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戦玉冰『民国偵探小説史論(1912-1949)』上下冊
北京・中国社会科学出版社2023.7
2023.12.6
内容は以下のとおり。
=================================
●上 冊
摘 要、
緒 論、
上編 民国偵探小説的起源、
第1章 現代都市与偵探小説的興起:以巴黎、倫敦和上海為例、
第2章 従清官到私人偵探:公案小説与偵探小説之区別与“合流”、
第3章 翻訳、模〓与改写:“福爾摩斯来中国”、
中編 民国偵探小説的演変(1912-1949)、
第4章 民国偵探小説創作発展的第一波段(1922-1927)、
第5章 民国偵探小説創作発展的第二波段(1946-1949)、
第6章 民国偵探小説創作的高峰:程小青与≪霍桑探案≫、
●下 冊、
下編 民国偵探小説関鍵詞、
第7章 理性発現:民国偵探小説的核心価値、
第8章 正義担当:偵探小説的社会意義、
第9章 “類型”叙事:民国偵探小説的叙事模式、
結 語、
附録1:民国時期二十八位偵探小説作家的偵探小説創作、評論及翻訳文章在報紙雑誌上発表情況,以及其作品単行本出版情況的統計与整理(1912-1949)、
附録2:民国時期十三種偵探小説雑誌及六種雑誌的“偵探小説号”文章発表情況統計彙総(1912-1949)、
参考文献、
索 引、
後 記

2023.11.18
『清末小説から』第152号を公開しています。

王蕾『安徒生童話与中国現代児童文学』
上海・華東師範大学出版社2009.11
2023.11.12
内容は以下のとおり。
=================================
劉 勇「序一」、
王泉根「序二」、
緒 論、
専題研究、
安徒生童話与中国現代児童観、
安徒生童話与中国現代児童文学理論的構建、
安徒生童話与中国現代児童文学的創作実践、
拓展研究、
中国現代児童文学初創期的外来影響、
中国当代児童文学的外来影響、
附録1:晩清至20世紀20年代安徒生童話訳介状況一覧表、
附録2:晩清至20世紀20年代外国児童文学訳介状況一覧表、
参考文献、
後 記

神谷まり子『野蛮な文明――近代上海の通俗メディアと社会小説』
中国文庫2023.10.6
2023.10.24
贈呈いただきました。多謝。
内容は以下のとおり。
=================================
序 章 社会小説とはなにか、
T メディアと作家、
第1章 職業作家の誕生――李涵秋『広陵潮』、
第2章 都市訪問者の上海遊興物語――『海上繁華夢』、
第3章 朱痩菊『歇浦潮』――革命の「事実」と「虚構」、
第4章 包天笑『上海春秋』――上海人の物語、
U 女性像――ジェンダーとセクシャリティ、
第5章 『九尾亀』から『九尾亀続集』へ――ミソジニーの女性像と近代中国の男性性、
第6章 『中国黒幕大観』の女性像――悪のヒロインたち、
第7章 「野蛮」な「文明」――社会小説に描かれる文明結婚、
第8章 自動車に乗る女――『新歇浦潮』に描かれる「自由」、
おわりに――辮髪を半分切り落とす、
あとがき、
参考文献、
索 引

孫超『民初上海小説界研究(1912-1923)』
上海古籍出版社2023.6 中華典籍与国家文明研究叢書
2023.10.20
内容は以下のとおり。
=================================
譚 帆「序」、
導 言 従民初主流小説家的百年命運説起、
第1章 民初上海小説界的“興味化”主潮、
第2章 由伝統走向現代的民初上海“文学場”、
第3章 不断自我調適的民初“興味派”小説家、
第4章 民初与時流変的通俗白話章回体小説、
第5章 民初風靡一時的雅化文言章回体小説、
第6章 民初作意好奇以“興味”的伝奇小説、
第7章 民初沿伝統軌轍書写的筆記体小説、
第8章 民初保留“説話人声口”的話本体小説、
第9章 充満現代都市“興味”的民初新体白話短篇小説、
第10章 民初上海小説界的閲読文化与読者反応、
結 語 研究民初上海小説界的双重意義、
附録:釈“興味”、
主要参考文献、
後 記

葉新『張元済和早期商務印書館――近代出版史散論』
北京・中央編訳出版社2023.1
2023.10.12
内容は以下のとおり。
=================================
前 言、
従≪張元済日記≫看商務印書館的対外交流与合作、
商務印書館与英国朗文早有来往、
張元済≪環遊談薈≫研究、
遠遊欧美,心系館務――従1910年張元済環遊之旅中的一封信談起、
1913-1914年北美報紙驚現張元済報道、
1910年張元済美国東部考察之行考証、
新見≪張元済氏壮遊談≫略析、
張元済1910年美国工程初探、
新見張樹年≪新政協会侍行雑述≫簡析、
商務印書館和商務報館的名称糾紛、
商務印書館与麦克米倫出版公司早有来往、
90年前的一場中外版権糾紛、
胡適晩年評価商務印書館、
〓富灼――商務印書館英文部的開創者、
英美大報視野中的早期商務印書館、
“世界文学名著”叢書的主編是誰?、
“為苦難的中国,提供書本,而非子弾”一語何来、
中英出版界的一次“親密接触”、
≪高鳳池日記≫的出版史料価値、
商務印書館収回日股合同的発表、
商務印書館中的“楊家将”、
1911年商務印書館和美国金恩公司的版権官司始末、
附 録
銭歌川的≪傲慢与偏見≫翻訳連載、
愛丁堡大学書史専業碩士教育浅析、
≪古今図書集成≫入蔵大英博物館研究、
漫談約翰-戴出版社的史料館蔵、
試述郭嵩Z等対英国書業的認知、
≪申報≫“読書倶楽部”副刊研究、
北平人文書店書目初編(1932-1937)

メアリ・エリザベス・ブラッドン著、三馬志伸訳『レイディ・オードリーの秘密』
近代文藝社2014.3.20
2023.10.6
信陵騎客訳『露漱格蘭小伝』の底本が Mary Elizabeth Braddon“Lady Audley's Secret”であること(古二徳氏による)をお知らせしました。
その日本語翻訳がありました。上のとおりです。

2023.10.4
古二徳氏より以下のとおりご教示いただきました。ありがとうございます。
=================================
林紓の序跋を翻訳していたところ、信陵騎客所譯《露漱格蘭傳》に出会いました。この翻訳はすでにAndrew SchonebaumによってMary Elizabeth Braddonの「Lady Audley's secret」であると特定されているようです:
Andrew Schonebaum, “Vectors of Contagion and Tuberculosis in Modern Chinese Literature,”(Modern Chinese Literature and Culture, 23.1 (2011), pp. 17-46, p. 43:)
Lin Shu 林紓. 1960 [1901]. “Lushu gelan xiaozhuan xu” 露漱格蘭小傳序 (Lady Audley's secret). In A Ying 阿英, ed., Wanqing wenxue congchao 晩清文學叢鈔 (Late-Qing literary compendium). Shanghai: Zhonghua shuju, 198."
Mary Elizabeth Braddonの「Lady Audley's secret」: https://gutenberg.org/cache/epub/8954/pg8954-images.html


謬生(塚原澁柿園)「虚無党(第二)」25おはり
『東京日日新聞』1904.6.7
2023.10.2
塚原澁柿園「虚無党」の『東京日日新聞』連載については明治37(1904)年2月9日-6月6日という記述があります(『近代文学研究叢書 第17巻』1961.8.20。234頁)。
ところが終了月日について別の説明、すなわち「明治37年6月7日」が提出されました(菊池真一「塚原渋柿園著作一覧表」『甲南国文』第42号 1995.3。172頁)。
上に掲げたのは『東京日日新聞』の複写です(国立国会図書館所蔵)。連載終了月日は菊池氏の記載する「明治37年6月7日」が正しいことを確認しました。また署名は蓼生と謬生が混用されています。

王飛仙著、林紋沛訳『版権誰有?翻印必究?――近代中国作者、書商与国家的版権角力戦』
台湾商務印書館股▲有限公司2022.5
2023.9.22
内容は以下のとおり。
=================================
王汎森「上下求索、重建中国版権観図像」、
李仁淵「厳復的荷包」、
徐書磊「従版権到著作権、歴史告訴現在法律人与創作者的事」、
各界推薦、
黄克武「版権是政治、経済体制的一部分」、
中文版序、
緒 論、
1 「版権」在東亜的奇妙旅程、
2 「新学」是門好生意、
3 「著書者永遠之利益」、
4 介於特権和財産之間、
5 棋盤街的「版権」制度、
6 在北平抓盗版、
7 没有盗版的世界?、
結 論、
謝 辞、
参考文献
2023.9.21
三豊氏にご教示いただきました。多謝。
徐卓呆「(科学小説)秘密室」『小説月報』第3年第3期1912の原作は次の通りです。
周華(JOEL MARTINSEN)によると原作は THOMAS DUNN ENGLISH“A LONG SLUMBER”(“THE INDEPENDENT”1887.10.20)

康〓『中国近現代報人小説与報刊新聞的互文性』
北京・中国社会科学出版社2023.3
2023.9.13
内容は以下のとおり。
=================================
緒 論、
第1章 晩清小説与報刊結縁及報人小説的産生、
第2章 中国文学的史伝伝統与報刊新聞伝播文化的互文性、
第3章 報人与作家双重身〓主体的互文性、
第4章 報人小説与小説副文本的互文性、
第5章 新聞与小説的双重功能:報人小説言論空間的想像与開創、
余 論、
主要参考文献、
後 記

范祥濤『科学翻訳影響下的文化変遷――20世紀初科学翻訳的描写研究』
上海訳文出版社2006.10
2023.9.12
内容は以下のとおり。
=================================
主編「総序」、
第1章 緒論:歴史文化語境中的科学翻訳、
第2章 科学翻訳描写的描写対象和描写方式、
第3章 科学翻訳的歴史文化語境、
第4章 科学教科書的翻訳及其解釈(一)、
第5章 科学教科書的翻訳及其解釈(二)、
第6章 期刊雑誌刊載的科学翻訳、
第7章 科学著作的翻訳出版、
第8章 科普翻訳的濫觴――科学小説的翻訳、
第9章 進化論的翻訳(一)、
第10章 進化論的翻訳(二)、
第11章 科学翻訳影響下的文化変遷
第12章 結 語
附録14:1900-1911年間部分翻訳科学小説目録、
参考文献、
後 記

(英)索士比亜『海外奇譚』
2023.8.31
影印本には奥付が欠けています。孔夫子旧書網に写真があったので掲げます。破損した奥付に「光緒二十九年十一月発行」です。阿英の記述どおりでした。

李今主編、羅文軍編注『漢訳文学序跋集』第1巻1894-1910
上海人民出版社2017.12
2023.8.28【追記2023.8.30】あり
漢訳文学の序跋集です。文学ですから戯曲詩歌関係を含みます。第1巻は1894-1910年に刊行された単行本が対象です。各作品について著者、訳者、出版社、刊年そのほかを注釈欄(羅文軍編注)に記述しています。原作者、原作の説明もありとても有用です。
なんといっても実物で確認しているのがよい。いくら強調してもしすぎることはありません。単行本の書誌については信頼できるでしょう。羅文軍(成都大学文学与新聞伝播学院教授)は関連事項を詳述して情報量の豊富さを示しました。称賛にあたいします。
必要に応じて各種文献を参照し根拠を示して説明する。ここは重要です。確かな学術的手順を踏んでいるといえるからです。
引用する文献は見た限りでおおよそ次のとおり(発表年を補う)。
顧燮光『訳書経眼録』、武田雅哉(1986)、郭長海(1992)、賈植芳(1993)、郭延礼(1998、2012)、李俊(1999)、樽本照雄『新編摯竦エ末民初小説目録』(2002。略称:樽目録第3版)、姜小凌(2005)、夏曉虹(2005)、李慶国(2005)、范祥濤(2006)、劉永文(2008)、韓南(2010)、崔文東(2010)、陸貞雄(2010)、左鵬軍(2011)、欒偉平(2011)、張曉(2012)などです。ほかにも参照したのでしょうがそれらをまとめた説明はありません。また間に合わなかったのか陳大康『中国近代小説編年史』北京・人民出版社2014.1、付建舟の著作群は見当たりませんでした。
気になった1点だけを指摘します。
(日)菊池幽芳著、方慶周訳、我仏山人(呉趼人)衍義、知新主人評点『電術奇談』(新小説社1905)の原作についてです(154頁注@)。
羅文軍は幽芳『新聞賣子』が原作だと記述しています。根拠として引用したのは姜小凌「明治与晩清小説転訳中的文化反思――従≪新聞賣子≫(菊池幽芳)到≪電術奇談≫(呉趼人)」(『文化研究』第5輯2005.5)です。
その記述は姜小凌が原作を発掘したという誤った印象を与えます。ここが問題です。ほかに挙げるべき文献があるという意味です。
羅文軍は『電術奇談』原作についての研究状況とその過程を知らないらしい。やや意外です。昔のことですから無理もありません。
『電術奇談』の原作については長らく不明のままでした。菊池幽芳の名前は最初から記載されているのですがそこから先へ進まない。何人かの研究者は原作不明なまま想像を膨らませました。代表的なのは再創作説です。呉趼人が幽芳原作を利用して再創作した。そう断定した人が複数いたのです。樽目録第3版に記録しています。興味のある人はご覧ください。幽芳原作を見ないで断定するのですから妄想です。
初出から約80年後、原作が幽芳『新聞賣子』であると指摘したのは樽本でした(「『月月小説』のこと、「電術奇談」の原作」『清末小説研究会通信』第37号1985.6.1、「呉趼人「電術奇談」の原作」『中国文芸研究会会報』第54号1985.7.30、「呉趼人「電術奇談」の方法」『清末小説』第8号1985.12.1、「呉趼人《電術奇談》的原作(漢語)」『清末小説から』第6号1987.7.1など)。
幽芳原作と漢訳を比較対照した結果、漢訳は幽芳日訳をほぼ忠実に翻訳していることが判明しました。呉趼人の再創作説は根底から崩壊したのです。
1988年、王立言が上の成果を無断借用して文章を発表しました(「(電術奇談)前言」我仏山人著『恨海』広州・花城出版社1988.8)。その王立言論文を絶賛したのは著名な研究者盧叔度です。盧叔度にしてみれば以前に創作と断定していましたから驚嘆したのでしょう。それにしても新発見の事情を知らない。そのことがわかって落胆したわけではなく、おやおやと思っただけです。そういうこともありました。
幽芳原作については『清末民初小説目録 初版』(1988)にも記載しています。また羅文軍が利用する樽目録第3版にも同様に幽芳『新聞賣子』を記述します。
姜小凌はそれら先行文献から幽芳『新聞賣子』を無断借用して論文を書きました。どのように『新聞賣子』を見つけたのかは一切触れていません。過去の研究状況についても黙殺です。まるで目の前に落ちていたかのように、あるいは既定の事実のように『新聞賣子』が出てくる。これが真相です。
その経緯を知らない人は姜小凌が発見したと誤解するらしい。羅文軍もそのひとりですか。
しかし最初に指摘のあった1985年から20年後(2005)の姜小凌論文ですから順序が決定的に違います。樽目録第3版にしても2002年ですからこちらも姜小凌に先行しているのはいうまでもありません。
それとも幽芳『新聞賣子』が原作なのは事実だからいちいち説明する必要はない、という考えでしょうか。それは研究の経緯を無視した学問とは無関係で無責任な思考法です。そう主張するならばその人は研究者ではありません。
以上のとおり羅文軍は『電術奇談』について姜小凌論文だけをあげて樽目録第3版を無視しました。その記述は不適切です。
繰りかえすのはいかがかとは思います(参照:樽本「学術的優先権について」清末小説研究会ウェブサイト2020.1.25公開。のち『清末小説四談』2021収録)。しかし時間が入れ違いになってもそのつど対応せざるをえないのが実情です。
あとは細かいことをすこし。
『一柬縁』の原作を“DORA THORNE”とするのは誤りです(225頁)。張治が2020年に“LORD LISLE'S DAUGHTER.”だと指摘しました。後出しですが記しておきます。
商務印書館の単行本に「説部叢書」「欧美名家小説」「童話」と称するシリーズがあります。ところが第1巻において羅文軍は「説部叢書」「欧美名家小説」「童話」をなぜか記録していません。第2巻の一部と記述方針が違っています。主編の李今が後の別著作でほぼ不記載にしているのと何か関係があるのでしょうか。阿英目録は叢書名を採用していません。あるいはその伝統が現在まで続いているのかと思ったりもします。どのみち書誌としては不十分です。
巻末にある書名索引、作者索引はページ数順に羅列するだけ。そういう編集方針に見えます。しかし利用者の便宜を考えて普通は漢音順などに配列しなおすでしょう。索引になっていません。全13巻を予定しているそうです。最終巻(未見)では違ったものになっている可能性があります。
学術的価値のある非常に優れた著作であることは明白です。研究者ならば誰も異論は出さないでしょう。だからこそ細部にも一層配慮してほしかったというだけ。
これほど充実した書籍です。小説部分を吸収して樽目録第15版を編集する準備をしてもよいかなと思ったりしています。
【追記2023.8.30】ちいさな誤りを指摘します。
『托爾斯泰小説集』(上海広学会1925年3月再版)が収録されています(370頁)。1925年再版本がどうして第1巻(1894-1910)にあるかといえばその初版が1907年だからです。樽目録第3版を引用して示しました。ところが書名が間違っています。初版の書名は『托氏宗教小説』なのですが羅文軍はそれを無視しました。そこから推測すると1907年初版の書名も『托爾斯泰小説集』だと勘違いしたらしい。樽目録第3版が『托氏宗教小説』の実物で確認しているとは思いもしなかったようです。

2023.8.19
『清末小説から』第151号を公開しています。
2023.8.2
李今『魯濱孫変形記:漢訳文学改写現象研究』(北京大学出版社2023.3)の「後記」(378頁)を読みました。
そこには羅文軍が新発見をしたと報告されています。すなわち『時務報』掲載のコナン・ドイルの漢訳2篇は曾広銓の訳だというのが新発見らしいです。張坤徳訳として知られていましたからそれは間違いだと訂正しました。李今にとって特別に言及する価値のある発見なのでしょう。
その漢訳2篇は「英国包探訪咯医生奇案」と「英包探勘盗密約案」に該当します。
細かいことを言えば前者の「英国包探訪咯医生奇案」はコナン・ドイルの原作ではありません。
筆者が首をひねるのは陳大康がすでに記述しているからです。
陳大康『中国近代小説編年史』(北京・人民出版社2014.1)から関連箇所を引用します。
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●「英国包探訪咯医生奇案」
[編年A372]本篇未署訳者名、其所在“域外報訳”欄署“桐郷張坤徳訳”。宣統三年四月≪江南警務雑誌≫第十二期転載時署“湘郷曾広鈞[銓]訳”
●「英包探勘盗密約案」
[編年A374]本篇未署訳者名、其所在“域外報訳”欄署“桐郷張坤徳訳”。宣統三年五月≪江南警務雑誌≫第十三期転載時署“湘郷曾広銓訳”
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『時務報』初出には張坤徳訳と表示した。のちに『江南警務雑誌』に転載されたとき曾広銓訳となっている。
陳大康の記述は実物にもとづいていますから信頼できるでしょう。
李今著作の参考文献【2023.12.3。ご指摘をいただきました。おわびして征引文献目録に訂正します】に陳大康『中国近代小説編年史』は収録されていません。基礎文献ですから李今が見落とすのは不可解です。
また(郭輝)『清末民初報刊小説目録(1815-1919)』期刊巻([清民刊189])においても言及されています。
問題が解決されたとはいえません。張坤徳がどうして曾広銓に変更されたのかを説明しなければならないからです。羅文軍が説明しているのならば申し訳ありません。
説明がないならば、現在のところ張坤徳と曾広銓の2説があるというだけにとどめるのが適切だと考えます。

李今『魯濱孫変形記:漢訳文学改写現象研究』
北京大学出版社2023.3
2023.8.1
内容は以下のとおり。
=================================
導 言、
第1章 漢訳魯濱孫形象的文化改写与徴用、
第2章 以洋孝子孝女故事匡時衛道、
第3章 漢訳≪簡・愛≫的通俗化改写、
第4章 評介中的改写:域外作家形象的流変与徴用、
第5章 訳序跋中的改写:観念之流変、
結 語、
徴引文献目録、
後 記

梁冬麗『近代嶺南報刊小説研究』
南京・鳳凰出版社2022.12
2023.6.21
内容は以下のとおり。
=================================
程国賦「序」、
緒 論、
第1章 近代嶺南報刊的創〓、
第2章 近代嶺南報刊小説的刊載、
第3章 近代嶺南報刊小説的作者、
第4章 近代嶺南報刊小説的伝統性与舶来要素、
第5章 近代嶺南報刊小説的時代性、
第6章 近代嶺南報刊小説的地域性、
第7章 近代嶺南報刊小説的影響与総体評価、
余 論、
参考文献、
附録1:近代嶺南報刊小説一覧表、
附録2:1911年以前創刊、1912年以来嶺南報刊発表小説

梁冬麗、劉曉寧整理『近代嶺南報刊短篇小説初集』上下
南京・鳳凰出版社2019.1
短篇小説を復刻して収録する。導言、附録:近代嶺南報刊短篇小説一覧表、後記あり。

『(政治小説)新稗海』出版社不記、刊年不記
孔夫子旧書網に掲載
2023.6.21
『(政治小説)新稗海』出版社不記、刊年不記です。孔夫子旧書網に出品されています。
[阿英176]に「収小説四題:「百合花」「攝魂記ママ」「印度義賊記」「舟師被〓案」「西蔵遊記」(附)、鉛印本」と記載されたのが最初でしょう。「ママ」は誤記を示します。
それ以来[編年234]訳者不詳、「百合花」「攝魂記ママ」「印度義賊記」「舟師被〓案」、出版単位不詳、未署年月、光緒間[編年C1680]出版社不詳、光緒間出版。「百合花」「攝魂記ママ」「印度義賊記」「舟師被〓案」と記述されて阿英目録を踏襲しているのがわかります。
孔夫子旧書網の写真を見ると「攝魂花」が正しい。阿英の誤記を正すことができます。上に掲げたように訳者は喋血生です。

泣紅(周痩鵑)「(政治小説)百合魔(一名麦瑪韓辞職記)」
『小説月報』第2年第3期 1911.4.23
2023.6.1(6.19修正)
泣紅(周痩鵑)「(政治小説)百合魔(一名麦瑪韓辞職記)」(『小説月報』第2年第3期 1911.4.23)について補足します。
周痩鵑は英語原作から多くの漢訳を発表しました。そこから考えればこの「百合魔」もアップワード原作「エリゼ宮の醜聞[A SCANDAL AT THE ELYSE/E]」(『ヨーロッパ朝廷の内幕話[SECRETS OF THE COURTS OF EUROPE: THE CONFIDENCES OF AN EX-AMBASSADOR]』BRISTOL: J. W. ARROWSMITH, 1897。初出は“PEARSON'S MAGAZINE”1896.1-12連載)に拠ったと推測できます。
しかしそれは正しくありません。周痩鵑の文章を検討すればアップワード原作が底本ではないことが判明します。
作品成立の経過を述べます。
アップワード原作をもとにして蘆花日訳「百合の花」(『外交奇譚』1898)ができました。つづいて蘆花を底本にした未署訳者名「百合花」(『新民叢報』1902)という漢訳になります。これは闕名と表示して『説部腋』(1905)に収録されました。
周痩鵑はこの闕名「百合花」(『新民叢報』または『説部腋』)を底本として使用しそれを文言文で書き直しました。漢訳をもとにした書き換えというわけ。日本でいう再話、翻案に当たるでしょう。
文末に「泣紅曰」といういわゆる「後記」があります。「私がこのマクマホン辞職記を起稿したのは……[我草此麦瑪韓辞職記……]」と述べているだけ。漢訳にもとづいた書き換えだとは明記していません。
図式化すると次のとおりです。
アップワード原作→蘆花日訳→闕名漢訳→周痩鵑書き換え
2023.5.28
『清末民初小説目録第14b版』所収の1篇について訂正します。
=================================
★Y1170/「一条鞭 (短篇小説)」/秋士/『復報』4期 中国開国紀元4604.7.15(1906.9.3)
次の翻訳ではないと推測する→『復報』4期 中国開国紀元4604.7.15(1906.9.3) (徳冨)蘆花訳「鞭の痕」『国民新聞』1898.3.23-4.2。蘆花生訳演『外交奇譚』民友社1898.10.13/1908.8.25五版。ALLEN UPWARD“THE HONOUR OF AN EMPRESS”(“SECRETS OF THE COURTS OF EUROPE”BRISTOL: J. W. ARROWSMITH, 1897)

張向東『清末白話報刊与文学革命』
北京・中華書局2022.12
2023.5.20
内容は以下のとおり。
=================================
質疑叙史正典,豊富歴史細節――序、
第1章 導 論、
第2章 白話報刊与新文学読者和作家的産生、
第3章 清末的白話報人和五四文学革命的歴史関聯、
第4章 清末白話報刊与語言変革、
第5章 白話報刊与文体解放、
第6章 白話報刊与現代文学格局的形成、
第7章 風俗改良和“国民性”批判、
第8章 従“頭”到“脚”的革命、
結 語、
参考文献

『繁華雑誌』第1期
民国三年九月初版

『繁華雑誌』第2期
奥付欠落

『繁華雑誌』第3期
刊年不記
2023.5.19
雑誌3冊です。かなり以前に購入してそのまま忘れていました。
樽目録を見ると該誌は第6期まで刊行されているらしいです。

2023.4.18
『清末小説から』第150号の公開を予定しています。

蘇晨『従伝統到現代――初始期中国女性期刊的叙事文学(1898-1921)』
上海大学出版社2022.6
2023.4.8
内容は以下のとおり。
=================================
周慶安「文学承載着現代化的想像(代序)」、
引 言、
第1章 中国女性期刊初始期概述、
第2章 初始期中国女性期刊的小説、
第3章 初始期中国女性期刊的戯劇、
第4章 初始期中国女性期刊小説、戯劇的現代性、
結 語、
附録T:1898-1921年初始期中国女性期刊(報紙)目録、
U:1898-1921年初始期中国女性期刊小説目録、
V:1898-1921年初始期中国女性期刊戯劇目録、
参考文献、
後 記

戦玉冰『現代与正義――晩清民国偵探小説研究』
上海社会科学院出版社2022.10
内容は以下のとおり。
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自 序、
第1輯 侠義与正義、
第2輯 偵探与都市、
第3輯 百年類型史、
第4輯 科技与伝奇、
後 記:做学術,像偵探一様
2023.3.4
『清末民初小説目録』所収の2篇について補足訂正します。
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★A0365*「愛之花(法蘭西情劇)」/泣紅(周痩鵑)訳/『小説月報』2年9-12期 辛亥年9-12.25(1911/1912.4再版-1912.2.12
補足:儂更有情「情葬」(「恋愛奇談」所収『浙江潮』第8期 1903.10.10)にもとづいて脚本に改変
削除して移動:[瑶菁]THE NEW CENTURY FOURTH READER 中,還有周痩鵑1910年改写成劇本的「弱女救兄記ママ」(注:愛之花が正しい)的原本“THE SOLDIER'S REPRIEVE”→R0347*「弱女救兄記」へ移動
★R0347*「弱女救兄記」/鉄樵(ヲ樹〓)/『小説月報』5巻2号 1914.5.25
補足:底本はMRS. R. D. C. ROBBINS作“THE SOLDIER'S REPRIEVE”(“THE NEW CENTURY FOURTH READER”CHIKACO AND NEW YORK: RAND, McNALLY & COMPANY. 1899)。その原作はM. J. GILTNER作6幕“THE SOLDIER'S REPRIEVE”OHIO: TELEPHONE PRINTINGS CO., 1888。
移動:[瑶菁]THE NEW CENTURY FOURTH READER 中,還有周痩鵑ママ1910年改写成劇本的「弱女救兄記」的原本“THE SOLDIER'S REPRIEVE”→A0365*「愛之花(法蘭西情劇)」から移動

王敏玲『西来蝴蝶 世紀之光:周痩鵑翻訳文学研究』
南京・江蘇鳳凰文藝出版社2022.3
2023.3.2
内容は以下のとおり。
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朱棟霖「文壇巨匠周痩鵑及其他」、
緒 論、
第1章 周痩鵑翻訳生態系統、
第2章 周痩鵑訳作題材的適応性選択、
第3章 周痩鵑翻訳策略的適応性選択、
第4章 周痩鵑翻訳思想的適応性選択、
第5章 周痩鵑文学創作的適応性選択、
第6章 周痩鵑的翻訳成就、
結 語、
参考文献、
後 記
2023.2.28
三豊氏より漢訳原作1件についてご教示いただきました。多謝。
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F0343* 「飛艇一夕(政治小説)」 MURREL A. POLLEXFEN 著 〓狂 訳
原作は“MONSIEUR FLY-BY-NIGHT”BY MURIEL A. POLLEXFEN, FIRST PUBLISHED IN THE GRAND MAGAZINE, OCTOBER 1915。MURIEL 誤為 MURREL

2023.2.1
『清末小説から』第149号の公開を予定しています。

JOHN S. WISE“THE WEST POINT OF THE CONFEDERACY”1889

徳冨蘆花「少年軍」『歴史之片影』1893
2023.1.21
徳冨蘆花「少年軍(南北戦争の花)」(『歴史之片影』民友社1893)があります。知る限りその原作は特定されていません。
原作を見つけましたからお知らせします。以下のとおり。
ジョン・S・ワイズ JOHN S. WISE“THE WEST POINT OF THE CONFEDERACY”(“THE CENTURY MAGAZINE”37:3、1889.1)
1864年、南北戦争におけるニューマーケットの戦いを南軍と共に戦った士官候補生部隊の視点で述べています。挿絵が同じですからわかりやすいです。

喋血生「専制虎」 陳景韓訳「綺羅沙夫人」
『浙江潮』第1、3期 1903 『(偵探談搖ァ)虚無党』上海・開明書店1904
2023.1.10
上記漢訳2種の底本は同じです。徳冨蘆花「大陰謀」(『探偵異聞』民友社1900)といいます。蘆花はディック・ドノヴァンDICK DONOVAN“THE GREAT CONSPIRACY大陰謀”(“THE CHRONICLES OF MICHAEL DANEVITCH OF RUSSIAN SECRET SERVICE,” LONDON:CHATTO & WINDUS, 1897)を使用したことが先行文献によって明らかにされています(樽目録を参照)。知っている人は知っているでしょう。
漢訳に関連してある問題が発生しています。同じ蘆花日訳にもとづいて漢訳した喋血生と陳景韓は同一人物だという主張が出ているのです。
同一人物ならば訳文も基本的に同じであるはずです。固有名詞を変更する必要はありません。喋血生「少年兵(二)」の前例があります。『浙江潮』から『月月小説』に転載しました。喋血生から社員に著者名は変わりましたが漢訳文中に使用された固有名詞は同一です。
上記のとおりふたつの漢訳はなにもかもまったく異なります(中国の研究者に資料をいただきました。感謝)。同一人物説は成立しないのです。

【予告】『清末民初小説目録 第14b版』は本年3月に公開します。また『清末小説五談』は本年7月頃に公開する予定です。

PIETER BRUEGEL
2023.1.1
本年もよろしくお願いいたします。
『清末小説から』第148号を掲げました。
はじめに
『清末小説から』の最新号所収の論文と『清末小説』(第35号2012で終刊)ほか清末民初小説目録、樽本の主要著作をダウンロードすることができます。
これまでの研究会活動を紹介するかわりに雑誌『清末小説(研究)』の編集ノートをあつめた編集ノート集をかかげました。おおよその活動が理解できるでしょう。
あらためまして
中国の清末小説(しんまつ しょうせつ)を専門に研究している会です。清末とは清朝末期のことを指します。厳密にいえば「中国の」と付ける必要はありません。清末は中国にしか存在しませんから。まあ丁寧に言っております、くらいのことですのでご了承ください。
年代でいえば1900年代から1911年の辛亥革命をへて五四前です。
日本ならば明治30年代から大正初期にあたります。
というわけで清末小説を専門にしているといっても中華民国初期の小説も含んでおります。誤解のないようにお願いいたします。
それならばいっそのこと「清末民初小説研究」と名づけていいようなものの、長いです。
研究会と称していますが組織はありません。会員もいません。
定期刊行物として季刊の『清末小説から』(ウェブでの公開を継続中)および電字版著作集を公表することが研究会の目的です。
清末小説研究会 http://shinmatsu.main.jp