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鄭曉嵐「晩清冒険小説(1898-1911)篇目整理、発現及刊行情況」
『西南交通大学学報(社会科学版)』2022年第4期(第23巻、総第130期)2022.7
2022.12.6
小説目録使用時の原則
むつかしいことはなにもありません。小説目録の初版と増補版があるばあいは増補版を使用する必要がある。これが原則です。
著名な阿英編「晩清小説目」『晩清戯曲小説目』(略称:阿英目録)には複数の版本があります。初版は上海文藝聯合出版社(1954.8)。増補版には古典文学出版社(1957.9/北京・中華書局1959.5)があるというぐあいです。
阿英目録増補版を知らずに初版だけを使って『小眼観世』がない、といえば笑われます。増補版(174頁)に掲載されているからです。
上記の鄭曉嵐論文について紹介します。題名にあるように1898-1911年、つまり清末に発表された冒険小説についてその数を再集計しました。
鄭曉嵐が基礎資料として使用した小説目録は2種類です。以下のとおり。
樽本照雄『新編増補清末民初小説目録』(済南・斉魯書社2002。略称:樽目録第3版)
陳 大康『中国近代小説編年史』全6冊(北京・人民文学出版社2014。略称:陳大康年表。鄭曉嵐は刊年を2013年と誤る。116頁注1)
冒険小説を収録している数について樽目録第3版では33篇、陳大康年表は59篇だと要約に書いています。
小さいところを指摘しましょう。全体を象徴しているからです。『復国軼聞』は樽目録第3版も陳大康年表にも見えないといいます(117頁)。嘘です。樽目録第3版には該書(角書は言情小説、航海小説)を4種類も掲載しています。陳大康年表にも収録。鄭曉嵐はどこを見たのでしょうか。
『繍像小説』の刊年についてありもしない数字を記述しています。鄭曉嵐が参照した陳大康年表も推定刊年を提出していますから書くならばそちらです。
鄭曉嵐は最新版目録を使用するという基本原則を理解していません。
樽目録は初版(1988)から最新の第14版(2022)まで更新しています。鄭曉嵐論文の公表は2022年7月ですから少なくとも第13版(2021)は見ることができたはずです。それにもかかわらず2002年の利用期限が切れた樽目録第3版を使用するのにはあきれます。別の中国人研究者も同じことをしていました。何度言っても理解できないらしい。指摘し続けている理由です。
ネットが繋がらないからダウンロードしていないというでしょうか。それも正しくありません。『清末小説から』第98号(2010)を引用しているのが証拠です(114頁注4)。
あたらしい冒険小説を発掘して追加しているかと見れば、それもありません。既存のそれも古い小説目録をこねくり回しているだけですから新しい発見がないのも当然といえば当たり前です。
117頁注1に阿英『晩清戯曲小説目』を出しています。なんと初版の上海文藝聯合出版社1954年版です。増補版を示す考えがないらしい(笑)。
参考文献を多数掲げています。その努力はわかるのです。しかし基本が崩れています。間違った小説目録を使うから立論そのもが成立しません。だいいち樽目録はすでに陳大康年表をすべて吸収しています。最新版を使えば冒険小説の収録数は同じです。論文にはなりません。そこで収録差を強調するために旧版をわざわざ持ち出したというのでしょうか。
ないない尽くしでほめようがありません。残念なことでした。

付建舟『清末民初≪説部叢書≫叙録』
北京・中国社会科学出版社2022.8
2022.11.18
書影を掲載していて信頼できます。内容は以下のとおり。
=================================
関愛和「序」、
上篇、
1 時報館及有正書局≪説部叢書≫、
2 群学社≪説部叢書≫、
3 商務印書館≪説部叢書≫ただし≪新説書≫、≪袖珍小説≫、≪説林≫、
4 小説林社≪説部叢書≫、
5 改良小説社≪説部叢書≫、
6 国華書局≪説部叢書≫、
下篇、
7 中華書局≪小説彙刊≫、
8 文明書局≪小本新小説≫、
9 亜東図書館≪名家小説≫、
10 交通図書館≪名著小説一千種≫、
11 振民編輯社≪武侠小説叢書≫、
12 済寧中西中学≪小説叢集≫、
13 宏文図書館≪時事小説≫、
14 滑稽編輯社≪滑稽小説大観≫、
15 世界書局≪説部叢書≫、
16 中華図書館≪説部叢書≫、
17 大東書局≪説部叢書≫、
18 北新書局≪欧美名家小説叢書≫、
19 其他書局≪説部叢書≫、
参考文献、
後記


『絶島日記』 上海・群益書社 1910
2022.11.14
表紙は上のとおり。「JUVENILE ENGLISH LITERATURE NO.1./THE JOURNAL OF ROBINSON CRUSOE BY DANIEL DEFOE/青年英文学叢書第壹編/絶島日記/善化周砥訳註」、扉は「JUVENILE ENGLISH LITERATURE.青年英文学叢書NO.1/THE JOURNAL OF ROBINSON CRUSOE BY DANIEL DEFOE/第壹編 絶島日記/善化周砥訳注/SHINGHAI: K'EUNYIESEOOSEYA, 1911」、奥付は訳述者:善化周砥、総発行所:上海・群益書社、宣統二年七月二十日発行」。
崔文東氏の指摘があります。[文東98]英漢対照読物。訳自英日対照読物「無人島日記」(THE JOURNAL OF ROBINSON CRUSOE)、菅野徳助、奈倉次郎訳注、東京三省堂1907、青年英文学叢書。国立国会図書館デジタルコレクションで見ることが可能です。

2022.10.30
『清末小説から』第148号を公開中です。
既刊号は『清末小説から』へどうぞ。

包天笑『天笑短篇小説』上下冊
上海・中華書局 1918.1/1926.4五版
2022.10.17
内容は以下のとおり。
=================================
上冊
大好頭顱(天笑、毅漢合訳)、大理石像(天笑、毅漢合訳)、吾姪麦司之書翰(天笑、毅漢合訳)、三十八年(天笑、蟄菴合訳)、喬奇小伝(天笑、毅漢合訳)、加拿大帰客(天笑、毅漢合訳)、贈書女(天笑、毅漢合訳)、女小説家(天笑、毅漢合訳)、礼物(天笑、毅漢合訳)、黒帷(天笑、毅漢合訳)
下冊
無名之佳人(天笑撰)、石油灯(天笑、毅漢合訳)、茘枝(天笑、毅漢合訳)、徳国臘腸(天笑、毅漢合訳)、偽医偽病(天笑、毅漢合訳)、京漢道中(天笑撰)、電話(天笑撰)、飛来之日記(天笑撰)、冤(天笑訳)、発明家(天笑、毅漢合訳)

商務版「説部叢書」の鍵付き収納木箱
孔夫子旧書網より(一瞬現れてアワのように消えた)
2022.9.29
1908年、商務印書館の「説部叢書」は2作品を入れ替え改組しました。改組と同時に元版十集全一百編が完結したのです。「元版」(表紙はタンポポ文様)は付建舟の用語で「十集系列」といいます。
その元版百編を木箱に収納してまとめ売りをしたのは1908年、1909年、1911年のことでした。
上に示したのがその実物です。珍しいので掲げます。

登張竹風「賣国奴」
『明星』創刊第五年紀念特別刊行桜花号 明治37年第4号 1904.4.1(近代書誌・近代画像データベース)
2022.9.21
登張竹風「賣国奴」の雑誌『明星』掲載について
文娟『前『五四』時代的文化符号:商務印書館与中国近代小説』(桂林・広西師範大学出版社2021.6)に次のような記述があります。
「根據樽本照雄≪新編増補清末民初小説目録≫中的著録,登張竹風所訳≪賣国奴≫于1904年4月在日本≪明星≫雑誌上連載,同年9月15日金港堂書籍株式会社出版単行本」115頁注@。なお樽目録第3版からその後の第14版にも『明星』の記載は一切ありません。上の前半部分の説明は誤りです。
「呉檮所訳的≪賣国奴≫転訳自登張竹風的日訳本,其訳1904年4月在≪明星≫雑誌上連載的時候,所使用的標題則“賣国奴”,而同年9月15日金港堂書籍株式会社出版的単行本也是這個題目」117頁
「(徳)蘇徳蒙著,登張竹風訳≪賣国奴≫,1904年4月≪明星≫連載」206頁
「例如≪賣国奴≫這部徳国小説的日文訳本,1904年4月日本≪明星≫雑誌上連載,単行本在同年9月15日出版,而出版商正是金港堂書籍株式会社」207頁
いずれも登張竹風日訳『賣国奴』が日本の雑誌『明星』に「連載」された後に単行本になったと記述しています。雑誌連載後に単行本になるのはよくあることです。
しかし「連載」といいながら明細を示さない。実物で確認していないとわかります。
しかも典拠を明らかにしていません。調べると楊鳳鳴「近代中国文学翻訳中的日本影響――以呉檮為例」(太原・山西大学碩士論文2014.6.1。こちらは「参考文献」の198に収録。436頁)の8、24頁にほぼ同じ語句があります。文娟は関連個所に注釈をつけていません。無断借用だといわれてもしかたがないでしょう。
たしかに登張竹風「賣国奴」は『明星』(明治37年第4号 1904.4.1)に掲載されました。しかしそれは竹風が口述し筆記者が記録した翻訳の内容要約にすぎません。
「こは文学士登張竹風氏が述べられたる独逸小説『賣国奴』の梗概なり。この小説は我国へ向け来遊の噂あるズーデルマン氏の作なり。猶この筆記に誤謬あらば一に筆記者の責なり」とあるとおり。1回完結の短文です。これをもって日本語翻訳というのは無理があります。ましてや訳文の全部が「連載」されたわけではありません。
以上の実情を見れば『明星』掲載後に単行本『賣国奴』になったと説明することは不可能です。そう明記しておきます
【追記2011.11.14】楊鳳鳴「呉檮与契訶夫――従≪黒衣教士≫看呉訳受到的日本影響」(『東方翻訳』2013年第6期(総第26期)2013.12)に次のようにあります。「日本登張竹風訳的≪賣国奴≫于1904年4月連載在≪明星≫雑誌上,同年9月15日,金港堂書籍株式会社出版該訳本的単行本」19頁。これが誤りの始まりでしょう。

頼慈芸主編『台湾翻訳史:殖民、国族与認同』
台湾・聯経出版事業股▲有限公司2019.9
2022.9.16
以下を含みます。
=================================
導 論 翻訳之島(頼慈芸)
第1章 「文体」与「国体」:日本文学在日治時期台湾漢語文言小説中的跨界行旅、文化翻訳与写錯置(黄美娥)
第3章 日治台湾<小人国記>、<大人国記>訳本来源辨析:兼論其文学史意義(許俊雄)
第6章 両個源文之下的混種翻訳:居間遊移的無家孤児(陳宏淑)

紀徳君『晩清社会的『堂吉訶徳』:呉趼人作品選読』
広州出版社2021.12
2022.9.15
内容は以下のとおり。
=================================
導 読、
小説選読、
≪二十年目睹之怪現状≫選段、
≪痛史≫選段、
≪九命奇冤≫選段、
≪瞎騙奇聞≫選段、
≪新石頭記≫選段、
≪糊塗世界≫選段、
≪恨海≫選段、
≪上海遊驂録≫選段、
≪発財秘訣≫選段、
≪劫余灰≫選段、
≪最近社会齷齪史≫選段、
≪情変≫選段、
短篇小説選<立憲万歳>、
短篇小説選<査功課>、
附録 呉趼人編年事略
延伸閲読推薦書目

2022.9.2
『清末小説から』第147号を公開中です。
既刊号は『清末小説から』へどうぞ。
国立国会図書館からの回答(2/2)
2022.9.1
国立国会図書館が『海上大冒険談』について正しくない著者を記録していたのが発端です(現在は削除)。
それを見て、翻訳ならば著者を記録するのが国立国会図書館の編集方針だと思っていました。
ですから菊池幽芳『乳姉妹』前後編(春陽堂 明治卅七年)の原作も記録すべきだと考えたのは当然です。
CHARLOTTE M. BRAME,“LORD LISLE'S DAUGHTER.”と告知したのです。
その回答が次のとおりです。要件部分のみを示します。
=================================
国立国会図書館収集書誌部収集・書誌調整課
8月12日(金) 18:04
国立国会図書館 収集書誌部 収集・書誌調整課の土井と申します。
当館をご利用くださいましてありがとうございます。
8月11日に当館ホームページのお問い合わせフォームを通じて
お知らせいただきました件について、ご回答いたします。
2 『乳姉妹』について
はしがきの内容から翻訳書とは見なさず、
書誌データに原作のタイトルは記録いたしません。
=================================
国立国会図書館職員の判断によって幽芳『乳姉妹』は創作だと認定されました。
研究とは関係のないことですからそれでいいのでしょう。
余計なお知らせ(2件)をして失礼しました。
国立国会図書館からの回答(1/2)
2022.8.31
以前(2015-2016)のことです。村上濁浪庵(俊蔵)訳述『海上大冒険談』(春陽堂1900.1.1)の原作者について文章を書いたことがあります。
問題は国立国会図書館が間違った著者名を示していることでした。
それには「著者J. F , Cooper著」、「著者標目 Cooper, James Fenimore, 1789-1851」とありました(現在は削除)。外国人研究者はそれにもとづいて文章を書いています。私の知る限り2名です。
クーパー原作ではありません。国立国会図書館にそれは間違だと連絡しました(2015)。
返答があり誤りを認めて該当部分を削除したところまではよかったのです。
2022年に気がついて確認すると削除したままで正しい著者の記入がありません。
そこで正しい原作はQ(ARTHUR THOMAS QUILLER-COUCH)編“THE STORY OF THE SEA”VOL.2,(CASSELL AND COMPANY, LIMITED 1896)だとお知らせしたのでした。
その回答が次のとおりです。要件部分のみを示します。
=================================
国立国会図書館収集書誌部収集・書誌調整課
8月12日(金) 18:04
国立国会図書館 収集書誌部 収集・書誌調整課の土井と申します。
当館をご利用くださいましてありがとうございます。
8月11日に当館ホームページのお問い合わせフォームを通じて
お知らせいただきました件について、ご回答いたします。
1 『海上大冒険談』について
緒言等から翻訳書であることは分かるのですが、
資料に原作のタイトルの表示(原綴)がないため
書誌データに原作のタイトルは記録いたしません。
=================================
実物に表示がないから書誌データには記録しない。それが編集方針のようです。
それでは以前に「著者J. F , Cooper著」、「著者標目 Cooper, James Fenimore, 1789-1851」と記録していたのと矛盾します。それとも編集方針が変更になったのでしょうか。
「国立国会図書館からの回答(2/2)」に続きます。

符傑祥論文の誤りを正す
2022.8.30
魯迅および包天笑が漢訳したストロング原作「造人術」に関連する論文をいくつか読みました。
そのなかのひとつが次の論文です。
符傑祥「誰是“路易斯託崙”?――魯迅訳≪造人術≫作者考,兼論女作家“失踪”之謎」『現代中文学刊』2022年第1期(総第76期)2022.2.18。
アメリカ人作家 Louise Jackson Strong の経歴について説明しています。H. G. Wells と同時代人だという。
ある箇所に目がとまります。
文中から引用して次のとおりです。
=================================
樽本照雄在文章中就用“他”来称呼,顕然是将其誤認為男性作家了。37頁
=================================
書いていることは、ストロングが女性であるのに樽本はそれを「他」即ち男性作家だと誤認しているというのです。
嘘です。
樽本は論文においてストロングを呼ぶときは「原作者」「作者」「ストロング」とのみ書いています。「他」と翻訳したのは漢訳者許昌福でしょう。
他人の論文を批判する時は原語(このばあいは日本語)にもとづくのが原則です。手を抜いて漢訳ですますことは許されません。研究の初歩も知らない符傑祥(上海交通大学人文学院)には論文を書く資格が欠けています。

馮鴿『20世紀中国幻想小説史論』
北京・人民出版社2022.3
2022.8.23
内容は以下のとおり。
=================================
陳学超「序言 在人少的地方釣魚」、
緒 論
第1部分|20世紀初的強国夢、
第1章 喧閙的幻想小説、
第2章 意象的深意、
第3章 晩清幻想小説的叙事特徴、
第2部分|20世紀中期潜在的人生夢幻、
第4章 被圧抑的幻想叙事、
第5章 “児童”幻想、
第6章 現代性的国民幻想、
第7章 武侠夢幻、
第3部分|20世紀末的幻想
第8章 精英立場的荒誕幻想、
第9章 科幻小説、
結 語、
主要参考文献、
後 記
注意! 古書販売サギの銀行口座 注意!
2022.8.18
実在する古書販売サギのメールアドレスと銀行口座です。
送金する前にご確認ください。
=================================
博之 栗田 wiuy@okybyif.com
銀行名 ---------- ゆうちょ銀行
銀行コード ---------- 9900
支店名 ---------- 四〇八支店
支店番号 ---------- 408
口座種類 ---------- 普通
口座番号 ---------- 7249595
記号番号 ---------- 14050-72495951
名義人 ---------- レ フン マン
=================================
以上です。

台湾版「某公好衣」 坪内逍遥「領主の新衣」
2022.8.13
前回ご紹介しました頼慈芸『翻訳偵探事務所:偽訳解密!台湾戒厳時期翻訳怪象大公開』です。
その中の1篇は「安徒生的第一個中文訳本不在中国,而在日治台湾――<某侯好衣>」といいます。
興味深いのはアンデルセン「裸の王様」の最初の漢訳について新発見を提出していることです。
従来いわれてきた周作人(1911)、劉半農(1914)よりも早く台湾で漢訳されていたのでした。
その漢訳名は訳者名不記「某公好衣」(『台湾教育会雑誌』1906.5.15)です。1906年掲載ですから確かに最初の漢訳です。
調査するとその台湾版の底本は坪内逍遥『国語読本(高等小学校用)』(冨山房1900)に収録されている「領主の新衣」だとわかりました。

頼慈芸『翻訳偵探事務所:偽訳解密!台湾戒厳時期翻訳怪象大公開』
台湾・蔚藍文化出版股▲有限公司2017.1/2020.8二版二刷
2022.8.11
以下の文章を含みます。
=================================
生物学家訳的≪茶花女≫,風行台湾半世紀、
踏破鉄鞋無覓處――≪魯賓遜漂流記≫奇案、
用≪伊索寓言≫学台語、
台湾最早的莎士比亜故事――<丹麦太子>、
安徒生的第一個中文訳本不在中国,而在日治台湾――<某侯好衣>

〓金勇『従書籍到報刊:晩清文人的書写転型研究』
北京・中国社会科学出版社2021.12
内容は次のとおり。
=================================
蒋原倫「序」、
緒 論、
第1章 報刊的興起:技術革新下的新式伝播媒介、
第2章 書写的転型:報刊媒介影響下晩清文人的観念変動、
第3章 報刊与時間:従“立言不朽”看晩清報人的書写観念転型、
第4章 報刊与空間:従空間化伝播看晩清報人的書写観念転型、
第5章 報刊与言語:従“文質之辯”看晩清報人的書写観念転型、
第6章 報刊与義利:従“義利之辯”看晩清報人的書写観念的転型、
第7章 報刊与功名:従科挙制度看晩清報人的書写観念転型、
第8章 報刊与戦争:晩清戦事信息視野下文人報刊認同、
第9章 清議、上書与〓報:晩清文人論政的路径演進、
第10章 旧識与新知:晩清文人典範転移中的報刊認同、
結論与討論、
附録1 書籍与著述:中国近代文人著述出版的観念転型、
附録2 報刊与啓蒙:中国近代報刊“論説”的文体選択、
附録3 微博与立言:作家莫言的微博認知与書写認同、
主要参考文献、
後 記

李欧梵『現代性的想像――従晩清到当下』
杭州市・浙江大学出版社2019.4
2022.8.10
おおよその内容は次のとおり。
=================================
晩清文化、文学与現代性、
晩清文学和文化研究的新課題、
林紓与哈葛徳――翻訳的文化政治、
歴史演義小説的跨文化吊詭:林紓和司各特、
見林又見樹:晩清小説翻訳研究方法的初歩探討、
従一本小説看世界:≪夢遊二十一世紀≫的意義、
漫談中国現代文学中的“頽廃”、
“批評空間”的開創――従≪申報・自由談≫談起、
ほか

張〓『文学伝統与文学翻訳的互動』
鎮江・江蘇大学出版社2013.12
2022.7.24
上記の書物に樽本編『新編増補清末民初小説目録』(第3版。斉魯書社2002)について言及しています。
詩歌、学術書が混入しているという指摘です(77頁)。今までそう書いた文献がありますが、具体的に作品名をあげているのを始めて見ました。以下の3件です。
1 Matthew Arnold 的 Dover Beach
2 Alfred Tennyson 的 The Charge of the Light Brigade(軽騎兵の突撃。物語詩)
3 Michael Haberlandt 的 Ethnology
説明します。
1の漢訳名は「夜懐」です。詩とは知りませんでした。次のように注記します。「(張〓77頁)詩であって小説ではない」
2に該当する作品は第3版では見つかりません。現在の第14版でも同様に収録していません。
3の漢訳名は「民種学」です。林紓+魏易同訳ですから収録しました。林訳本はすべて収録するのが編集方針です。小説以外の翻訳が含まれるのは当然です。
以上のとおり小説ではないという作品が不明のものを含めて3例です。目録には2万件から3万件の作品を収録しています。それの中からわずかに3例を探しだした努力には感服します。
上記書籍は2013年の刊行です。使用するのが紙媒体(2002)というのは筆者から見ればズレています。当時すでに第5版をネット上で公開しているからです。
最近発表された論文をみても相変わらず第3版(斉魯書社)を参考資料に掲げています。最新版を見るということはないのでしょうか。それとも引用文献は紙媒体に限定されているとか。それでは研究の発展についていくことができないと思いますが。
内容は次のとおり。
=================================
1 緒論、
2 文学伝統的概念、
3 文学伝統与文学翻訳、
4 文学伝統影響下的近代小説翻訳、
5 外来文学伝統対中国近代小説翻訳和創作的影響、
6 変化中的文学伝統、
7 結論、
8 参考文献

1909年3月号英国版 1909年3月号米国版 掲載なし
google books 所収
2022.7.24
以前、三豊氏より包天笑漢訳「新造人術」(1910)の原作についてご教示いただきました。HENRY A. HERING“MR. BROADBENT'S INFORMATION”(“PEARSON'S MAGAZINE”MARCH 1909)ということです。
調べた結果を少し補足します。
『ピアソンズ・マガジン』1909年3月号というのは正しいのです。
ただし該誌は英国版と米国版の2種類が存在するのでした。
ヘリング作品は、その英国版(写真左)に掲載されています。米国版(写真右)ではありません。

商務印書館編輯部編『商務印書館一百二十五年:1897-2022――我与商務印書館』上下冊
北京・商務印書館2022.4
2022.7.14
書名のとおり創立125周年の商務印書館に関する回想文集です。
そのため金港堂との合弁問題あるいは林紓冤罪問題などを正面から取り上げた文章は収録されていません。
瀬戸宏「商務印書館版《吟辺燕語》的文化意義――再論林紓的莎士比亜観」(『中国出版史研究』2019年第4期 2019.12)があります。それを批判した樽本照雄「林訳の改編者表記――瀬戸博士の嘘と捏造」(『清末小説から』第140号 2021.1.1)をご覧ください。
内容は次のとおり。
=================================
商務印書館編輯部「編者前言」、
●上冊、
〓富灼「六十年之回顧」、
楊小仲「憶商務印書館電影部」、
戴孝侯「商務印書館前期的推広和宣伝」、
黄一晴「我的祖父黄葆戊」、
羅久芳「父親羅家倫与商務印書館」、
宣 節「略談商務印書館印刷部門的管理方法」、
馮宋徹「父親馮定革命人生的起点」、
張勉之「追憶商務総務處片段」、
蒋啓新「値得懐念的十年」、
方桂生「回憶発行所点滴」、
陸元洪「商務発行所憶旧」、
張善慶「我在商務印書館厦門分館」、
周連芳「高等教育出版社与商務印書館」、
張 稷「口述:我在商務一輩子――林爾蔚先生訪談録」、
梁志学「一九五四年以来」、
汝信「五十年代開始的深厚縁分」、
馬斌「我与商務印書館的書縁」、
孫義驕A張〓亭「商務印書館対我国西班牙語教学建設的貢献」、
楊敬年「我与商務印書館的百年書縁」、
周 暉「我媽媽在商務印書館工作的三十三年」、
陸倹明「工具書成了我和商務印書館関係的紐帯」、
黄鴻森「筆墨姻縁五十年」、
肢ネ寧「漢訳世界学術名著出版対中国学術界的貢献」、
高年生「我与商務印書館」、
洪漢鼎「我所熟悉的商務印書館」、
韓敬体「六十多年歴彌深的戦友情誼」、
陳鼓応「我与商務印書館」、
曹先擢「談談1970年≪新華字典≫的修訂」、
張 稷「曹乃木先生訪談録」、
荘繹伝「商務印書館:我的良師益友」、
朱 原「我在商務的難忘往事」、
蒋紹愚「≪古漢語常用字字典≫和商務印書館」、
黄建華「逾半個世紀的不解之縁――我和商務印書館交往的点滴」、
姚莉萍「≪現代日漢大詞典≫編写憶往」、
鄭述譜「辞書情縁四十載」、
方厚枢「我参与≪辞源≫修訂工作的歴史回憶」、
呉模信「我与商務印書館有縁」、
車洪才「我与商務印書館的縁分」、
王新善「在商務印書館的日子」、
張双棣「我在商務印書館」、
周祖達「我与“商務”的情縁」、
杜小真「一套伝授“仰望”的書」、
陳応年「関于商務印書館策劃出版“日本叢書”的回憶和感想」、
馬克〓「対商務印書館的感念」、
史有為「嫁衣繍出縁深浅」、
徐家玲「我和商務印書館的縁分」
王 路「記与商務交往的二三事」、
陳 平「学術出版重鎮、民族文化標杆――慶賀商務印書館成立125周年」、
陳福康「我的懐念――因鄭振鐸研究而結縁的幾代“老商務”」
張振興「商務印書館:一座神聖的殿堂」、
裘錫圭「我与商務的姻縁」、
郭 鋭「一本小書影響一個人的人生道路」、
馮志偉「我与商務印書館的縁分」、
宗福邦「視野与担当――祝賀商務印書館建館125周年」、
祭運龍「一個地理学人心目中的商務印書館」、
袁毓林「結縁商務四十載 書巻飄香人未老」、
江藍生「我与商務印書館的不解之縁」、
孫 輝「由≪簡明法語教程≫結識商務印書館的三代法語編輯」、
顧朝林「商務有個地理編輯室」、
董 〓「我与商務印書館的情縁」、
周明鑑「青春常在的百年老店」、
劉意青「祝賀与希望――写在商務印書館120年館慶之際」、
張緒山「我与商務印書館的縁分」、
劉華傑「商務印書館建構了中国学人的精神之家」、
沈漢「翻訳也是陳述思想的方式――記為商務印書館翻訳幾本政治学著作的雑感」、
高丙中「我与商務印書館:従受教到合作的経歴」、
潘 鈞「我与商務結縁三十年」、
周 薦「千万里、我追尋着〓」、
斉滬揚「和商務印書館工作交往二三事」、
金 莉「我与商務印書館二三事」、
●下冊、
馬 真「商務印書館将我的講稿変成了書」、
唐曉峰「我与商務印書館」、
章宜華「引領出版時尚 孕育精品文化――我与商務結識25年」、
渠敬東「蒲公英的種子:我与商務印書館」、
宋長青「発掘地理知識精髄的優秀文化載体」、
張書岩「和商務印書館一起走過的歳月」、
孫周興「我与書、以及漢訳名著」、
邵敬敏「我与商務好有縁」、
李宇明「“商務”并非唯商是務、“印書館”并非僅僅印書――紀念商務印書館成立125周年」、
沈家〓「我与商務印書館結縁」、
喬全生「我与商務印書館的両次結縁」、
趙金銘「商務印書館的対外漢語教学深厚情懐」、
蘇新春「商務印書館与当代漢語詞彙学研究」、
田小琳「百年老店 時代先鋒――賀商務印書館125年誕辰」、
丁 超「文化担当与至善品格」、
蘇宝栄「引領正確的学術方向 推動語言学科健康発展」、
周慶生「我与商務印書館:姻縁・書縁・情縁」、
董鼎山「九旬老人的心願」、
李如龍「我和商務印書館的書縁」、
唐力行「商務印書館与我的不解之縁」、
趙蓉暉「書香致遠、墨巻至恒――写在商務印書館創立125周年之際」、
李泉「感恩商務館:従読書学習到教学研究」、
曹志耘「兄弟同心、其利断金」、
郭 煕「我和商務印書館的十五年」、
何勤華「商務印書館:我的学術家園」、
劉丹青「在商言学――慶賀商務印書館建館125周年」、
〓向東「従読者到作者――我与商務印書館内縁分」、
戴慶厦「商務印書館是作者的温暖之家」、
李 勤「亦師亦友、結縁商務」、
王希傑「交友商務人、読写商務書」、
王建勤「我与商務館的漢語縁」、
張伯江「在商務印書館編≪呂叔湘≫画伝」、
晏紹祥「商務印書館与我的希臘羅馬史研究」、
周清海「為商務印書館125年紀念説幾句心里話」、
劉 青「助力科学技術発展的強勁力量――写在商務印書館125周年館慶之際」、
劉海濤「商務印書館与我的語言学之路」、
侯 敏「我的商務縁」、
馬学強「我和商務印書館」、
孫玉文「我的読書、写書和商務印書館」、
孫中原「知識的提昇与進展――同商務印書館結縁」、
朱小健「商務精神印我心」、
李 嵬「商務印書館:我的尋夢園」、
葉其松「商務“求索”記」、
張日培「語言生活研究的重要倡導者、組織者和践行者――我心目中的商務印書館」、
呂文浩「友誼重于業務」、
屈哨兵「東想西想説商務」、
周曉虹「我与商務印書館的非商務往来」、
周尚意「温故知新:与≪地理学性質的透視≫的七次相遇」、
銭軍「我与商務印書館」、
保継剛「我与商務印書館」、
岳洪治「我遇見了天使――与商務印書館的結縁、交往与合作」、
汪恵迪「詞典、我永遠的老師」、
姜奇平「商務、新商務!――我与商務印書館」、
段永朝「従読者到作者」、
趙樹凱「我和商務印書館」、
葉 超「我們的作品――我与商務印書館」、
趙世挙「商務印書館助我語言研究之旅」、
岑容林「我与商務印書館四代編輯的故事」、
李瑞英「我与≪新華字典≫的故事」、
姜 昆「“典”燃的愛心」、
余太山「談≪孫毓棠詩集≫的編輯出版――為紀念商務印書館建館125周年」、
蘇立康「把閲読推広的重任担在肩上」、
于 〓「歳月留痕」、
孟素琴「閲読推広、商務印書館在行動」、
楊 樺「清流悠悠――写于商務印書館125年華誕」、
陳徳中「那些如飢似渇地読“漢訳名著”的歳月」、
林中沢「閲読、翻訳与研究――紀念商務印書館建館125周年」、
張效民「読者、収蔵者、作者――我与商務印書館的縁分」、
胡壮麟「発揮余熱、与時倶進――商務印書館建館125周年有感」、
劉翠霄「我和商務印書館」、
范景中「我所認識的商務印書館」、
邵宏「従読者到訳者:与商務印書館為友」、
朱 曄「従良師益友到合作〓伴――我与商務印書館的故事」、
徐永清「文化高山――一個不通作者与商務印書館」、
徐国棟「我与商務印書館」、
景海峰「商務助我入哲門」、
王曉輝「我与商務印書館」、
劉文飛「“商務”其実最文化」、
汪維輝「我与商務印書館的六本書的縁」、
魯国堯「“人之有徳于我也、不可忘也――賀商務印書館125年華誕」、
曲長亮「従読者到訳者的四十年路」、
馬秋武「商務印書館与我的語言学研究之路」、
王宏治「従読“商務”的書、到当“商務”的作者」、
桑大鵬「賀商務百廿五華誕 感恩福沢葡語学子」、
曹順慶「構建理論話語、発出中国声音――商務印書館与我的治学之路」、
張玲「≪還郷≫的還郷」、
(日)山本幸正「一衣帯水 書海結縁」
2022.7.13b
三豊氏より漢訳の原作1件についてご教示いただきました。多謝。簡略してつぎのとおりです。
下に示しました目録第14号には注釈のかたちで追記します。
=================================
D0118* 『大荒帰客記』上下冊 (三豊)原作は E/MILE DRIANT(1855-1916)“UN DIRIGEABLE AU PO^LE NORD”(巴黎ERNEST FLAMMARION出版社1910年初版)アクサン記号は変則的に表示
お し ら せ
2022.6.13
過日、『清末民初小説目録 第14版』を公開しました。
それに不具合が見つかりましたので修正をしいくつかの加筆をしています。「しおり」を含めて全体を作り直しました。
こちらの修正した『清末民初小説目録 第14版』をご利用ください。
なお、ファイルが大きくなっています(約120MB)。そのため検索に時間がかかるばあいがあることをご承知ください。
2022.7.12
三豊氏より漢訳の原作2件についてご教示いただきました。多謝。簡略してつぎのとおりです。
=================================
H2263* 『幻境奇縁』(三豊)原作は GOUVERNEUR MORRIS、“THE GIRL WHO WAS LEFT OVER”((COSMOPOLITAN MAY 1916)。訳者在底本設定基礎上做了大規模的衍義再創作,基本上已是一篇原創故事。
詳細は以下に見えます。
https://weibo.com/1615055180/LBCT31DR5
H2701* 『慧劫』(三豊)原作は FRANK CHALLICE CONSTABLE、“THE CURSE OF INTELLECT”(1895)。
可林克洛悌是小説第一部分叙述者 MACHIAVELLI COLIN CLOUT 的音訳名。
詳細は以下に見えます。
https://weibo.com/1615055180/LBLqUBIRD

李春『文学翻訳与文学革命――早期中国新文学作家的翻訳研究』
北京・中央編訳出版社2019.12
2022.7.7
内容は次のとおり。
=================================
導 論、
上 篇、
第1章 従“律徳来久”到“文学”:新文学観念的形成、
第2章 由白話而欧化:翻訳与新文学的語言方案、
第3章 翻訳与新文体的想像、
下 篇、
第4章 再造文明:社会改良中的文学改良、
第5章 文化比較中的歴史危機与救贖、
第6章 従“人的文学”到“為人生”的文学、
第7章 “紅男縁女之小説”中的“文学”、
第8章 世界文学版図中的藝術与理想、
第9章 “風韻訳”与新文学的身▲、
結 語、
参考文献、
後 記

清末民初小説目録第14版
樽本照雄編 ファイル名 qmbook14.pdf 約120MB
空前の収録件数 第14版公開/研究するための目録です
『清末民初小説目録』は最先端の研究成果を吸収して成長しつづけています。
本第14版では信頼できる文献にもとづき新聞雑誌に掲載された作品を大量に増補しました。その数は従来から収録している単行本とあわせて過去最多の総47,778件(目録本文は8,145頁)です。
「最良、最新、最大」を目指した結果をここに発表します。これほど大規模な清末民初小説目録は中国にも存在しません。
電字版(120MB)で無料公開していますから研究者は自在に利用検索ができます。探索の対象が広く深くなれば新しい発見につながるかもしれません。
清末小説研究会ウェブサイト http://shinmatsu.main.jp をご覧下さい。研究のお役に立てばさいわいです。(2022.7.3)
「第14版 あとがき」

張潔『清末民初的翻訳衝動与症候:精神分析学視角』
南京大学出版社2021.10
2022.6.25
内容は次のとおり。
=================================
黄運特「序」、
第1章 引 言、
第2章 文献綜述曁研究新方向、
第3章 翻訳衝動与清末民初的語言運動、
第4章 対於≪墓畔哀歌≫中誤訳的症候閲読、
第5章 結 論、
参考文献、
索 引
2022.6.19
華斯比氏より目録第13版の訂正をいただきました。多謝。簡略してつぎのとおりです(6.21追加)。目録第14版に収録いたします。
=================================
Y0962 一粒珠 →(華斯比訂正)第10期(1922.6.1)連載結束

Y0961 一粒珠 →(華斯比訂正)最晩連載到第16期(14-16期均顕示1913年出版)

X1307 歇洛克初到上海第二案 →(畢斯比訂正)光緒三十一年(乙巳)正月初十日(1905.2.13)

F0812 第二案赤条之大偵探 →(畢斯比訂正)第二案赤条条之大偵探

Z0636 偵探世界 →(華斯比訂正)1924.4再版

2022.6.16
三豊氏より漢訳の原作2件についてご教示いただきました。多謝。簡略してつぎのとおりです。目録第14版に収録いたします。
=================================
(美)洛賽爾彭特RUSSELL BOND 雁冰(茅盾)、沢民訳「両月中之建築譚」(『学生雑誌』5巻1-12号 1918.1.5-12.5)の原作は A. Russell Bond (1876-1937) “With the Men Who Do Things” (1913. Scientific American Boy Series 第3部)
(沈)雁冰、沢民「理工学生在校記 (科学小説)」(『学生雑誌』7巻7期-8巻2期 1920.7.5-1921.2.5)の原作は A. Russell Bond (1876-1937) “The Scientific American Boy at School”(1910. Scientific American Boy Series 第2部)

趙鴻飛『抱布貿絲――近代通俗小説中的上海商業文化叙事』
上海科学技術文献出版社2021.9
2022.6.15
内容は次のとおり。
=================================
緒 論
第1章 近代通俗文学中商業叙事与上海印象的基本概況
第2章 上海印象中的商業人物形象
第3章 華洋雑處的都会生活空間
第4章 上海印象中商人的精神世界
第5章 商風浸淫下的情感空間与人性視域
第6章 上海印象中的商業空間
第7章 上海印象中的商業倫理
第8章 上海印象中的商業法規
第9章 上海印象中的商業運営模式
第10章 上海印象中的商業文化叙事美学
第11章 近代上海通俗文学伝播機制的商業化色彩
結 語
後 記
主要参考文献
2022.6.12
三豊氏より漢訳の原作2件についてご教示いただきました。多謝。簡略してつぎのとおりです。目録第14版に収録いたします。
=================================
奥白蓮原著、旋華訳「無形之生物」(『小説月報』9巻3号)の原作は FITZ-JAMES O'BRIEN “WHAT WAS IT?” (HARPER'S MAGAZINE, MARCH 1859)。
(張)碧梧、(周)痩鵑合訳「電耳(科学偵探)」(『小説月報』9巻11-12号)の原作は ARTHUR B. REEVE “THE BLACK HAND” (COSMOPOLITAN, SEPTEMBER 1911)。のち短篇集“THE SILENT BULLET”(1912)所収。
お し ら せ
2022.6.5
陳鵬安(浙江財経大学日文系)の博士論文「呉檮翻訳研究」(北京師範大学、2020.6審査通過)があると知らされました(2022.1)。現在も該博士論文は見ていません。
『清末小説から』に掲載した(する)呉檮関係の日本語論文とはまったく関係がないことをここに明記します。

2022.5.24
『清末小説から』第146号を公開中です。
既刊号は『清末小説から』へどうぞ。

林紓冤罪事件簿 短評
豆瓣読書ウェブサイト
2022.5.8
上記は樽本著、李艶麗訳『林紓冤罪事件簿』(商務印書館2018)の短評です。
わずかに2文字。くどくどしい、という意味でしょう。わかりやすく翻訳すると「ばか、アホ、うるさい」くらいでしょうか。
日本人の著作に対して投げつけたのが2文字だけ。圧倒的な語彙の少なさに笑ってしまいました。なぜ2文字に集約できるのか、普通は説明するでしょう。その文章力が不足している。
それにしても評価の★3(普通)というのが不可解です。罵るのであれば★1(最低)をつけなければ平衡をとることができません。
それにも気づかない中国人評者なのでしょう。笑わせてもらったのでご紹介いたしました。
(2022.6.17 表記に誤りがあるとご指摘をいただきました。おわびして訂正いたします)
2022.5.5
三豊氏より漢訳の原作についてご教示いただきました。多謝。簡略してつぎのとおりです。
=================================
FRED. M. WHITE原著 倚虹(畢振達)、(張)碧梧同訳「(奇情小説)電賊」(『小説時報』28-32号 1916.9-1917.7)の原作は FRED M. WHITE(1859-1935)“THE SUNDIAL”1908
2022.5.3
三豊氏より包天笑漢訳の原作についてご教示いただきました。多謝。簡略してつぎのとおりです。
=================================
(包)天笑、(張)毅漢同訳「心電站」『小説月報』第5巻第1号(1914.4.25)、原作為美国偵探懸疑作家 ARTHUR B. REEVE“THE SYBARITE”(COSMOPOLITAN, MAY 1913)のち“THE DREAM DOCTOR”1914所収
お し ら せ
現在、大型資料を整理中です。この作業は今後数ヵ月続くでしょう。
そのため本研究会ウェブサイトを更新する時間的余裕がありません。
ご了承下さい。

李〓学主編『清代文学与翻訳』
台湾・中央研究学院中国文哲研究所2021.12
2022.4.23
内容は次のとおり。
=================================
導 言……李〓学
馬若瑟与中国伝統戯曲――従馬訳≪趙氏孤児≫談起……李〓学
従≪聖経≫漢訳看修辞三体在清代的衍変……鄭海鵑
天朝的訳者……従「阿耀事件」看通事件在近代中英交往史上的位置……王宏志
翻訳政治及漢学知識的生産……威安瑪与英国外交部的中国学生訳員計画(1873-1870)……関詩珮
近代「〜主義」的伝播与≪清議報≫……陳力衛
現代文学観念的訳介与伝播:以近代英華/華英辞典編纂literature相関詞条為中心……蔡祝青
晩清西学東漸史上的〓其照……鄒振環
論陳景韓西方復仇主題訳作与国民性改造的関係……禹 玲
戯劇経典的「翻訳」与跨文化改編――従京劇≪王宝川≫到英語話劇≪宝川夫人≫……海 震
遊走於国族叙事和小叙事之間――清末民初的夏洛蒂・科黛形象研究……唐欣玉

顔健富『穿梭黒暗大陸:晩清文人対於非洲探険文本的訳介与想像』
台湾・国立台湾大学2022.1
内容は次のとおり。
=================================
導 論
第1章 伝教、旅行与研究:立温斯敦非洲伝記的翻訳与伝播
第2章 従上海天主教会、文藝圏到域外遊記:論≪三洲遊記≫対於施登莱 Through the Dark Continent 的翻訳改写
第3章 拆除主幹,〓湊片段:論≪斐洲遊記≫対於「中国人在路上」的形塑
第4章 穿越非洲的心臓:論≪飛行記≫的地理路線、文明階梯論与科学冒険
第5章 編「野人」之史:論林紓翻訳哈葛徳≪蛮荒誌異≫
第6章 演述非洲・言説中国:晩清作家筆下的異域形象与自我投射
結 論
徴引書目
索 引

笑「新造人術」 閃電子「(奇中奇談)神力博士の生物製造」
『小説時報』第6期 1910 『冒険世界』第3巻第5号 1910
2022.3.10
過日、三豊氏より包天笑漢訳作品(「新造人術」(『小説時報』第6期 宣統2.7.1(1910.8.5)))の原作についてご教示いただきました(2022.2.23付)。HENRY A. HERING“MR. BROADBENT'S INFORMATION”(PEARSON'S MAGAZINE, MARCH 1909)ということです。貴重な情報をありがとうございます。
包天笑が使用した底本は日本語が多いのは周知の事実です。調査の結果、次の日本語訳が該当します。
=================================
(H・A・ヘリング原作)、閃電子(三津木春影)「(奇中奇談)神力博士の生物製造」『冒険世界』第3巻第5号1910.4.20増刊号「世界未来記」
以上、ご報告まで。

2022.2.27
『清末小説から』第145号を公開中です。
既刊号は『清末小説から』へどうぞ。
2022.2.23
三豊氏より漢訳作品の原作についてご教示いただきました。多謝。つぎのとおりです。
=================================
『新造人術』,包天笑訳,『小説時報』第6期,原文底本為“MR. BROADBENT'S INFORMATION”BY HENRY A. HERING(PEARSON'S MAGAZINE, MARCH 1909)

夏曉虹主編『晩清北京的文化空間』
北京大学出版社2021.11
2022.2.15
内容は次のとおり。
=================================
陳平原「“都市想像与文化記憶叢書"総序」、
夏曉虹「引言」、
郭道平「正陽門的庚子劫難」、
黄湘金「“貴冑女学堂"与晩清北京女子教育」、
王鴻莉「≪京話日報≫(1904-1906)的旗人色彩」、
劉〓嶼「晩清京劇旗装戯与旦行花衫的興起」、
夏曉虹「田際雲与北京“婦女匡学会”」、
楊早、凌雲嵐「≪〓海波瀾≫与北京済良所」、
〓凱利「晩清北京“春阿氏案”的文本解読」、
林 崢「作為游賞場所与文化空間的万牲園」、
袁一丹「清季汪精衛刺摂政王案始末」、
宋 雪「民初北京陳縄被害案背後的文化心態」

文娟『前『五四』時代的文化符号:商務印書館与中国近代小説』
桂林・広西師範大学出版社2021.6
2022.2.5
内容は次のとおり。
=================================
楊揚「意味深長的研究拓展」、
緒 論、
第1章 従出版教材到結縁小説、
第2章 対新小説伝播潮流的最初回応、
第3章 時代与影響力:“説部叢書”的伝播策劃与訳者選択、
第4章 “説部叢書”的営銷与伝播、
第5章 誠意与利益在伝播中的結合:≪繍像小説≫、
第6章 面向伝播的承上啓下;≪小説月報≫(1-11巻)、
結 語、
附録 商務印書館小説広告史料長編(1897-1920)、
結縁二十年(代後記)

葉嘉『通俗与経典化的互現:民国初年上海文藝雑誌翻訳研究』
台湾・華藝数位股▲有限公司2021.6
2022.2.4
内容は次のとおり。
=================================
童元方「推薦序(一)送君走上繁花似錦的前程」、
荘柔玉「推薦序(二)構建訳史,反思叙事」、
緒 論、
第1章 清末民初「通俗」的流変、
第2章 雑誌的外在環境、
第3章 訳本的規範:読者形象、
第4章 訳本的規範:「不忠」与「忠実」原則、
第5章 訳本的規範:「実用」与「時効」原則、
第6章 延続「時効」:視覚文本的翻訳、
第7章 通俗与「経典化」的互視、
結 語、
致 謝、
参考書目

管新福『晩清民国西学翻訳〓論』
北京・社会科学文献出版社2021.9
2022.2.2
内容は次のとおり。
=================================
第1編 晩清民国西学翻訳与伝統文化、
第2編 晩清民国西学翻訳与訳者争鳴、
第3編 晩清民国西学翻訳与比較文学、
第4編 晩清民国西学翻訳与林訳小説、
/林紓的鼎新与恋旧――従胡適≪林琴南先生的白話詩≫説起、
/桐城伝統与厳復、林紓的三種態度、
/現代文人対林訳小説的三種態度、
/林訳小説与文化誤読、
/周作人対林紓及其翻訳小説的矛盾心態、
参考文献、
後 記

胡全章編『楊世驥文存』
北京・中国大百科全書出版社2015.7
2022.2.1
内容は次のとおり。
=================================
胡全章「前言」、
第1輯 ≪文苑談往≫第一集、
第2輯 ≪文苑談往≫拾遺、
第3輯 晩清文学史話、
第4輯 楊世驥詩、
第5輯 楊世驥文、
第6輯 楊世驥小説、
附録1-3、
胡全章「後記」
2022.1.4
三豊氏より漢訳作品の原作についてご教示いただきました。多謝。つぎのとおりです。
=================================
《飛訪木星》的底本:AT JUPITER'S CALL,作者 R. H. FARNHAM,首発于 THE POPULAR MAGAZINE, FEBRUARY, 1904
上海広智書局《地心旅行》,之前普遍認為這本小説是訳自儒勒・凡爾納原作《地心游記》,但這一判断是錯誤的。底本応為 FROM POLE TO POLE,作者 GEORGE GRIFFITH,首発于 THE WINDSOR MAGAZINE, OCTOBER 1904,副標題 AN ACCOUNT OF A JOURNEY THROUGH THE AXIS OF THE EARTH; COLLATED FROM THE DIARIES OF THE LATE PROFESSOR HAFFKIN AND HIS NIECE, MRS. ARTHUR PRINCEPS
包天笑的《世界末日記》翻訳自日本儿童文学作家木村小舟(1881-1954)的『太陽系統の滅亡』(青空文庫可以査閲全文)。這篇小説発表于「冒険世界」明治40年(1907年)5月号。
商務印書館《新飛艇》底本是発表于1907年 NEW NICK CARTER WEEKLY 的四篇連載故事,包括 “FACING AN UNSEEN TERROR, OR NICK CARTER'S DAY OF BLUNDERS”,“IDAYAH, THE WOMAN OF MYSTERY, OR NICK CARTER'S FOURFOLD PROBLEM”, “THE MAKING OF A KING, OR NICK CARTER FACES HIS GREATEST MYSTERY”, 以及 “THE EMPIRE OF A GODDESS, OR NICK CARTER'S WONDERFUL ADVENTURE”。

黄曼編著『民初小説編年史(1912-1914)』 『清末民初報刊小説目録(1815-1919)』
武昌・武漢大学出版社2021.5 出版社、刊年ともに不記
2022.1.2
昨年は黄曼編著『民初小説編年史(1912-1914)』(武昌・武漢大学出版社2021.5)によって目録を増補しました。
また編者不記『清末民初報刊小説目録(1815-1919)』期刊巻(出版社、刊年ともに不記)についても閲読を継続しています。
気のついた記述不一致の1例をご報告しましょう。
「女豪傑救同胞」(『少年』第12冊)の掲載年月についてです。並記したほうが理解しやすい。
[民小史97] 白話、1912.8.1
[清民刊237] 未署撰者名、1912.6.1
該作品は劉永文『民国小説目録(1912-1920)』(2011)には収録されていません。
それにしても『少年』第12冊の刊年が「1912.8.1」と「1912.6.1」です。同一雑誌なのになぜ一致しないのか。
両者ともに実物で確認していることを特徴にしています。どちらが正しいのか手元に資料がないのでわかりません。
そういう事実があります。目録にはどちらも採取して記述するだけです。自分で実物に当たってくださいというほかありません。
『清末小説から』第145号 の目次予告です。近く公表することをお知らせします。
=================================
呉檮漢訳デュ・ボアゴベ『車中毒針』――英人ブラック『車中の毒針』………荒井由美
呉檮漢訳モーパッサン『五里霧』――上村左川訳「五里霧中」の原作………沢本香子
呉檮漢訳ドイル「斥候美談」――高須梅溪訳「大佐の罪」………樽本照雄
“佚失”的≪俄国皇帝≫下篇――陳景韓転訳 Strange Tales of a Nihilist 発表始末………梁 艶
そのほか

PIETER BRUEGEL
2022.1.1
本年もよろしくお願いいたします。
【予告】『清末民初小説目録 第14版』を本年上半期に公開する予定です。
『清末小説から』第144号を掲げています。
はじめに
『清末小説から』の最新号所収の論文と『清末小説』(第35号2012で終刊)ほか清末民初小説目録、樽本の主要著作をダウンロードすることができます。
これまでの研究会活動を紹介するかわりに雑誌『清末小説(研究)』の編集ノートをあつめた編集ノート集をかかげました。おおよその活動が理解できるでしょう。
あらためまして
中国の清末小説(しんまつ しょうせつ)を専門に研究している会です。清末とは清朝末期のことを指します。厳密にいえば「中国の」と付ける必要はありません。清末は中国にしか存在しませんから。まあ丁寧に言っております、くらいのことですのでご了承ください。
年代でいえば1900年代から1911年の辛亥革命をへて五四前です。
日本ならば明治30年代から大正初期にあたります。
というわけで清末小説を専門にしているといっても中華民国初期の小説も含んでおります。誤解のないようにお願いいたします。
それならばいっそのこと「清末民初小説研究」と名づけていいようなものの、長いです。
研究会と称していますが組織はありません。会員もいません。
定期刊行物として季刊の『清末小説から』(ウェブでの公開を継続中)および電字版著作集を公表することが研究会の目的です。
清末小説研究会 http://shinmatsu.main.jp