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2006.12.29
 林訳スペンサーについて、少しだけお知らせします。
 冤罪事件といっても、こちらのばあいは、のちの研究者が揺れているというのが事実です。
 つまり、林訳が公表されたとき、マクルホーズの小説化本を底本にしていると明記しています。ところが、郭延礼は、どこでどう勘違いしたのかスペンサーの詩を散文体に漢訳したと書いたのでした。
 翻訳文学研究の重鎮郭延礼が犯した不注意な誤りでしょう。



2006.12.18
 おまたせいたしました。
 『清末小説から』第84号2007.1.1を掲げます。



2006.12.8
 「林訳シェイクスピア冤罪事件」という題名をお知らせしました。その証拠があるのです。
 また、イプセンについても、林紓たち翻訳者は無罪であることがわかりました。
 つまり、シェイクスピア、イプセンについて林訳が大きな誤りを犯したという批判そのものが成立しないという意味です。ゆえに、冤罪事件だと私は称しています。
 調べてみると、林訳スペンサーにも同様のことが存在しているのです。
 本当に、どうなっているのでしょうか。
 過去において、林訳について冤罪事件などと発言する例を見たことがありません。
 中国翻訳史研究の根幹が揺らぐかどうかは知りません。しかし、重要な部分でズサンなことが長年にわたって行なわれてきた、ということはできるでしょう。
 来年の話になります。気の急くことです。林訳冤罪事件について文章を連続して発表する予定です。




2006.11.24
 「林訳シェイクスピア冤罪事件」はどうなったか、というおたずねです。
 進行しておりますのでご安心ください。
 調査の過程で、似たようなことがあるのを見つけました。
 上に掲げたのは林訳イプセンです。
 鄭振鐸が、林訳イプセンを批判した理由は、林訳シェイクスピアと同じです。
 驚いたことに、林訳イプセンも冤罪事件だったのですね。



2006.11.24
 樽本照雄編『阿英『晩清小説史』ほか索引』を発行しました。



2006.11.19
【出版予告】
 樽本照雄著『清末翻訳小説論集』を明2007年に発行します。



2006.11.18
 林紓についての論文は何なのだ。メールをいただきました。もったいぶるんじゃない、ともいわれております。
 では、論文名だけでもお知らせしましょう。
 「林訳シェイクスピア冤罪事件」といいます。
 これを見た人のなかで、すぐに理解される研究者がいるかもしれません。あのことか、と思い至れば、もう論文は書けたも同然ですね。
 ですから、あまり言いたくなかったのです。



2006.10.27
【出版予告】
 清末小説研究資料叢書10として、樽本照雄編『阿英『晩清小説史』ほか索引』を発行します。
 2007年1月を予定していますが、もう少し早くなるかも知れません。



2006.10.24
【予告】
 林紓(琴南)についてこれまで90年余にわたって信じられてきた定説を打破する論文を発表します。『清末小説』第30号に掲載予定です。

 『清末小説』第29号の間違いではないか、といわれそうです。第29号は、すでに発行しました。来年発行予定の第30号です。公表は先のはなしですが、原稿はすでに書きあげていることをお知らせします。




2006.10.18
 樽本『清末小説研究集稿』(中国・斉魯書社2006.8)です。



2006.10.2
 お問い合わせをいただきました。
 『清末小説』第29号、あるいは研究会ホームページには、樽本『清末小説研究集稿』が斉魯書社より発行されていると書いてあるが、そうなのか、というご質問です。
 もうしわけありません。中国ではすでに発行されているようですが、著者である私の手元にもまだ届いていません。
 拙著は、本年6月付になっているそうです。しかし、事実は8月末の出版だと思います。
 自著ながら、あやふやなことしか書くことができないのが残念です。そういう事情ですのでいましばらくお待ち下さい。



2006.10.1
 『清末小説から』次号の目次をかかげます。

 『清末小説から』第84号2007.1.1
魯迅「出乎意表之外」の意表外……樽本照雄
出版社の図書目録………神田一三
晩清小説作者掃描(玖)………武  禧




2006.9.30

 『清末小説』第29号を発行しました。




2006.9.27
 樽本照雄『漢訳ホームズ論集』汲古書院
 定価:9,000円+税。汲古書院へ御注文ください。






2006.9.5
 樽本照雄『商務印書館研究論集』(2006.12.15付)を発行しました。






郭延礼『中国前現代文学的転型』
済南・山東大学出版社2005.10


胡全章『伝統与現代之間的探詢――呉趼人小説研究』
開封・河南大学出版社2006.5 明倫学術書系



陸マ『閑話蔵書』
北京・学苑出版社2005.8北京第3次印刷 所蔵鑑賞書系
2006.8.15
 中国人で商務印書館「説部叢書」を比較的詳しく説明したのは、陸マ「説《説部叢書》」(『蔵書家』第3輯2001.6)が最初だと思います。原物249種を所蔵しているというのですから目をみはったことです。
 上にかかげた著書にも、「説部叢書」を語った部分があります。
 どうして「説部叢書」に注目したのかと見れば、小さいときから家にあったからだそうです。「書香之家」と言いならわします。彼は「書箱之家」とシャレ?て言っているのには感心しました。香と箱は漢語で同音なのですね。



2006.8.5
 樽本照雄『漢訳ホームズ論集』汲古書院より近刊予定です。



2006.8.1
 樽本照雄『商務印書館研究論集』(2006.12.15付発行予定)の予告です。




〓龍共}敏『黄人及其小説小話之研究』
済南・斉魯書社2006.5
2006.7.12
 目次は以下の通り。
 第1章 緒論
 第2章 黄人之生平、文学創作及其学術編著
 第3章 黄人与晩清“小説界革命”
 第4章 《小説小話》中之現存小説及其相関研究考察
 第5章 《小説小話》中之今佚、疑佚小説及其相関研究考察
 第6章 結論
 参考書目
 附録1百年千里尋黄人/附録2黄人《中国文学史・明人章回小説》考論/附録3関於“法蘭西学院漢学研究書藏呉梅《中国文学史》”――与陳平原教授商〓
 後記




「冀野文鈔」4冊
北京・中華書局2006.4
2006.6.19
 「冀野文鈔」4冊が刊行されました。盧前(字冀野)の著作です。『盧前曲学四種』『盧前文史論稿』『盧前筆記雑鈔』『盧前詩詞曲選』(いずれも北京・中華書局2006.4)。お送りくださった親族の方の話では、この4冊は、盧冀野の著作全体の4分の1だそうです。続編が刊行される可能性があるかもしれません。



2006.6.17

 『清末小説から』次号の予告をかかげます。

 『清末小説から』第83号2006.10.1
『繍像小説』の坂下亀太郎「理科遊戯」………神田一三
美華書館名称考(3完)………樽本照雄
晩清小説作者掃描(捌)………武  禧
『清末小説研究集稿』日本語前言と後記………樽本照雄
そのほか



2006.5.28
 樽本照雄著『漢訳アラビアン・ナイト論集』を発行しました。




于潤g編著
『唐〓蔵書』
北京出版社2005.1
2006.5.17
 以前、中国現代文学館編『唐〓蔵書目録』(内部交流資料 刊年不記(2003))を紹介したことがあります。
 貴重な原本を多数所蔵する貴重な蔵書だということができます。清末小説についてもそうでありまして、現在も増補中の『清末民初小説目録』に追加したのはいうまでもありません。
 その豊富な蔵書のごく一部が表紙だけですが公開されました。それが、上のものです。
 全ページを色彩版で、于潤g氏による解説がついています。
 あるところにはある、というのが率直な感想です。望んでも得られない状況にある私には、羨ましいというよりも、ただただ仰ぎ見るだけです。




熊月之主編
『上海名人名事名物大観』
世紀出版集団、上海人民出版社2005.1
 『老上海名人名事名物大観』に1949-2003年を増補したものです。
 著名人物、事件、事物などを辞典形式で述べています。
 附録として、1上海地区建置沿革表、2上海主要道路旧新路名対照表、3上海主要電影院、劇場、舞庁等娯楽場所一覧表、4上海主要高校名録、5上海主要委員一覧、6上海市優秀近代建築保護単位簡表、7上海国際友好城市、上海与外国建立友好交流関係城市表があります。



2006.5.10
 小説の総合目録がつづけて出版されているのは中国の学界の底力を表明したものです。
 喜びにたえません。
 たとえば、石昌渝主編『中国古代小説総目』(太原・山西教育出版社2004.9)は、文言巻、白話巻、索引巻の3冊本です。
 また、朱一玄、寧稼雨、陳桂声編著『中国古代小説総目提要』(北京・人民文学出版社2005.12)は、古代から清末までの小説を上編(文言)と下編(白話)に分けて、作者、版本、内容などを解説しています。
 後者は、翻訳小説は含まないのですが、呉沃堯『電術奇談』を掲載するのには理由があります。すなわち、著者が書いた「附記」を引用し、実は創作だと結論するのです。
 ここには、呉沃堯がよった日本語原作『新聞売子』を見て自分で判断するという発想がありません。
 それとも、まさか、日本語原作が『新聞売子』であることを知らないというのでしょうか。
 過日、中国の研究者からメールをもらいました。
 私が探し出した日本語原作『新聞売子』を自分で検討してみたい、というのです。ようやく現われたかと思いました。ついては複写をほしいという要望です。
 過去において『新聞売子』の複写を要求した外国の研究者がひとりだけいます。私が喜んで提供したのはいうまでもありません。しかし、それ以後、その人からは何の連絡もありません。複写を受け取ったとも、それで論文を書いたとも、まったくたよりがないのです。のちに、彼が論文を発表していることを知りました。
 というわけでその人は、現在では音信不通です。
 さて、新たな複写要求に私はどう応えたか。
 簡単なことです。日本の国立国会図書館がデジタルライブラリで原作をウェブ上で公開しているのを教えてあげました。
 今では、全世界から『新聞売子』を読むことができるのですね。わざわざ東京へ行かなくても、他人に複写を依頼しなくてすむというわけです。
 インターネットを利用することナシに、研究を進めることはできなくなりました。
 まったく新しい研究状況が出現したというわけです。




CATHERINE VANCE YEH(葉凱蔕)
“SHANGHAI LOVE: COURTESANS, INTELLECTURALS, AND ENTERTAINMENT CULTRURE, 1850-1910”
UNIVERSITY OF WASHINGTON PRESS, 2006


范伯群、湯哲声、孔慶東著
『20世紀中国通俗文学史』
北京・高等教育出版社2006.3


YURIKO YAMANAKA and TETSUO NISHIO
“THE ARABIAN NIGHTS AND ORIENTALISM”
I.B.TAURIS, 2006



2006.4.26
 『清末小説』第29号の予告をします。

『清末小説』第29号予定目次
英訳「老残遊記」………………………樽本 照雄
去粗取精 去僞存眞……………………許  冬平
  ――中英對照版《老殘遊記》編后
劉鐵雲著作十二種試説…………………劉  徳隆
在社會思想政治劇烈變動的年代里……顔  廷亮
  ――黄世仲十年南洋生活行踪考
黄世仲生平考辨二題……………………郭  天祥
蒋維喬日記中的小説林社史料…………欒  偉平
そのほか



2006.4.23

 清末小説研究会発行の新刊を予告します。
 樽本照雄著『漢訳アラビアン・ナイト論集』です。
 目次は以下のとおり。
………………………………………………………
漢訳アラビアン・ナイト
周作人漢訳アリ・ババ「侠女奴」物語
「童話」の漢訳アラビアン・ナイト
「天方夜譚」小考
附 録
漢訳アラビアン・ナイト目録
………………………………………………………

 「「童話」の漢訳アラビアン・ナイト」のなかの1頁を参考までに掲げます。
 本書は白黒印刷ですが、実際はこのような色彩です。
 この「童話」シリーズは、あまり目にすることができません。  発行部数が少なく、定価は、6,300円になりました。6月1日発行予定。ご期待ください。



2006.4.15

 『清末小説から』次号の予告をかかげます。

 『清末小説から』第82号2006.7.1
美華書館名称考(2)………樽本照雄
商務印書館の火災(3完)………沢本香子
晩清小説作者掃描(七)………武  禧
アディスンの漢訳小説………神田一三
『新編増補清末民初小説目録』の『小説海』掲載作品正誤・再補………杜 筆恩
漢訳アラビアン・ナイト(16)……樽本照雄





2006.4.14
 阿英『晩清小説史』(上海・商務印書館1937.5)初版を複写したわけではありません。
 右下の書籍は、張沢賢『民国書影過眼録続集』(上海遠東出版社2006.1)です。393頁に上記の書影がかかげてあります。私も3冊くらい持っている、と思いだしました。探すのですが2冊しか出てきません。
 本をあちこち動かしていると、袋に入れていたものが出現した。全部で7冊も初版ばかりを購入していたというわけ。すべて日本で入手したものです。
 色合いが違って見えますが、すべて同じ。ただ、蔵書印のあるもの、その部分を破いたもの、いろいろです。全部、保存状態は、それほどよくありません。私は、読むことができれば、複写でもかまわないので気にしませんが。
 張沢賢は、上海の文廟において60元で購入したと書いています。日本円で換算すれば、現在は900円でしょうか。日本に輸入するとその10倍の値がついて9,000円になりそう。これは、とても高いと言わなければなりません。
 私が購入したときの紙切れが夾んであって、2,000円から3,000円くらいのものでした。
 増田渉先生のお宅に数回おじゃまをしたことがあります。魯迅『阿Q正伝』の日本語訳でプロレタリアなんとかという叢書でしたか、を持っています、とお話ししました。初版だったので珍しいものだ、と思いこんでいたのですね。
 増田先生は、言下に「そりゃ初版だろう。当時は初版どまりで終わりだ」といわれたのを覚えています。
 重版にはならない、売れ筋の本ではない、という意味です。
 いくらなんでも同じ初版を7冊も購入するのは、多すぎます。書店から送られてきた目録に、ほかに買うものがなくてしかたなく、ということもあったような……。
 『晩清小説史』は、これ以外に、台湾商務印書館海賊版、再版本、再版本香港海賊版、修訂本と幾種類もあるのです。




2006.4.5
 『繍像小説』の創刊号と第2期にだけ掲載された日本坂下亀太郎著「理科遊戯」という作品があります。
 最近、原本を入手しましたのでご紹介しましょう。
 小説専門雑誌にはにあわない、理科についての啓蒙的解説書でした。
 それがなぜ『繍像小説』に訳載されたのか。追求するのに十分興味深い題材だと思います。
 とまあ、このように書くばあいは、すでに原稿を用意しておるわけです。



 

2006.2.28
 いやー、驚きました。
 楊世驥の『文苑談往』についてです。それを「第1集」と書く文章があり、それは見たことがない。
 第2集があるという文章は読んだことがないので、おかしなことだと思ったのです。
 手元には再版影印本しかないので、図書館から複写を取り寄せました。複写も再版本です。どこにも「第1集」とは表示されていない。
 日本国内の公共機関には初版本は所蔵されていないのか、とあきらめたのでした。
 さっき別の用件で本棚をさがしていたら、『文苑談往』第1集というのがでてきた。昔、私自身が原本を購入していたのですね。
 ボロボロの表紙には確かに「第一集」と書いてあります。しかし、奥付はどうしたわけか「民国三十五年八月再版」で初版ではありません。
 私はもともと記憶力の悪さには自信があったのです。それにしても購入したことをすっかり忘れていたのには驚きました。



2006.2.15
 『清末小説から』第81号(2006.4.1)の誤植をご指摘いただきました。
 野間信幸氏にお礼をもうしあげます。

 P6:注記番号「1)」が重複し、2)以降ずれてしまっています。
 P13:右列7行目「たいいち」は「だいいち」の誤り。

 後日、PDF版で本ホームページに掲げるばあい、それらは訂正しておきます。



2006.2.9
 『清末小説から』第80号(2006.1.1)の誤植をご指摘いただきました。
 渡辺浩司氏に感謝します。

13頁右倒12行 均有火険 → 均保有火険
14頁右12行 部署拡規模 → 部署益拡規模
25頁右9行 天津戸籍 → 天津古籍



2006.2.7
 『清末小説』第28号『新編増補清末民初小説目録』の誤植について渡辺浩司氏よりご指摘をいただきました。それぞれ正誤表をかかげます。



2006.1.29
 潘建国「近代小説的研究現状与学術空間」(『文学遺産』2006年第1期2006.1.15)を読みました。
 文中、樽本『新編増補清末民初小説目録』について、不足の箇所をあげています。2次文献に多くよって編成されているため、原書を調査できず、誤収録誤記が少なくない。蔵書場所を注記せず使用するのに不便だ、と。
 上の発言は、潘建国『中国古代小説書目研究』(上海古籍出版社2005.10)には見られません。研究大会での発言ですから、批判してみせたのでしょう。
 潘建国氏の指摘にうなずくとともに、がっかりもしました。
 私の目録を批判したのはいいのですが、それが同時に2次文献を作成した中国人研究者たちを批判したことになるのを潘氏はご理解できないようです。
 また、普通、誤記が少なくない、と発言する以上、どこがどう間違っているか、具体的に指摘する文章を用意しておくものです。
 はたして潘氏にその準備があるのでしょうか。今後、潘氏の正誤表が発表されるのを楽しみに待っております。
 いい足りません。『清末小説から』に文章を書くことにしましょう。



2006.1.28
 周作人訳『侠女奴』について紹介しました。





2006.1.26
 美華書館 American Presbyterian Mission Press は、アヘン戦争後にアメリカ長老会派教会が中国に設立した印刷所です。商務印書館創業者たちのなかに、そこで働いていた人がいました。その関係で、私も注目していたのです。
 日本では、ずいぶんと細かなところまで研究が進んでいます。
 たとえば、こうです。
 1844年マカオに設立され華英校書房と名乗った。1845年寧波に移転し華花聖経書房と改名、1960年上海に移って美華書館と再度改名する。
 細かいというのは、マカオでの設立は、1844年1月23日ではなく2月23日のことだ、と考証の結果が報告されているほどです。
 ところが、上に掲げた書物 D. MacGILLIVRAY(Ed.)“A CENTURY OF PROTESTANT MISSION IN CHINA(1807-1907)”SHANGHAI: PRINTED AT THE AMERICAN PRESBYTERIAN MISSION PRESS, 1907 を見るとこれとは別のことが書いてあるのに気づくのでした。
 「この有名な印刷所は、リチャード・コウルのもとで、1844年6月17日、最初にマカオで設立された。This famous Press was first established 17th June, 1844, in Macao, under Mr. Richard Cole.」
 1844年は同じでも、1月23日でもなければ2月23日でもない。6月17日だというのです。
 コウルのマカオ到着が2月23日で、その日を華英校書房の設立日とするのは、やはり無理があると考えるにいたった証拠です。
 商務印書館からはじまって、今は美華書館ですから自分でも意外です。
 あの有名な「宋家姉妹」の父親チャーリー宋が、美華書館で働いていたかどうか。これも問題になるところですネ。



2006.1.11
 樽本照雄著『清末小説研究論』の正誤表をかかげます。渡辺浩司氏からのご指摘です。





『華南双英』香川政一編「磯崎拾玉」前篇 華南図書館1935.12.15非売品

2006.1.2
 商務印書館に投資していた日本人の中に「尾中満吾(華南記)」という名前が見えます。
 尾中満吾とは、だれのことか長らくわかりませんでした。
 上掲の『華南双英』を入手してようやく理解したのは、尾中満吾も上海三井物産に勤務していた人物だったのです。
 商務印書館の日本人投資者は、そのほとんどが金港堂の原亮三郎とその娘婿山本条太郎(三井物産上海支店長)の個人的なつながりだったようです。
 誰も関心をもたない事柄を調べていくのは、ほんとうにおもしろいことですね。





2006.1.1
 本年もよろしくお願いいたします。

 『清末小説から』次号の予告をかかげます。

 『清末小説から』第81号 2006.4.1
 出版社の図書目録――周振鶴編『晩清営業書目』のことなど………神田一三
 晩清小説作者掃描(陸)  ………武  禧
 商務印書館の火災(2)  ………沢本香子
 漢訳アラビアン・ナイト(15)……樽本照雄

 以下は、すでに公開しています。
 『清末小説から』第80号2006.1.1
 『漢訳東西洋文学作品編目』とその編者………樽本照雄
 晩清小説作者掃描(伍)  ………武  禧
 『新編増補清末民初小説目録』の『小説海』掲載作品正誤・補……杜 筆恩
 商務印書館の火災(1)  ………沢本香子
 漢訳アラビアン・ナイト(14)……樽本照雄
 清末小説から




はじめに

 中国の清末小説を専門に研究している会です。清末とは、清朝末期のことを指します。厳密にいえば、「中国の」と付ける必要はありません。清末は、中国にしか存在しませんから。まあ、丁寧に言っております、くらいのことですのでご了承ください。
 年代でいえば1900年代から1911年の辛亥革命をへて五四文学前です。
 日本ならば、明治30年代から大正初期にあたりますか。
 というわけで、清末小説を専門にしているといっても、中華民国初期の小説も含んでおりますので、誤解のないようにお願いいたします。
 それならば、いっそのこと「清末民初小説研究」と称してもいいようなものの、長くなるでしょう。
 研究会と称していますが、組織はありません。
 定期刊行物として年刊の『清末小説』と季刊の『清末小説から』を発行することが研究会の目的です。
 『清末小説』『清末小説から』の最新号所収の論文は、いくつかを本ホームページで読むことができます。
 なお、『清末小説』のバックナンバーのいくつかは、中国書籍専門店で購入することができるかもしれません。『清末小説から』は、本ホームページのものを印刷してください。紙媒体では、基本的に発行しておりません。どうしても、という人は、国立国会図書館で読むことが可能です。
 清末小説研究会の出版物は、中国書籍専門店(東方書店、燎原書店、朋友書店、福岡中国書店など)で購入できます。ご注文ください。
 これまでの研究会活動を紹介するかわりに雑誌『清末小説(研究)』の編集ノートをあつめた編集ノート集をかかげます。おおよその活動が理解できるでしょう。
 研究論文目録は、研究のお役に立つと信じています(『日本清末小説研究文献目録』2002を発行しました。こちらの方が新しいです)。『清末小説(研究)』『清末小説から』著者別論文目録)を作成しています(2005.1.3更新)。
 研究をめざす人を対象に『清末小説研究ガイド2005』(2004)を発行しました。