺『車中の毒針』として高座にかけられ、単行本化もされているので、日本語への移植としてはかなりスピーディだったといえる」312頁



2021.3.22
 『清末小説から』第142号 の目次予告です。
 =================================
 呉檮漢訳レールモントフ『銀鈕碑』――日訳「当代の露西亜人」………沢本香子
 呉檮漢訳『侠女郎』――押川春浪著「女侠姫」………荒井由美
 陳景韓漢訳『侠恋記』――有明山樵『伯爵と美人』………樽本照雄
 ほか




周維東+梁儀主編『清末民初的青年文化与新文学』
成都・巴蜀書社2020.9

2021.3.13
 内容は以下のとおり。
 =================================
 導 論
  上編 青年文化与新文学的多元建構造、
 第1章 ≪青年雑誌≫的“封面人物”研究、
 第2章 近代留日学生期刊中的小説研究、
 第3章 ≪少年中国≫中的文学研究、
 第4章 中華基督教青年会期刊中的文学研究、
  下編 青年文化与新文学創作、
 第5章 家庭倫理変革中的青年与文学、
 第6章 青年価値観的転変与“五四”新文学、
 第7章 個案研究、
 附録1:≪青年雑誌≫封面人物在近代中国的報道状況、
 附録2:≪青年≫、≪進歩≫、≪青年進歩≫中的青年教育的篇目、
 参考文献、
 後 記



 


涙香小史(黒岩涙香)訳『古王宮』
扶桑堂1900.8.1

2021.2.25
 過日、呉門天笑生(包天笑)訳「(言情小説)古王宮」2章(『月月小説』第2年第10、12期(第22、24号) 戊申(1908)十月、十二月)をクレイ原作と一緒に掲げました。
 上に示しますのは底本となった涙香小史(黒岩涙香)訳『古王宮』(扶桑堂1900.8.1)です。




 『清末小説から』第141号を公開中です。
 既刊号は『清末小説から』へどうぞ。




稲岡 勝『明治出版史上の金港堂――社史のない出版社「史」の試み』
皓星社2019.3.29

2012.2.15
 本書によって上海商務印書館と日本金港堂が合弁会社であった事実が知られるのはとてもよいことです。
 興味深い第4部(書き下ろし)は長尾雨山を、第5部では商務印書館との合弁を説明しています。
 樽本論文も示してあり(394頁)ありがたいことです。
 ただし342頁に『初期商務印書館』があるのですが刊年2000が不記になっています。
 またそれ以後に出した『初期商務印書館研究(増補版)』(2004、電字版2016)、『商務印書館研究論集』(2006、増補版電字版2016)、『商務印書館研究文献目録』(2010)などは収録漏れでしょう。些細なことです。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 まえがき
 第1部 「社史」の方法および出版史料について
  第1章 金港堂「社史」の方法について
  第2章 近代出版史と社史
  第3章 明治出版史から見た奥付とその周辺
  第4章 「原亮三郎」伝の神話と正像――文献批判のためのノート
  第5章 近代出版に関する複刻版資料
  第6章 『大勢三転考』の出版願と版権免許証――稲生典太郎氏旧蔵一件文書について
  第7章 見立からみた明治十年代の出版界
 第2部 出版史料としての公文書
  第2部口上 明治出版史と学事文書
  第1章 明治前期教科書出版の実態とその位置
  第2章 明治前期小学教科書の製作とその費用――『東京府地理教授本』を一例として
 第3部 明治出版史上の金港堂
  第1章 明治検定期の教科書出版と金港堂の経営
  第2章 明治検定教科書の供給網と金港堂――『小林家文書(布屋文庫)』の特約販売契約書
  第3章 金港堂の七大雑誌と帝国印刷
 第4部 雪冤長尾雨山――文部省図書審査官と教科書疑獄事件
  はじめに
  第1章 運命の異動
  第2章 教科書事件の大疑獄
  第3章 長尾槇太郎(雨山)の官吏収賄裁判
  第4章 官吏収賄裁判の実相
  第5章 漢文科廃止事件と長尾雨山
  第6章 帰隠洛陽市(帰りて洛陽の市に隠れ)――帰国後の雨山
  第7章 東西の隠君子――狩野亨吉と長尾雨山
 第5部 日中合弁事業の先駆、金港堂と商務印書館の合弁一九〇三─一九一四年
  はじめに
  第1章 「金港堂の支那事業」
  第2章 三井物産上海支店長山本条太郎
  第3章 有限公司商務印書館の設立
  第4章 『支那経済全書』の商務印書館像
  第5章 張元済の最初の訪日と市島春城
  第6章 合弁解消(日資回収)の途
  第7章 『実業之日本《支那問題号》』と商務印書館
  結び
 あとがき
 著作目録及び初出一覧
 索引



 
有明山樵『(探偵小説)伯爵と美人』50回、弘文舘1897.6.20

 
上海時報館記者(陳景韓)訳述『(多情之偵探)侠恋記』46回、上海・時報館 光緒30.11.18(1904.12.24)


2021.2.13
 上の有明山樵『伯爵と美人』を漢訳したものが下の陳景韓訳『侠恋記』です。
 有明山樵については不明です。該書の奥付には「著作兼発行者:西村富次郎」とあります。しかし西村富次郎の筆名が有明山樵だという確証が見つかりません。



 
              

              
 


2021.2.4
 呉檮漢訳モーパッサン『五里霧』の底本は上村左川訳「五里霧中」です。原作は「パラン氏 Monsieur Parent」。
 これに関連して上記の「アフター・ディナー・シリーズ THE AFTER-DINNER SERIES」第2冊と第7冊(共に刊年なし)を入手しました。
 奇妙に思ったのはそれの英訳者がふたつの綴りで記述されていることです。
 その部分を拡大しておきました。はtが2字の WHITTLING ですがは1字の WHITLING です。
 細かな違いにすぎません。
 2種類の綴りは後者で正したと考えるのがいいかもしれません。の1字である WHITLING が正しいとしておきます。



 
A                  B


2021.2.3
  は押川春浪「復讐」(『文藝倶樂部』第13巻第10号 博文, 1907.7.1)です。のちに改題されて「英雄小説 大復讐」(『英雄小説 大復讐』本郷書院1912.9.21所収)になりました。[渡辺105]また岡崎由美
  はそれを呉檮が漢訳したものです。
 (日)押川春浪著 中華呉檮亶中訳「(英雄小説)大復讐」14ママ[10]回(『小説月報』3巻12号 1913.3.25)






清末民初小説目録第13版
樽本照雄編 ファイル名 qmbook13.pdf 約67MB

2021.1.25
 目録第12版を小規模に増補訂正し第13版と改題しました。
 ダウンロードできます。




馬泰来『采銅於山――馬泰来文史論集』
北京・国家図書館出版社2017.3

2021.1.16
 以下の論文などを収録します。
 ≪清実録≫中的劉鶚、
 ≪無専鼎銘≫和劉鶚、
 林訳閑談、
 林訳提要二十則、
 林紓訳書序文鈎沈、
 林紓翻訳作品原著補考、
 林訳遺稿及≪林紓翻訳小説未刊九種≫評介、
 張冠李戴的林訳托爾斯泰作品和訳壇幸運児≪泰西三十軼事≫、
 無中生有的最早林訳≪葛利仏葛≫、
 羅香林教授和我的林紓翻訳研究



張鉄夫『群星燦爛的文学――俄羅斯文学論集』
北京・東方出版社2002.11

 以下の論文などを収録します。
 托爾斯泰三大長篇的対照藝術、
 20世紀上半葉普希金在中国的接受、
 普希金“初臨中土”的向導――〓翼〓与普希金



黄麗珍『清末民初小説的学生群体接受研究』
済南・斉魯書社2019.10

 内容は以下のとおり。
 =================================
 郭延礼「序」、
 緒 論、
 第1章 小説世界的繁興与学生社会的崛起、
 第2章 作為小説接受主体的学生群体的特点、
 第3章 多様的接受途径、
 第4章 古今并存的接受方式、
 第5章 清末民初学生群体対各類小説的接受、
 第6章 影響之維、
 結 語、
 主要参考文献、
 後 記



廖七一『20世紀中国翻訳批評話語研究』
北京大学出版社2020.6

 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論、
 第1章 翻訳為強国第一義(1898-1915)、
 第2章 文化復興与民族救亡(1915-1949)、
 第3章 政治風向標(1949-1979)、
 第4章 走出封閉的翻訳批評(1979- )、
 余 論:批評的慣性与趨勢
 参考文献、
 索 引、
 後 記




山田有策+木谷喜美枝+宇佐美毅+市川紘美+大屋幸世編『尾崎紅葉事典』
翰林書房220.10.28

2021.1.14
 紅葉『寒牡丹』の最新研究を知りたいので上記事典を購入しました。
 尾崎+長田『寒牡丹』についての解説があります(渡辺麻実執筆)。原作は未詳。該作品の問題点をあげて「それらを評価する上でも、原作の特定、翻案・改作箇所の検討が課題となる」(36頁)。
 そういう情況だそうです。




付建舟等『≪小説新報≫与中国文学的内源性変革』
北京・中国社会科学出版社2020.10


2021.1.12
 著者からいただきました。ありがとうございます。
 内容は以下のとおり。
 =================================
 緒 論、
 第1章 ≪小説新報≫与民初長篇小説的正当性及其変革、
 第2章 ≪小説新報≫与民初短篇小説的正当性及其変革、
 第3章 ≪小説新報≫与民初小説芸術的内源性変革、
 第4章 ≪小説新報≫与伝統詩文之延続、
 第5章 ≪小説新報≫与民初講唱文学及其伝統、
 第6章 ≪小説新報≫与伝統戯曲的変革、
 第7章 ≪小説新報≫与我国的諧隠文学小伝統、
 第8章 ≪小説新報≫与伝統文学批評文体及其新変、
 第9章 ≪小説新報≫之改良与民初旧派文学之調適、
 結 語、
 参考文献、
 後 記



 
長田忠一、尾崎徳太郎『寒牡丹』
春陽堂1901.2.6

 
(日)尾崎紅葉著 杭県呉檮訳『(哀情小説)寒牡丹』 2巻 上下巻
上海・商務印書館1913.12三版 説部叢書1=41

2021.1.9
 ご覧のとおりです。
 呉檮漢訳では長田忠一の名前を記載していません。長田がフランス小説を翻訳したらしい。原作・原作者未詳です。


 
William Tufnell Le Queux“Stolen Souls[盗まれし魂]”

 
 柳川春葉「虚無党の女」          呉檮漢訳『薄命花』

2021.1.2
 呉檮漢訳『薄命花』の底本が柳川春葉「虚無党の女」であることはすでに知られています。
 春葉日訳の原作は William Tufnell Le Queux“Stolen Souls[盗まれし魂]”であることが判明しました。


 『清末小説から』第141号 の目次予告です。近く公表することをお知らせします。
 =================================
 いくたびかの阿英目録29………樽本照雄
 包天笑漢訳クレイ『空谷蘭』について――涙香訳『野の花』の原作………神田一三
 漢訳『乳姉妹』について(誤解の系譜4完)………樽本照雄
 陀思妥耶夫斯基小説漢訳佚忘四種………古 二 徳
 そのほか




PIETER BRUEGEL

2021.1.1
 本年もよろしくお願いいたします。


 【予告】『清末民初小説目録 第13版』を本年3月頃に公開する予定です。

 『清末小説から』第140号を掲げています。




はじめに
 『清末小説から』の最新号所収の論文と『清末小説』(第35号2012で終刊)ほか清末民初小説目録、樽本の主要著作をダウンロードすることができます。
 これまでの研究会活動を紹介するかわりに雑誌『清末小説(研究)』の編集ノートをあつめた編集ノート集をかかげました。おおよその活動が理解できるでしょう。

あらためまして
 中国の清末小説(しんまつ しょうせつ)を専門に研究している会です。清末とは清朝末期のことを指します。厳密にいえば「中国の」と付ける必要はありません。清末は中国にしか存在しませんから。まあ丁寧に言っております、くらいのことですのでご了承ください。
 年代でいえば1900年代から1911年の辛亥革命をへて五四前です。
 日本ならば明治30年代から大正初期にあたります。
 というわけで清末小説を専門にしているといっても中華民国初期の小説も含んでおります。誤解のないようにお願いいたします。
 それならばいっそのこと「清末民初小説研究」と名づけていいようなものの、長いです。
 研究会と称していますが組織はありません。会員もいません。
 定期刊行物として季刊の『清末小説から』(ウェブでの公開を継続中)および電字版著作集を公表することが研究会の目的です。


清末小説研究会 http://shinmatsu.main.jp